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7章 反社会政府編 〜決戦〜
73話 言霊
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「時代は狂ってしまった。先に居なくなった我が兄が私達兄弟よりも後に日本に来たという事実。そしてカムイ王都の関係者でただ1人、我が兄だけがこのような醜い姿にならなかった。運命は残酷。その言葉を大いに表せるだろう」
「……そうだな。残酷だ」
俺は痛む体を我慢しながら立ち上がり転がる特刀を手に持つ。ピッタリと手に馴染む特刀はカゲルの体液で汚れているのに、緑色の模様は輝いて見える。
カムイ王都の紋章にも新緑の色が使われていた。だから緑色を特刀にも選んだ。あの時はまだ俺はカムイ王都に囚われていた時だった。何でもカムイ王都に結びつけて、寂しさや悔しさを紛らわそうとしている俺は完全に囚われだ。
「俺はカムイ王都で斬られた時に聞いた賊の言葉をずっと疑っていた。でも今となってはそれは事実だったのではないのかと思ってしまう。俺は何も見ていなかったんだ。ただ皇子という地位に酔いしれていただけかもしれない」
多額の税金、男は泥だらけで働いているのに安月給、女はお偉いさん方の相手で汚された。その言葉に対して今は反抗する意思もなくただ謝りたいとしか思えない。
俺はカムイ王都の明るい部分しか見てこなかったのだ。それがいけなかった。賊が言ったことも知らなかったし、ヒバナが言った兄弟のこともわからなかった。そう考えればきっと尊敬する父上も悪に手を染めていたのだろう。
「もうカムイ王都の民達に償いは出来ない。けれどもその後悔はずっと俺の中に残り続ける。だからこれからも俺はカムイ王都と共に進もう。例え戻れなくても、会えなくても」
「っ、綺麗事をごちゃごちゃと…」
「今出た答えはそれだ」
「我が兄よ!!もうお前に光などない!その目をやめろ!」
「これは俺だけの光ではない。お前が俺に対しての殺す理由はわからないが憎いなら構えろ。相手してやる」
俺が特刀を構えるとヒバナは悔しそうに歯を鳴らす。そしてヒバナも戦う姿勢を取った。
「言霊……」
「おい!何を!?」
「カムイ王都の人間よ…我が父よ…そして我が兄よ…」
言霊の技を詠唱するヒバナの声には俺の存在についても唱えられる。このままではマズい。洗脳されてしまう。
しかし回避方法なんて教えられてない俺に何か出来るわけでもない。ヒバナは腹の傷が少し効いているのか血を一気に吐き出して詠唱が止まる。
その隙に特刀で斬るか?最後まで唱えられなければ効果は出ない。しかし全速力で走れない俺は果たして間に合うのか?言葉が渦のように頭の中を巻き込む。
「……一か八かだ」
一瞬の思考が爆発した俺は今まで教わったことも聞いたこともない作戦を思いつく。本当に俺の脳は素晴らしい作戦ばかり浮かんでしまうな。
たぶんカムイ王都の皇族で初めての挑戦だろう。誰もやろうとしなかったことをやる意味はある。ヒバナの言霊に取り込まれる前に……俺が俺自身を取り込むのだ。
「言霊」
「兄…?」
「シンリンよ。カムイの血を引く我が命に応えよ。今ここでカムイが申す。……ここから逃げてAクラスの生徒と合流しろ!」
「!!!」
詠唱を言い終えた瞬間俺の中で炎が宿る。それも勢いよく、炎天に燃え上がった。
「兄よ!」
「カムイの…申し出の、ままに…」
勝手に俺の口から出た返事が小さく呟かれる。逃げることしか考えられなくなった俺は特刀を構えながらヒバナへと突っ込んで行った。全速力で走っているのに全く足の痛みが感じない。
ヒバナの懐へ入った俺は強い斬撃を繰り出してヒバナの胴体に深い傷を入れる。そのまま止まることなく俺は加速して黒煙の壁の中へ入れば視界は黒で覆われた。何も感じなくなった俺には黒煙の臭いや効果なんて無力でただ1つの方向に向かったのだ。
「……そうだな。残酷だ」
俺は痛む体を我慢しながら立ち上がり転がる特刀を手に持つ。ピッタリと手に馴染む特刀はカゲルの体液で汚れているのに、緑色の模様は輝いて見える。
カムイ王都の紋章にも新緑の色が使われていた。だから緑色を特刀にも選んだ。あの時はまだ俺はカムイ王都に囚われていた時だった。何でもカムイ王都に結びつけて、寂しさや悔しさを紛らわそうとしている俺は完全に囚われだ。
「俺はカムイ王都で斬られた時に聞いた賊の言葉をずっと疑っていた。でも今となってはそれは事実だったのではないのかと思ってしまう。俺は何も見ていなかったんだ。ただ皇子という地位に酔いしれていただけかもしれない」
多額の税金、男は泥だらけで働いているのに安月給、女はお偉いさん方の相手で汚された。その言葉に対して今は反抗する意思もなくただ謝りたいとしか思えない。
俺はカムイ王都の明るい部分しか見てこなかったのだ。それがいけなかった。賊が言ったことも知らなかったし、ヒバナが言った兄弟のこともわからなかった。そう考えればきっと尊敬する父上も悪に手を染めていたのだろう。
「もうカムイ王都の民達に償いは出来ない。けれどもその後悔はずっと俺の中に残り続ける。だからこれからも俺はカムイ王都と共に進もう。例え戻れなくても、会えなくても」
「っ、綺麗事をごちゃごちゃと…」
「今出た答えはそれだ」
「我が兄よ!!もうお前に光などない!その目をやめろ!」
「これは俺だけの光ではない。お前が俺に対しての殺す理由はわからないが憎いなら構えろ。相手してやる」
俺が特刀を構えるとヒバナは悔しそうに歯を鳴らす。そしてヒバナも戦う姿勢を取った。
「言霊……」
「おい!何を!?」
「カムイ王都の人間よ…我が父よ…そして我が兄よ…」
言霊の技を詠唱するヒバナの声には俺の存在についても唱えられる。このままではマズい。洗脳されてしまう。
しかし回避方法なんて教えられてない俺に何か出来るわけでもない。ヒバナは腹の傷が少し効いているのか血を一気に吐き出して詠唱が止まる。
その隙に特刀で斬るか?最後まで唱えられなければ効果は出ない。しかし全速力で走れない俺は果たして間に合うのか?言葉が渦のように頭の中を巻き込む。
「……一か八かだ」
一瞬の思考が爆発した俺は今まで教わったことも聞いたこともない作戦を思いつく。本当に俺の脳は素晴らしい作戦ばかり浮かんでしまうな。
たぶんカムイ王都の皇族で初めての挑戦だろう。誰もやろうとしなかったことをやる意味はある。ヒバナの言霊に取り込まれる前に……俺が俺自身を取り込むのだ。
「言霊」
「兄…?」
「シンリンよ。カムイの血を引く我が命に応えよ。今ここでカムイが申す。……ここから逃げてAクラスの生徒と合流しろ!」
「!!!」
詠唱を言い終えた瞬間俺の中で炎が宿る。それも勢いよく、炎天に燃え上がった。
「兄よ!」
「カムイの…申し出の、ままに…」
勝手に俺の口から出た返事が小さく呟かれる。逃げることしか考えられなくなった俺は特刀を構えながらヒバナへと突っ込んで行った。全速力で走っているのに全く足の痛みが感じない。
ヒバナの懐へ入った俺は強い斬撃を繰り出してヒバナの胴体に深い傷を入れる。そのまま止まることなく俺は加速して黒煙の壁の中へ入れば視界は黒で覆われた。何も感じなくなった俺には黒煙の臭いや効果なんて無力でただ1つの方向に向かったのだ。
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