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6章 反社会政府編 〜それぞれの戦い〜
56話 先生の言葉を信じて 【レオンとカムラ班】
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「カゲルの数も相当だけど、崇拝者の数も多すぎるわね」
「女子供さえも武器を手に取っている。戦国時代でも男が戦っているのにな」
「今は戦国時代じゃないですわよ。男女差別をワタクシの前で言うのはやめてくださいまし」
「む、すまない。そう言う意味ではなかったのだが」
玄関ホールから離れている中庭を走っているのはレオンとカムラ。2人は玄関ホールにいるカナト達と別行動を取り、奥に逃げて行ったカゲルを追いかけていた。
「今までのカゲル達の様子を見てわかったのは、全てのカゲルが同じ思考をしているわけではないのですわね」
「そうだな。俺達を牙を向けるものもいれば、こうやって逃げるものもいる。でもやる事は一緒だ」
「ええ。1匹残らずに討伐。これがワタクシ達の役目」
「まぁすぐさま各自行動になったAクラスを他のクラスの人間達は戸惑っているだろう。それでも俺は先生族の言葉に従うつもりだ」
「ワタクシもですわ」
レオンとカムラだけではなく、Aクラス全員がシンリンの言葉を信じている。それくらいに彼は大きい存在だった。
2人は話しながらも次々とカゲルを討伐していく。足が速いレオンが囮となり、カゲルが集団となったところでカムラの二刀流が渦を巻くように斬り刻む。素晴らしい連携は後ろを追うサポート役のクラスを圧倒していた。
「全く、背後の人達は手助けもしないのですわね」
「俺達が前線を張るというのに囚われているのだろう。あくまでも自分の役割はサポートだと」
「そんなサポートさん達は追いかけるだけですが」
嫌味を含む2人の言葉は当然他クラスの生徒達にも聞こえている。ギリッと歯を食いしばって前を進むレオンとカムラを睨みつけるが、特刀を抜くことはなかった。
「カゲル達は何処まで行くつもりだ…?」
「………お誘いかしら」
「随分と歓迎されているな。どうするレオン族?流石に速いやつを今仕留めるのは難しいぞ」
「一択ですわ。パーティ会場に着いたらまとめて討伐」
「了解した」
いかにも誘い込まれているようなこの状況でレオンとカムラはその誘いに乗ることを決める。その瞬間、2人の走る速度は増した。
「あいつら、後ろにいる奴のことも考えずに動いてやがる」
「なんで変わり者を前にしなくちゃならねぇんだよ」
「まぁそのおかげで私達が戦う必要がないから良いんじゃない?」
「ハハッ、それもそうだな」
2人はわかっていた。一緒に着いてきている他クラスの奴らは特刀を抜く気がさらさらないことを。ただ、危ない時だけ逃げるのを手伝うという仕事しか頭にないのだろう。
当然、この討伐が終われば生徒達に報酬が贈られる。それは普通の学生が貰う金額ではない量を。命をかけて戦うアカデミーの生徒達からしたら当然の金額だ。
後ろの生徒はきっと討伐はやるべき人にやらせて自分達は楽して報酬を貰うという考えのはず。
「地図によればこの先は長い廊下があるはずだ」
「狭い場所で戦おうってわけですわね。意外と頭がいいこと」
役割を全うしているのは、この場でレオンとカムラだけだった。
「シャアーー!!」
「やっと止まったか」
「自由に動けないのはあちらも同じ。畳みかけますわよ」
「ああ!」
先導していた1匹が止まって合計4体の強化されたカゲルが一斉に振り向く。他クラスの生徒は小さい悲鳴を上げたが、レオンとカムラは特刀の先を向けながら立ち向かった。
「っ、流石に4体同時は無謀ですわ!」
「でも1体1体処理できる余裕もない!」
「そこの貴方達!サポートなんでしょう!?抜刀してくださいまし!」
生身の人間2人と強くなっている人外4体では力の差が激しい。レオンは咄嗟に救援を要請するが、すぐに戦いに加わろうとする者は居なかった。
誰が最初に行く?そんな会話が想像できるくらいに目が泳いでいる他クラスの生徒達。その間にもカムラが二刀流の特刀で斬りつけるが、戦況は変わらない。
「早く!!」
いつもの様子とは違うレオンの声が廊下に響いた。それでも動かない。
「レオン族よ!一瞬任せる!」
「カムラ!?」
するとカムラは一旦カゲルから下がり他クラスの生徒達の前に立つ。そして特刀から束縛用の紐を出して、サポート役として来た生徒数人を縛り付けた。
「何するんだ!?」
「うぐっ、苦しい…」
「テメェ俺達縛る暇があったらカゲルの相手をしろよ!」
「痛い…!」
「笑わせるな。戦わないお前達が俺とレオンに指図する資格はない。金だけのために来たのなら今すぐ去れ。邪魔だ!!」
そう言い放ったカムラは特刀を振りかぶって中庭へとサポート役の生徒達放り投げた。宙に放たれた生徒は池の水の中に落下する。
「すまない!待たせたな!」
「見事なホームランですこと」
「先生族が学長族を投げた時に閃いたのだ。あの人は本当に色々な戦術を持っている」
「ふふっ、それを言ったらきっと先生は照れ隠しするでしょうね。意外とそういのに弱そうですわ」
「さっさとカゲル討伐して言いに行くぞ!」
「ええ!」
2人は更に気合を入れてカゲルに斬撃を喰らわしていく。しかし、いくら邪魔が消えたとしても狭い空間は変わらない。
攻撃を避けようとするだけで壁にぶつかってしまう。謎なのは条件は一緒なのにカゲル達はお互いにぶつかり合うことがなかった。
それどころか連携が長い時を共に過ごしたレオンとカムラよりも合っている。カゲルは知能は人間よりも低い。そんな説を書き換えてしまうほどの戦い方だった。
「女子供さえも武器を手に取っている。戦国時代でも男が戦っているのにな」
「今は戦国時代じゃないですわよ。男女差別をワタクシの前で言うのはやめてくださいまし」
「む、すまない。そう言う意味ではなかったのだが」
玄関ホールから離れている中庭を走っているのはレオンとカムラ。2人は玄関ホールにいるカナト達と別行動を取り、奥に逃げて行ったカゲルを追いかけていた。
「今までのカゲル達の様子を見てわかったのは、全てのカゲルが同じ思考をしているわけではないのですわね」
「そうだな。俺達を牙を向けるものもいれば、こうやって逃げるものもいる。でもやる事は一緒だ」
「ええ。1匹残らずに討伐。これがワタクシ達の役目」
「まぁすぐさま各自行動になったAクラスを他のクラスの人間達は戸惑っているだろう。それでも俺は先生族の言葉に従うつもりだ」
「ワタクシもですわ」
レオンとカムラだけではなく、Aクラス全員がシンリンの言葉を信じている。それくらいに彼は大きい存在だった。
2人は話しながらも次々とカゲルを討伐していく。足が速いレオンが囮となり、カゲルが集団となったところでカムラの二刀流が渦を巻くように斬り刻む。素晴らしい連携は後ろを追うサポート役のクラスを圧倒していた。
「全く、背後の人達は手助けもしないのですわね」
「俺達が前線を張るというのに囚われているのだろう。あくまでも自分の役割はサポートだと」
「そんなサポートさん達は追いかけるだけですが」
嫌味を含む2人の言葉は当然他クラスの生徒達にも聞こえている。ギリッと歯を食いしばって前を進むレオンとカムラを睨みつけるが、特刀を抜くことはなかった。
「カゲル達は何処まで行くつもりだ…?」
「………お誘いかしら」
「随分と歓迎されているな。どうするレオン族?流石に速いやつを今仕留めるのは難しいぞ」
「一択ですわ。パーティ会場に着いたらまとめて討伐」
「了解した」
いかにも誘い込まれているようなこの状況でレオンとカムラはその誘いに乗ることを決める。その瞬間、2人の走る速度は増した。
「あいつら、後ろにいる奴のことも考えずに動いてやがる」
「なんで変わり者を前にしなくちゃならねぇんだよ」
「まぁそのおかげで私達が戦う必要がないから良いんじゃない?」
「ハハッ、それもそうだな」
2人はわかっていた。一緒に着いてきている他クラスの奴らは特刀を抜く気がさらさらないことを。ただ、危ない時だけ逃げるのを手伝うという仕事しか頭にないのだろう。
当然、この討伐が終われば生徒達に報酬が贈られる。それは普通の学生が貰う金額ではない量を。命をかけて戦うアカデミーの生徒達からしたら当然の金額だ。
後ろの生徒はきっと討伐はやるべき人にやらせて自分達は楽して報酬を貰うという考えのはず。
「地図によればこの先は長い廊下があるはずだ」
「狭い場所で戦おうってわけですわね。意外と頭がいいこと」
役割を全うしているのは、この場でレオンとカムラだけだった。
「シャアーー!!」
「やっと止まったか」
「自由に動けないのはあちらも同じ。畳みかけますわよ」
「ああ!」
先導していた1匹が止まって合計4体の強化されたカゲルが一斉に振り向く。他クラスの生徒は小さい悲鳴を上げたが、レオンとカムラは特刀の先を向けながら立ち向かった。
「っ、流石に4体同時は無謀ですわ!」
「でも1体1体処理できる余裕もない!」
「そこの貴方達!サポートなんでしょう!?抜刀してくださいまし!」
生身の人間2人と強くなっている人外4体では力の差が激しい。レオンは咄嗟に救援を要請するが、すぐに戦いに加わろうとする者は居なかった。
誰が最初に行く?そんな会話が想像できるくらいに目が泳いでいる他クラスの生徒達。その間にもカムラが二刀流の特刀で斬りつけるが、戦況は変わらない。
「早く!!」
いつもの様子とは違うレオンの声が廊下に響いた。それでも動かない。
「レオン族よ!一瞬任せる!」
「カムラ!?」
するとカムラは一旦カゲルから下がり他クラスの生徒達の前に立つ。そして特刀から束縛用の紐を出して、サポート役として来た生徒数人を縛り付けた。
「何するんだ!?」
「うぐっ、苦しい…」
「テメェ俺達縛る暇があったらカゲルの相手をしろよ!」
「痛い…!」
「笑わせるな。戦わないお前達が俺とレオンに指図する資格はない。金だけのために来たのなら今すぐ去れ。邪魔だ!!」
そう言い放ったカムラは特刀を振りかぶって中庭へとサポート役の生徒達放り投げた。宙に放たれた生徒は池の水の中に落下する。
「すまない!待たせたな!」
「見事なホームランですこと」
「先生族が学長族を投げた時に閃いたのだ。あの人は本当に色々な戦術を持っている」
「ふふっ、それを言ったらきっと先生は照れ隠しするでしょうね。意外とそういのに弱そうですわ」
「さっさとカゲル討伐して言いに行くぞ!」
「ええ!」
2人は更に気合を入れてカゲルに斬撃を喰らわしていく。しかし、いくら邪魔が消えたとしても狭い空間は変わらない。
攻撃を避けようとするだけで壁にぶつかってしまう。謎なのは条件は一緒なのにカゲル達はお互いにぶつかり合うことがなかった。
それどころか連携が長い時を共に過ごしたレオンとカムラよりも合っている。カゲルは知能は人間よりも低い。そんな説を書き換えてしまうほどの戦い方だった。
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