【完結】異世界先生 〜異世界で死んだ和風皇子は日本で先生となり平和へと導きます〜

雪村

文字の大きさ
上 下
26 / 77
3章 反社会政府編 〜後悔〜

26話 囚われた少女

しおりを挟む
 俺たちはお化け屋敷に到着した。

雰囲気はさながら洋風の館といったところか。

洋風の館って言ったら、ゲームの舞台によくなるところじゃないか?

てか、某ゲームの最初の舞台じゃなかったか?

確かゾンビが出てくるゲームだっけ。

まさか、現実世界にゾンビがいるとは夢にも思わないだろうな。

俺たちがお化け屋敷の入り口に着くと、店員が元気な声で案内をしてくれる。

「大変です! この館の中で大量の殺人事件が起きました!」

おぉ、これは設定か。

いきなり、大量殺人ね。

てか、毎回この館は大量殺人が起きてんのか?

取り壊せそんな館は。

「この館の真相を皆さんで解き明かしてください!」

なるほど、謎解き要素も入ったお化け屋敷は面白いな。

ただ、入って驚くだけじゃないということか。

「え~っと、3名でお願いします」

「ありがとうございます、大人3名で1500円です」

俺は3名の代金を支払った。

「ありがとうございます、それではこちらをお持ちください」

そういって渡されたのは、手持ち用のランプだ。

「中は、薄暗いので、こちらで周りを照らしながらお進みください」

ランプが無いと見えにくいということね。

設定はしっかりしているな。

「それではご主人さん行ってらっしゃい」

ん?

「えっ? 俺1人?」

「そうですよ? 二人一組なので」

マジか!?

俺あぶれたってことか。

別にそこまで怖がりではないが、さすがに美鈴と離れるのは危険すぎるだろ!

「どんまいパパ。怖くなって下がってこないでよ」

ある意味怖いけどな。

美鈴が人襲わないか心配なだけで。

でも、先に行かないと意味がなさそうだな。

俺は、仕方なく先に館の中に入ることにした。

「おぉ、暗いなぁ」

館の中は薄暗く、壁に掛けられた燭台と、手に持っているランプだけが頼りだ。

俺は慎重に館の中を進んでいく。

「きゃぁぁぁ!」

先に入っていった人達の悲鳴が聞こえる。

さてと、謎解きをしていかないとな。

俺は壁に掛けられた張り紙を読んだ。

『左は行き止まり、右は行き止まり』

!?

意味わからん。

どういうこと?

頭をひねったが、まったく理解ができない。

とりあえず左に行こうか。

俺は左に進んだが、後ろから何か気配を感じた。

ズズズッ

何かを引きずっている。

少しずつ怖くなった俺は、そのまま左を突き進んだ。

しばらくすると行き止まりになっている。

そりゃそうか、行き止まりってあったもんな。

俺は仕方なく、後ろを振り返ってきた道を戻ろうとした。

「うがぁぁぁぁ!」

目の前にはゾンビが口を開けていた。

「あぁぁぁぁぁ!」

俺は思わず、避けてきた道を走って帰る。

びっくりした!

後ろからきているの忘れてたよ。

もう一回張り紙でも見るか。

「え~っと、左も右も行き止まりなんだよな」

張り紙には特に何か仕掛けがあるわけではなさそうだし。

待てよ、左も右もダメなら……真ん中は?

俺は張り紙の周りをランプで照らした。

館の壁が途中で途切れていることに気づく。

恐る恐る手で壁を押す。

ギィィィッ

壁は扉のように開き先に進むことができるようになっている。

「ほおぉ、なるほどな」

思ったよりしっかりとした謎解きで感心してしまった。

俺は扉の先に進む。

今度は広い場所に出た。

そこにはおもちゃで作られたであろう大量の人形が雑に置かれている。

中には刃物が刺さっていたり、

赤い絵の具で血を表現していたりと凝っている。

ここで大量殺人が起きたってことだな。

すると、後ろから扉が開く音がする。

また、ゾンビか。

もう大丈夫だぞ、振り向くまでどうせ声を出さないんだろう。

「グルルゥ」

とても低い声がする。

え、そういう演出もある?

ちょっと怖いんだけど。

俺はゆっくりと後ろを振り返る。

「がぁぁぁぁ!」

「あぁぁぁぁ! また出たー! ってママじゃねぇかよ!」

美鈴はここまで1人で来たようで花音の姿が見当たらなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

先生と私。

狭山雪菜
恋愛
茂木結菜(もぎ ゆいな)は、高校3年生。1年の時から化学の教師林田信太郎(はやしだ しんたろう)に恋をしている。なんとか彼に自分を見てもらおうと、学級委員になったり、苦手な化学の授業を選択していた。 3年生になった時に、彼が担任の先生になった事で嬉しくて、勢い余って告白したのだが… 全編甘々を予定しております。 この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

火駆闘戯 第一部

高谷 ゆうと
ファンタジー
焼暴士と呼ばれる男たちがいた。 それは、自らの身体ひとつで、人間を脅かす炎と闘う者たちの総称である。 人間と対立する種族、「ラヨル」の民は、その長であるマユルを筆頭に、度々人間たちに奇襲を仕掛けてきていた。「ノーラ」と呼ばれる、ラヨルたちの操る邪術で繰り出される炎は、水では消えず、これまでに数多の人間が犠牲になっていった。人々がノーラに対抗すべく生み出された「イョウラ」と名付けられた武術。それは、ノーラの炎を消すために必要な、人間の血液を流しながらでも、倒れることなく闘い続けられるように鍛え上げられた男たちが使う、ラヨルの民を倒すための唯一の方法であった。 焼暴士の見習い少年、タスクは、マユルが持つといわれている「イホミ・モトイニ」とよばれる何かを破壊すべく、日々の鍛錬をこなしていた。それを破壊すれば、ラヨルの民は、ノーラを使えなくなると言い伝えられているためだ。 タスクは、マユルと対峙するが、全く歯が立たず、命の危機にさらされることになる。己の無力さを痛感したその日、タスクの奇譚は、ゆっくりと幕を開けたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...