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5章 反社会政府編 〜差し伸べる手〜
48話 無理した優しさ
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「ここに来る前と言ったな。それならもしかして付き纏い行為が悪化して、アカデミーまでにも追いかけて来たということか?」
「それは違います。なにせアカデミーに入るには特別な条件が必要なんです」
「特別な条件?」
「……その、不登校とか人間関係で心が傷ついたとか、過去に何かあったとか普通の学校に行けなくなった人がアカデミーに入れます」
『ヒマワリはアカデミー来る前に普通の学校に行っていたんだ!でも虐められちゃって、アカデミーに編入したの。他のみんなも話さないし聞かないけど同じような理由でアカデミーに来たと思うよ!』
脳内では病院でヒマワリと話した会話が再生される。それにアサガイの言葉が加わって2人の点が線で繋がった。そしてその線はまたある点に結びつく。
『体力や武術に伸びしろがあるからよ。それにあまり大きな声では言えないけど、若ければ考えが固くないの。自分勝手な行動はしないと同時に娯楽や快楽を求めることなく討伐に専念してくれる』
リコン学長が言っていた点。討伐アカデミーというのはどんな理由でも居場所が無くなった若者達を集めて、居場所を提供する代わりにカゲルを討伐させる。そういう組織だと考えられる。
しかしそんなので生徒達は幸せなのか。似たような境遇や苦しさを経験した人が集まればもう似たようなことが起きる確率は少ないだろう。それでも普通に過ごしたい思いはないのだろうか。
「…ならあいつも前の所で居場所がなくなったということか」
「たぶんそうです」
「今も付き纏いされているのか?」
「いいえ。でも会えば色々と言ってきます。あの時みたいに」
「センリかリコン学長あたりに言えば対処してくれると思う」
「……そこまででは」
「苦しいなら苦しさを払うしかないんだ。無理するな。何なら俺が」
「シンリン先生こそ無理しないでください」
「えっ」
心配した俺の言葉はアサガイによって途切れられる。無理をするなと言うのはどういうことだ。わからずに聞き返せばアサガイは俺の目をジッと見てからハッキリとした声で話した。
「最近シンリン先生が変わりつつあるのはAクラス生徒全員知っています。私達を守ろうと、助けようとしてくれていることも十分伝わってますよ。でもそこまで一気に変わらなくても良いんじゃないんですか?」
「それが無理するなに繋がるわけか?」
「はい。私にはシンリン先生が無理して生徒達に優しているように見えます」
「そんなことはない」
「私にはそう感じるんです!だからもう口出ししなくて結構なので!」
「アサガイ!?」
言いたいことを終えたアサガイは勢いよく立ち上がって食堂から消えてしまった。俺の目の前には空になった器と半分だけ残されたヨーグルトだけが置かれている。
「別に、無理なんか…」
妙に心に刺さってしまうのは何故だろう。俺は残った半分のヨーグルトを飲み干すように上に掲げた。胸の辺りが息苦しくなっているのは、絶対に辛さのせいだ。
「それは違います。なにせアカデミーに入るには特別な条件が必要なんです」
「特別な条件?」
「……その、不登校とか人間関係で心が傷ついたとか、過去に何かあったとか普通の学校に行けなくなった人がアカデミーに入れます」
『ヒマワリはアカデミー来る前に普通の学校に行っていたんだ!でも虐められちゃって、アカデミーに編入したの。他のみんなも話さないし聞かないけど同じような理由でアカデミーに来たと思うよ!』
脳内では病院でヒマワリと話した会話が再生される。それにアサガイの言葉が加わって2人の点が線で繋がった。そしてその線はまたある点に結びつく。
『体力や武術に伸びしろがあるからよ。それにあまり大きな声では言えないけど、若ければ考えが固くないの。自分勝手な行動はしないと同時に娯楽や快楽を求めることなく討伐に専念してくれる』
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しかしそんなので生徒達は幸せなのか。似たような境遇や苦しさを経験した人が集まればもう似たようなことが起きる確率は少ないだろう。それでも普通に過ごしたい思いはないのだろうか。
「…ならあいつも前の所で居場所がなくなったということか」
「たぶんそうです」
「今も付き纏いされているのか?」
「いいえ。でも会えば色々と言ってきます。あの時みたいに」
「センリかリコン学長あたりに言えば対処してくれると思う」
「……そこまででは」
「苦しいなら苦しさを払うしかないんだ。無理するな。何なら俺が」
「シンリン先生こそ無理しないでください」
「えっ」
心配した俺の言葉はアサガイによって途切れられる。無理をするなと言うのはどういうことだ。わからずに聞き返せばアサガイは俺の目をジッと見てからハッキリとした声で話した。
「最近シンリン先生が変わりつつあるのはAクラス生徒全員知っています。私達を守ろうと、助けようとしてくれていることも十分伝わってますよ。でもそこまで一気に変わらなくても良いんじゃないんですか?」
「それが無理するなに繋がるわけか?」
「はい。私にはシンリン先生が無理して生徒達に優しているように見えます」
「そんなことはない」
「私にはそう感じるんです!だからもう口出ししなくて結構なので!」
「アサガイ!?」
言いたいことを終えたアサガイは勢いよく立ち上がって食堂から消えてしまった。俺の目の前には空になった器と半分だけ残されたヨーグルトだけが置かれている。
「別に、無理なんか…」
妙に心に刺さってしまうのは何故だろう。俺は残った半分のヨーグルトを飲み干すように上に掲げた。胸の辺りが息苦しくなっているのは、絶対に辛さのせいだ。
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