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2章 ここから始まる教師生活
23話 アカデミー教師の装備
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「それはカゲルを捕縛する用の紐が出てくる部分になる。特刀束縛と生徒達には教えておるのじゃよ」
「特刀束縛…」
その言葉を聞いた俺は初めてアサガイ委員長達3人とあった時の事を思い出す。あの時、指示を出していたアサガイ委員長はハルサキに特刀束縛をと伝えていた。
その次の瞬間にはハルサキの特刀から紐が出てきてカゲルを行動不能にさせていたのを覚えている。
「カゲルはどの動物よりも人間よりも動きが速い。刀を振るだけでは到底太刀打ち出来ないんじゃ。捕縛と斬撃を駆使して戦うのがアカデミーのやり方。試しに出してみればいい。出っ張りの上側にあるボタン押すだけじゃ」
「……ここか?」
俺は自分の特刀から捕縛用の紐を出してみる。勢いよく出た紐はいかにも頑丈そうで長かった。
こんなに長いものが刀に仕舞われているのはカムイ王都では存在しない技術を使っているということ。恐るべき日本。俺たちカムイ王都の人間の考えを上回っている。
「収納するときは同じボタンを押せば勢いよく戻る仕組みじゃ。特刀束縛でカゲルに巻きつけた後、締め付けるのに役立つ」
「なるほどな。行動不能にさせてからの斬撃…。考えたやつは頭が良いな」
「それ考えたの若かりし時の学長じゃ」
「撤回しよう」
特刀から出た捕縛紐を収納した俺は同じように木の箱に入っていた鞘へ刀をしまった。
「服はどうなった」
「勿論出来ておる。……ジャジャーン!」
謎の効果音を付けたセンリは綺麗に畳まれた服を見せびらかす。俺はそれを取り上げて広げれば黒色を基調とした服だとわかった。
「センリプロデュース制服じゃ!生徒達の制服に似るようにし、尚且つ先生らしく勇ましい感じにしたぞよ!…本来なら体を活かしたピッチリスーツでも良かったんじゃが…」
「軍服に似てるな」
「まぁ、アカデミーも軍とは変わらん」
「着替えさせてもらう」
「そのボロっちい服はこちらで処分しておこう」
「これは俺が持っている。父上と母上が見つかり、ここから出て行く時に着るために」
「あっそ」
カムイ王都を守る兵士達を思い浮かべられる服は夜の行動でも目立たない仕様になっている。特刀と軍服の2つが揃ってしまった今、俺はどこからどう見てもアカデミーの人間だろう。
少々嫌な気分になりながら今着ている服を脱ごうとする。しかし鋭い視線が背中に突き刺さり、俺は後ろを振り返った。
「……なぜ出て行かない」
「恥ずかしいのか?」
「そういう意味ではない。ただ今回寸法も測らないのだからここに居る理由もないだろう」
「気にするな。理由ならちゃんとあるわい」
「鼻息が荒いぞ」
思い返せばこの前も同じような感じだった。俺はため息をついて気にせずに上の服を脱ぐ。センリの方から興奮したような声が聞こえてくるが無視。
そもそもなぜ俺はこんな奴の前で脱がなければならない?考えるだけで頭が痛くなってしまうが気にせずに軍服に着替えた。
「フフーン、ちゃんと我の寸法は合っていたようじゃな。これで装備はバッチリ!いつでもカゲル討伐に行けるわい」
「おい。俺は討伐するとは一言も言ってないぞ。生徒達に武術の指導をするだけで…」
「ほれ、準備しろ!センリ先生が直々に教えてやるのじゃから!」
「は?何を言って」
「そんじゃぁ職員室の先生方~。センリはちょっくら新人指導に行ってきますのじゃ。何かあったら連絡くれぃ」
センリは職員室にいる他の奴らに声をかけるとそのまま俺の腕を掴んで部屋を出て行く。去り際に「気をつけて」と言う誰かの言葉が聞こえた。
俺は掴まれた腕を離そうと捻るが全くセンリには通用しない。それどころかピョンピョン飛び歩き腕を振り出した。
「特刀は全て慣れで戦闘力が決まる!今からカゲルを相手に斬撃と束縛を体に染み込ませろ!」
「急過ぎないか!?」
「カゲルは急に出てくるのじゃから急にも慣れろ!」
進む足を止めないセンリはそのまま俺をアカデミーの玄関まで連れて行く。途中廊下にいる生徒に手を振ったり何やら注意したりと忙しい人だ。
俺は完全に獣に捕まった小動物と化していて逆らうことが出来ずに、1週間振りのアカデミーの外へと足を踏み出したのであった。
「特刀束縛…」
その言葉を聞いた俺は初めてアサガイ委員長達3人とあった時の事を思い出す。あの時、指示を出していたアサガイ委員長はハルサキに特刀束縛をと伝えていた。
その次の瞬間にはハルサキの特刀から紐が出てきてカゲルを行動不能にさせていたのを覚えている。
「カゲルはどの動物よりも人間よりも動きが速い。刀を振るだけでは到底太刀打ち出来ないんじゃ。捕縛と斬撃を駆使して戦うのがアカデミーのやり方。試しに出してみればいい。出っ張りの上側にあるボタン押すだけじゃ」
「……ここか?」
俺は自分の特刀から捕縛用の紐を出してみる。勢いよく出た紐はいかにも頑丈そうで長かった。
こんなに長いものが刀に仕舞われているのはカムイ王都では存在しない技術を使っているということ。恐るべき日本。俺たちカムイ王都の人間の考えを上回っている。
「収納するときは同じボタンを押せば勢いよく戻る仕組みじゃ。特刀束縛でカゲルに巻きつけた後、締め付けるのに役立つ」
「なるほどな。行動不能にさせてからの斬撃…。考えたやつは頭が良いな」
「それ考えたの若かりし時の学長じゃ」
「撤回しよう」
特刀から出た捕縛紐を収納した俺は同じように木の箱に入っていた鞘へ刀をしまった。
「服はどうなった」
「勿論出来ておる。……ジャジャーン!」
謎の効果音を付けたセンリは綺麗に畳まれた服を見せびらかす。俺はそれを取り上げて広げれば黒色を基調とした服だとわかった。
「センリプロデュース制服じゃ!生徒達の制服に似るようにし、尚且つ先生らしく勇ましい感じにしたぞよ!…本来なら体を活かしたピッチリスーツでも良かったんじゃが…」
「軍服に似てるな」
「まぁ、アカデミーも軍とは変わらん」
「着替えさせてもらう」
「そのボロっちい服はこちらで処分しておこう」
「これは俺が持っている。父上と母上が見つかり、ここから出て行く時に着るために」
「あっそ」
カムイ王都を守る兵士達を思い浮かべられる服は夜の行動でも目立たない仕様になっている。特刀と軍服の2つが揃ってしまった今、俺はどこからどう見てもアカデミーの人間だろう。
少々嫌な気分になりながら今着ている服を脱ごうとする。しかし鋭い視線が背中に突き刺さり、俺は後ろを振り返った。
「……なぜ出て行かない」
「恥ずかしいのか?」
「そういう意味ではない。ただ今回寸法も測らないのだからここに居る理由もないだろう」
「気にするな。理由ならちゃんとあるわい」
「鼻息が荒いぞ」
思い返せばこの前も同じような感じだった。俺はため息をついて気にせずに上の服を脱ぐ。センリの方から興奮したような声が聞こえてくるが無視。
そもそもなぜ俺はこんな奴の前で脱がなければならない?考えるだけで頭が痛くなってしまうが気にせずに軍服に着替えた。
「フフーン、ちゃんと我の寸法は合っていたようじゃな。これで装備はバッチリ!いつでもカゲル討伐に行けるわい」
「おい。俺は討伐するとは一言も言ってないぞ。生徒達に武術の指導をするだけで…」
「ほれ、準備しろ!センリ先生が直々に教えてやるのじゃから!」
「は?何を言って」
「そんじゃぁ職員室の先生方~。センリはちょっくら新人指導に行ってきますのじゃ。何かあったら連絡くれぃ」
センリは職員室にいる他の奴らに声をかけるとそのまま俺の腕を掴んで部屋を出て行く。去り際に「気をつけて」と言う誰かの言葉が聞こえた。
俺は掴まれた腕を離そうと捻るが全くセンリには通用しない。それどころかピョンピョン飛び歩き腕を振り出した。
「特刀は全て慣れで戦闘力が決まる!今からカゲルを相手に斬撃と束縛を体に染み込ませろ!」
「急過ぎないか!?」
「カゲルは急に出てくるのじゃから急にも慣れろ!」
進む足を止めないセンリはそのまま俺をアカデミーの玄関まで連れて行く。途中廊下にいる生徒に手を振ったり何やら注意したりと忙しい人だ。
俺は完全に獣に捕まった小動物と化していて逆らうことが出来ずに、1週間振りのアカデミーの外へと足を踏み出したのであった。
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