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5章 反社会政府編 〜差し伸べる手〜
50話 死ねない理由
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反社会政府討伐作戦実行日。その文だけでも緊張感が増してくる。
『俺はお前達を守る。もしお前達が俺と同じ気持ちなら……俺は守る刀になり、そしてAクラスの生徒は戦う刀となれ』
昨日の最終打ち合わせの最後に言った俺の言葉が頭の中でこだました。偽りのない本心は生徒達に伝わってくれただろうか。
まだ今までの後悔が吹っ切れたというわけではない。それでも変化しようとする俺から出た言葉はカムイ王都に居た時には考えられないものだ。
今なら胸を張って言えよう。死んだのは悔しいけど、ここに来て良かったと。
「行くか」
この戦いが最後というわけじゃない。それでも俺は精一杯力を尽くす。
……もしかしたらあれを使う可能性もあるな。俺は自分の腰に下げた特刀をひと撫でしてから男性寮にある自分の部屋から出た。
ーーーーーー
「にしても反社会政府の本拠地は随分と格式高い場所なのだな」
「そうね。アカデミーが近代風の建物なら、反社会政府は昔の和風の建物と言っても良いかもしれないわ」
現在、俺達は長い車に乗って待機をしている。他のクラスには色々と準備が必要なのだが、前線のAクラスは単純に言えば特刀で戦うだけなので今はやることがない。
そんなAクラスの生徒達はそれぞれに心を安らげていたり、作戦を確認したりと過ごしていた。
そんな中俺はタブレットと言われる機械を手に持って反社会政府の本拠地の地図を確認する。見た目と室内の地図はほとんどカムイ王都の宮殿とそっくりだった。
隣に座るリコン学長はいつもの着物姿でゆったりとくつろいでいる。本当にこれで戦えるのだろうか…?
「カゲル数は不明。でも信仰者は200人程度。あの建物には200人もの人が入っているというのか?」
「流石にそうとは言い切れない。あくまでも信仰者だから」
「本当に馬鹿げた信仰者達だ」
「宗教とかそういうのは流石に口出ししにくいけど、カゲルを崇拝するとなると私も同じ考えよ」
その意見が一致して良かった。アカデミーの学長となれば敵を嫌うのは当たり前か。
俺はタブレットをリコン学長に渡せば電源を切ってしまってくれる。まだまだこの世界の機械はわからないことだらけだ。
「貴方は死んじゃダメよ」
「何を言ってる。死ぬわけがない」
一度死んでいるのだからもう死ぬことはないだろう。笑わせてくれる。もしかして緊張をほぐそうとしているのだろうか。
「ここで死んだら生徒達の記憶に一生俺が残り続けるだろう。それが嫌なんだ。俺は誰かの記憶に残りたくない。だから死ねない」
「あれだけ可愛がっているのにそう思ってるとは意外だわ」
「…俺は指導者だ。現実的にあいつらと居れる時間は一瞬だろう?大人になればアカデミーから追放されるというのはリコン学長が言ったではないか」
「追放は言い過ぎよ。卒業と言ってちょうだい」
「意味は同じだ」
そう、俺とあいつらは一時的の関係。それでも命を懸けて守るのはあいつらを生かせたいから。俺のように死んでほしくない。
「……時間ね。Aクラスのみんな、そろそろ行くわ」
「「「はい」」」
「シンリン、頼んだわよ」
「ああ」
今から始まるのだ。父上、母上、どうか俺の戦いを見守っていてください。
『俺はお前達を守る。もしお前達が俺と同じ気持ちなら……俺は守る刀になり、そしてAクラスの生徒は戦う刀となれ』
昨日の最終打ち合わせの最後に言った俺の言葉が頭の中でこだました。偽りのない本心は生徒達に伝わってくれただろうか。
まだ今までの後悔が吹っ切れたというわけではない。それでも変化しようとする俺から出た言葉はカムイ王都に居た時には考えられないものだ。
今なら胸を張って言えよう。死んだのは悔しいけど、ここに来て良かったと。
「行くか」
この戦いが最後というわけじゃない。それでも俺は精一杯力を尽くす。
……もしかしたらあれを使う可能性もあるな。俺は自分の腰に下げた特刀をひと撫でしてから男性寮にある自分の部屋から出た。
ーーーーーー
「にしても反社会政府の本拠地は随分と格式高い場所なのだな」
「そうね。アカデミーが近代風の建物なら、反社会政府は昔の和風の建物と言っても良いかもしれないわ」
現在、俺達は長い車に乗って待機をしている。他のクラスには色々と準備が必要なのだが、前線のAクラスは単純に言えば特刀で戦うだけなので今はやることがない。
そんなAクラスの生徒達はそれぞれに心を安らげていたり、作戦を確認したりと過ごしていた。
そんな中俺はタブレットと言われる機械を手に持って反社会政府の本拠地の地図を確認する。見た目と室内の地図はほとんどカムイ王都の宮殿とそっくりだった。
隣に座るリコン学長はいつもの着物姿でゆったりとくつろいでいる。本当にこれで戦えるのだろうか…?
「カゲル数は不明。でも信仰者は200人程度。あの建物には200人もの人が入っているというのか?」
「流石にそうとは言い切れない。あくまでも信仰者だから」
「本当に馬鹿げた信仰者達だ」
「宗教とかそういうのは流石に口出ししにくいけど、カゲルを崇拝するとなると私も同じ考えよ」
その意見が一致して良かった。アカデミーの学長となれば敵を嫌うのは当たり前か。
俺はタブレットをリコン学長に渡せば電源を切ってしまってくれる。まだまだこの世界の機械はわからないことだらけだ。
「貴方は死んじゃダメよ」
「何を言ってる。死ぬわけがない」
一度死んでいるのだからもう死ぬことはないだろう。笑わせてくれる。もしかして緊張をほぐそうとしているのだろうか。
「ここで死んだら生徒達の記憶に一生俺が残り続けるだろう。それが嫌なんだ。俺は誰かの記憶に残りたくない。だから死ねない」
「あれだけ可愛がっているのにそう思ってるとは意外だわ」
「…俺は指導者だ。現実的にあいつらと居れる時間は一瞬だろう?大人になればアカデミーから追放されるというのはリコン学長が言ったではないか」
「追放は言い過ぎよ。卒業と言ってちょうだい」
「意味は同じだ」
そう、俺とあいつらは一時的の関係。それでも命を懸けて守るのはあいつらを生かせたいから。俺のように死んでほしくない。
「……時間ね。Aクラスのみんな、そろそろ行くわ」
「「「はい」」」
「シンリン、頼んだわよ」
「ああ」
今から始まるのだ。父上、母上、どうか俺の戦いを見守っていてください。
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