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5章 反社会政府編 〜差し伸べる手〜
51話 討伐開始
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後何秒で始まるかなんて意識はない。気付いたら討伐アカデミーの集団は俺達Aクラスの生徒達を先頭に走っている。
「作戦通りに地下へ」
「「「了解」」」
1番前を走るハルサキは振り向かずに指示を伝えて速度は変わらずに前に進んだ。地下に強化されたカゲル達がいるとのことで真っ先にそれを対処しなければならない。
討伐アカデミーの奇襲に気付き慌てた反社会政府の人間は素手や武器を手に取って立ち向かい始めた。
「邪魔っすよ」
「通してもらえるかしら?」
「行くぞ」
ハルサキと横並びに走るカムラとレオン、カナトはひと足先に反社会政府の集団に突っ込んで特刀束縛をかます。指示役のハルサキを守るのが3人の役目でもあった。
特刀束縛で締め付けられた敵を振り上げて後方にいる他のクラスに投げ渡す。俺達は確保ではなく切り開く担当でもあるのだ。玄関はほとんどアカデミーが制圧出来ている。
「それにしても、本当にそっくりだ…」
地図通り、カムイ王都の宮殿に瓜二つなのが1番気になってしまう。そう思いながら地下への階段を目指していると衝撃が建物内に走り渡った。
「マジかよ!」
「足元に気をつけてください!」
「………来る」
どうやら俺達がわざわざ出向く必要もなかったみたいだ。下から怒号のような叫び声が嫌ってほど耳を攻撃する。カゲル達の歓迎の喜びだった。
「シンリン」
「何だリコン学長」
「特刀の縄で私を上の階の手すり部分まで飛ばしてくれない?」
「行動は一緒ではないのか?」
「学長の権力使って取り消しします」
「な、何言ってる!?」
「良いから早く」
「…クソっ、こんな時に権力歓迎の話を持ち込むな」
俺の後ろを着いてきたリコン学長は最悪な単語である『権力』を使って俺に命令する。カムイ王都の学問で頭に染み込ませられた『立場が上の者の命令には従え』が俺の思考を支配してしまって歯を食いしばりながら特刀から紐を出してリコン学長に巻きつける。
「飛ばすぞ!!」
「OK」
まるで魚を釣り上げるように振りかぶればリコン学長は上へと飛んで行った。
「そうだ、この子とこの子借りるわね~」
「は?」
「学長!?何であたしも!?」
「嘘、だろ……」
空中に飛んでいる途中、リコン学長は自身の鞭を取り出してAクラスの生徒目掛けて伸ばす。それに捕まったのはリンガネとハルサキの2人で、腹あたりに絡んだ鞭が強制的に連れ去った。
「待て、話が違うぞ!返せ!」
「流石に1人では心細いのよ。許して」
「ハルサキを置いていけ!」
「あたしは良いのかよ!?」
「あいつは指示役だ!ちょっと、話はまだ終わって…」
「そろそろ下から来るわよ~。それじゃあカゲル討伐よろしくね」
3階あたりの廊下に着地したリコン学長の姿は遠くなってもう声も届かない。ハルサキを取られるなんて予想してなかったから俺は焦っていた。それはAクラスの生徒達も同じようで特刀を構えながら俺に視線を向けてくる。
「先生族よ、どうする?」
「……ハルサキ消えた」
「ついでにリンガネさんも。指示役居なくなったら僕達終わりじゃないっすか?」
「リコン学長は本当にマイペースですわね」
「シンリン先生…」
こいつらにとって指示はとてつもなく大事だ。そんな役割が居なくなった今、自分で考えなければならない。それなら伝えるべき言葉は俺から述べなければ。
「冷静になれ。ここからは自由行動にする。俺達の役目はカゲルを残らずに討伐することだ」
「で、でも…」
「アサガイ。確かにお前の力を借りればまとまるだろう。しかしそれではダメなんだ。たぶん、この戦いは一対一の勝負に近い」
振動が大きくなってくる。どこから来るかはわからないが、地面を突き破って登場するはずだ。開始早々バラバラになってしまった俺達。それでもやることは変わってない。
「深く考える暇はない。来るぞ。自分が思うままに動け」
1秒後、床にヒビが入って崩れ始める。俺は残っている生徒達を見ると決心したような顔つきになっていた。
するとすぐにカゲルが突き破って姿を現す。今まで見たことのない形と禍々しさだ。俺達アカデミーの人間を見つけたカゲルはギロリと目を光らせてこちらへ飛んでくる。
迎え撃つ。そう特刀を握りしめた瞬間、俺の足場に穴が空いた。
「「「先生!!」」」
「……っ!気にするな!前を見ろ!」
このままでは地下行きだ。しかしそれでは良い。カゲルを1匹残らずに討伐するのであれば地上はあいつらに任せよう。俺は体を下に向けて手を広げ、風を当てながら地下へと落ちていった。
「作戦通りに地下へ」
「「「了解」」」
1番前を走るハルサキは振り向かずに指示を伝えて速度は変わらずに前に進んだ。地下に強化されたカゲル達がいるとのことで真っ先にそれを対処しなければならない。
討伐アカデミーの奇襲に気付き慌てた反社会政府の人間は素手や武器を手に取って立ち向かい始めた。
「邪魔っすよ」
「通してもらえるかしら?」
「行くぞ」
ハルサキと横並びに走るカムラとレオン、カナトはひと足先に反社会政府の集団に突っ込んで特刀束縛をかます。指示役のハルサキを守るのが3人の役目でもあった。
特刀束縛で締め付けられた敵を振り上げて後方にいる他のクラスに投げ渡す。俺達は確保ではなく切り開く担当でもあるのだ。玄関はほとんどアカデミーが制圧出来ている。
「それにしても、本当にそっくりだ…」
地図通り、カムイ王都の宮殿に瓜二つなのが1番気になってしまう。そう思いながら地下への階段を目指していると衝撃が建物内に走り渡った。
「マジかよ!」
「足元に気をつけてください!」
「………来る」
どうやら俺達がわざわざ出向く必要もなかったみたいだ。下から怒号のような叫び声が嫌ってほど耳を攻撃する。カゲル達の歓迎の喜びだった。
「シンリン」
「何だリコン学長」
「特刀の縄で私を上の階の手すり部分まで飛ばしてくれない?」
「行動は一緒ではないのか?」
「学長の権力使って取り消しします」
「な、何言ってる!?」
「良いから早く」
「…クソっ、こんな時に権力歓迎の話を持ち込むな」
俺の後ろを着いてきたリコン学長は最悪な単語である『権力』を使って俺に命令する。カムイ王都の学問で頭に染み込ませられた『立場が上の者の命令には従え』が俺の思考を支配してしまって歯を食いしばりながら特刀から紐を出してリコン学長に巻きつける。
「飛ばすぞ!!」
「OK」
まるで魚を釣り上げるように振りかぶればリコン学長は上へと飛んで行った。
「そうだ、この子とこの子借りるわね~」
「は?」
「学長!?何であたしも!?」
「嘘、だろ……」
空中に飛んでいる途中、リコン学長は自身の鞭を取り出してAクラスの生徒目掛けて伸ばす。それに捕まったのはリンガネとハルサキの2人で、腹あたりに絡んだ鞭が強制的に連れ去った。
「待て、話が違うぞ!返せ!」
「流石に1人では心細いのよ。許して」
「ハルサキを置いていけ!」
「あたしは良いのかよ!?」
「あいつは指示役だ!ちょっと、話はまだ終わって…」
「そろそろ下から来るわよ~。それじゃあカゲル討伐よろしくね」
3階あたりの廊下に着地したリコン学長の姿は遠くなってもう声も届かない。ハルサキを取られるなんて予想してなかったから俺は焦っていた。それはAクラスの生徒達も同じようで特刀を構えながら俺に視線を向けてくる。
「先生族よ、どうする?」
「……ハルサキ消えた」
「ついでにリンガネさんも。指示役居なくなったら僕達終わりじゃないっすか?」
「リコン学長は本当にマイペースですわね」
「シンリン先生…」
こいつらにとって指示はとてつもなく大事だ。そんな役割が居なくなった今、自分で考えなければならない。それなら伝えるべき言葉は俺から述べなければ。
「冷静になれ。ここからは自由行動にする。俺達の役目はカゲルを残らずに討伐することだ」
「で、でも…」
「アサガイ。確かにお前の力を借りればまとまるだろう。しかしそれではダメなんだ。たぶん、この戦いは一対一の勝負に近い」
振動が大きくなってくる。どこから来るかはわからないが、地面を突き破って登場するはずだ。開始早々バラバラになってしまった俺達。それでもやることは変わってない。
「深く考える暇はない。来るぞ。自分が思うままに動け」
1秒後、床にヒビが入って崩れ始める。俺は残っている生徒達を見ると決心したような顔つきになっていた。
するとすぐにカゲルが突き破って姿を現す。今まで見たことのない形と禍々しさだ。俺達アカデミーの人間を見つけたカゲルはギロリと目を光らせてこちらへ飛んでくる。
迎え撃つ。そう特刀を握りしめた瞬間、俺の足場に穴が空いた。
「「「先生!!」」」
「……っ!気にするな!前を見ろ!」
このままでは地下行きだ。しかしそれでは良い。カゲルを1匹残らずに討伐するのであれば地上はあいつらに任せよう。俺は体を下に向けて手を広げ、風を当てながら地下へと落ちていった。
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