義足の王様は姫になる?

柊 透司

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番外編

クリスマス《笠井編》

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付き合って3年目の12月24日

付き合い始めた当初から、桜沢達は決め事はゲームで決めていた。
そして、クリスマスイヴ問題もそれに当たる。

クリスマスイヴは笠井健太VS相良大和の壮絶なバトル(ス○ブラ)により101勝を先取した。

「クッソ!ヘタレに負けた!」
「馬鹿にしてるからそうなるんだよ。ばーか」
「仕事増やしてやる」

それにより笠井が桜沢武尊のクリスマス1日占領券を獲得したらしい。

ちなみに笠井は実家を継ぐ予定だったが弟が興味あったらしく、要らなくなったらしく今は大和さんの所のジムで働いている。

負けた方が25日になるという事らしいが、俺自身は許可していないけど初めて負け越した大和さんが面白いから放置しよう。

昼の12時から明日の昼12時交代らしく律儀にもその時間には大和さんはどこかへ行ってしまった。

今日のデートは任せて欲しいと言われて、どこに行くかもわからないのはちょっとワクワクする。


高校の時の俺なら考えつかなかっただろう。

「どした?足…辛い?」
「ん、嬉しいなって。コーチと、こんな風にデート出来るなんて思ってなくて。」

そういうと笠井は首を傾げていた

「3回目なのに?」
「3回目だから…かな。そういう当たり前になってるのが嬉しくて。我儘過ぎて嫌われないかなって。」
「大丈夫。それより、コーチじゃないだろ?」
「ソウデシタ、え、と、健太…さん?」

「さん?」
「健太…くん…これ以上無理ィ…!」

クリスマスだからと名前で呼び合うことになった2人はいつも名前呼びをしないからか恥ずかしく感じる。

付き合ってからも情事の時に名前で呼ぶくらいなもので、だからこそそういうコトを考えてしまう。

大和さんだとあんまり気にしないのになんでだろ。

泣いて頼むと笠井はくん呼びで妥協してくれた。

「今日は、えと、武尊が好きな水族館にしよっかなって。海月とかペンギン好きだよね?」

そう言えば…前にコーチだった時に休みの日はそういうところでリフレッシュしてるって言った気が…

「よく覚えてたね…めっちゃ前の話だな」
「まぁ…その、うん。俺も好きだし。」

顔を赤くしながら言う笠井は美形の見た目とは違い恥ずかしがり屋で照れ屋だし、ヘタレな所がある。

30になるのにそういうところは可愛くて好きだけど、その、エッチの時の優しいけど激しい雄感も好き。

大和さんとは違う快楽で溺れさせてくるから結局しんどいんだけどね。

「好きだから嬉しい。前は1人だったし」
「だね。俺、行くの初めてだから…た、武尊と行けて幸せ…です。」

水族館でランチを食べつつ色々見て回るのは楽しかった。目新しい深海魚とかもいたから満足だ。

「深海魚ヤバいな……グロい…」
「そうかな?可愛くない?キモカワいい。魚じゃないけどグソクムシとか。ポ○モンにも出てくるでしょ?この前使ってたじゃん。」

2人が来年の一日目はどちらかというバトルをポケモンでしていた時に笠井が愛用していたポ○モンに似ているグソクムシを指さすと笠井は無理無理!と首を振っていた。

「ポ○モンはポ○モンだし!リアルだとキモイ…」

怖がりでヘタレな所は付き合う事になってから知った笠井の好きな所の1つ。

「グソクムシは海の掃除屋で素揚げで食べると美味いらしいよ」
「ホントに?コレが?いや、でも食べたくないなぁ…キモチワルイ…」
「諸説あるけど俺も食べたいとは思わないなぁ。」

そんな話をしながら見て周り、お土産屋に行った俺達はお互いにお土産を選ぶことになった。

ついでに大和さんの分も選んできな、と言われたので俺は二人の分を選ぶ事になってしまった。
責任重大だな?

結局俺が選んだのはクラゲとグソクムシのぬいぐるみ。2人には似合わんけどだからこそ持ってて欲しい。自分では買わないだろうし。

ちなみに笠井が選んだのはイルカだった。
イルカショーが大変お気に召したみたいでよかった。
ケンタくんと付けられていたイルカが褒められているのを見た時は恥ずかしそうにしてたけど、多分、そういう事だ。

「健太くんも独占欲強いね。」
「アイツには負ける気がする。」
「…そんな事ないと思うけど。俺は嬉しいよ。」

「…俺も武尊に嫉妬されるのすきだし。まぁそうかも?」

そんな微笑ましい会話をしながらご飯を食べに行った。今回は俺の希望でケン○ッキー。

笠井と名前も似てるし、一度一緒に来てみたかったのもある。この2年間は、高いご飯を経験して味がしないということがわかったしね。

「美味いな、流石ケン○ッキー…」
「今日はけんた尽くしだね?」
「嫌?」
「そんなわけ。まぁ、ケンタより健太くんが1番好きだけど。」
「…恥っず…えと、俺も、武尊が1番だから。その、帰ったら…いい?クリスマスだし…ダメ?」

顔を真っ赤にして誘われるのは男としてはいつでも嬉しいものだと思う。
それが好きな人ならば尚更というものだ。

「んーん、楽しみにしてる。」
「よし、早く食べて帰ろ!」

そそくさと食べてケーキを買って帰ったがそれを開ける前にクリスマスの雰囲気に呑まれた俺達はベッドで朝を迎える事になった。


「……絶倫過ぎる…」
「ゴメン…調子乗った…」

痛む腰を擦りながら、12時から見るであろう地獄を想像して寒気がした

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