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本編
ズルい事。
しおりを挟む次の日、相良がやって来ると俺は全てを話してしまった。
昔から好きになるのは男だった事。
コーチが好きだった事。
告白して、玉砕した話も。
相良は何も言わずに相槌をしながら聞いてくれた。
「引いたろ…?」
「最近じゃ結構多いし俺自身もよく男に告白される。」
なんだよ、自慢か?別に羨ましくねーぞ。
俺だってそこそこモテるし…女だけだけど…
「違う。自慢じゃない」
え、なんでこいつ心の中読めんの?完璧過ぎない?
「声に出てる。」
「まじ?」
「マジだ。」
2人は噴き出して笑った。
まるでその事を笑い飛ばし忘れる様に。
「あー、しんど。」
「久々にこんなに笑った。」
何故だろうか、親友にも家族にも話してない事をスラスラと言えた。
「アンタだと、気を使わず話せるからついボロボロ言っちゃうな…俺に会うの嫌になったか?」
「俺はその程度に見えるか?それにお前に会いに来るのは俺の都合で付き合わせてるのは俺だ。」
そういえば、最初の頃は嫌がってたよなぁ。
今は…なんて考えて頭に出てきた考えを振り払う。
「許して貰えるまで君に会いに来るよ。」
「怖いよ。でも…一つだけお願いしていい?」
そういうと相良は笑って言った
「良いよ。それが俺自身の罪だから。」
俺と相良は結局、加害者被害者ってだけ。
いつか許してしまう時が来る。
そうなれば相良さんは俺に会いに来る理由も無くなる。元々交わらない運命だ。
…それは、なんか嫌だ。
好きとかじゃないけど、今離れるのは嫌だ。
だから俺は相良を困らせるような我儘を言う。
俺はまだ子供だから、ズルい事を言わせてくれ。
「こんな重体の男拾う甲斐性がある男捕まえらんなかったら、男らしく、セキニン…取ってくれよ?」
初めて、相良の困った顔を見た気がした。
嬉しかったけど、胸がズキズキと痛み足の幻肢痛は酷くなり返事は聞こえなかった。
「ーーーー。」
多分、聞こえなくて正解だと思う。
そして、次の日から相良は来なくなった。
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