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2章 ここから始まる教師生活
20話 学長と食事
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感情が激動してしまった今日を過ごした俺は1人で食堂に来ていた。現在Aクラスの生徒達は全員任務に出ていて、連れ出す相手もいない。現在時刻は午後の3時。お昼ご飯を食べ損ねた俺からしたらどのご飯に入るのだろうか。
そんな俺の頭の中はとある出来事の1ページで埋め尽くされていた。リンガネの件があった後に訓練室へと戻れば生徒1人1人が自主練習をこなしている姿を見た時の事だ。
俺が言った指摘を直すため、ある者は走り込みや筋肉を付ける運動を。またある者は刀の持ち方を気にしながら素振りをしていた。
そんな光景を目の当たりにした俺はよくわからない感情になってしまい、訓練室の入り口に声をかけず突っ立ったという最近の過去がある。
「お決まりですか?」
またしても過去を振り返っていた俺は料理人の前で突っ立っていたようで、声をかけられて驚きながら顔を上げる。
注文するなら早く注文してほしいという顔付きだった。俺は慌てて昨日アサガイ委員長に教えてもらった品書きの看板を見る。しかし書かれている料理全てがわからなかった。
「……牛丼?とやらを1つ」
「はい。お待ちください」
品書きを見ながら悩み悩んだ結果、出てきた言葉は昨晩も食べた牛丼というもの。それを口にすれば料理人は頷いて奥に設置されている厨房に行き作り始めた。
俺は自分が言った牛丼の単語に間違えはなかったと安心のため息をつくと人影が俺の横に見える。その人は片手を軽く上げて厨房へと話しかけた。
「すみませーん。スペシャルガーリックライス肉を添えて1つください。トッピングにマヨネーズお願いします」
「が、学長…!了解しました!」
聞いたことがある凄まじい料理名が唱えられたと同時に俺は横を向けば見慣れた着物女性。その姿と声を聞いた奥の料理人は俺の時よりも嬉しそうに声を張り上げて注文を受け取った。
「リコン学長、今日はよく会うな」
「そうね。でも今は食堂の前を通った時に貴方の姿が見えたから追いかけてきたようなものよ」
「俺に用があるのか?」
「ただ単にお話ししたいだけ」
「話すことは何もない」
「大丈夫。私こう見えてもコミュニケーションを取るのは得意なの。会話は私に身を委ねれば良いわ」
「は?」
「一緒に食べましょう?」
「……構わん」
微笑むリコン学長の申し出に断る理由が見つからなかった俺は渋々と頷いた。
「Aクラスの子達は?」
「全員任務だ」
「そう。最近カゲルが活性化しているから任務が多くなるのは当然ね。…申し訳ないと思っているわ」
「そんな気持ちがあるのか?」
「勿論よ。年齢は違えどあの子達は学生。青春の真っ最中なのだから」
「……一緒に食べるついでに教えてくれないか」
「何を?」
「この世界についてだ」
「まるでこの世界の人じゃないみたいな言い方ね」
「俺は一度死んでいる」
「よくわからないけど良いわよ。アカデミーの教師に教えない理由は無いもの」
注文場所で軽く会話をしていると、料理人が急いだように品物を持ってくる。
「お待たせしました!スペシャルガーリックライス肉を添えて、トッピングマヨネーズですね。おまけでフライドガーリック乗せときました!」
「ありがとう」
「いえ!学長にはお世話になりっぱなしなので!」
「そう?私も貴方にお世話になってるわ」
「嬉しいお言葉です!……えっと牛丼はこちらですね」
「ああ」
俺の時は随分と声の高さが違うな。リコン学長相手だと尻尾を振った犬のように見える。俺は牛丼を受け取ってリコン学長と共に近くのテーブルへ座った。
「それじゃあ前失礼するわね」
向かい合う形で座った俺達はあらかじめ置いてある箸に手を伸ばして食事を頂く。昨日も食べたが、やはり牛丼は美味しい。
今日の朝ごはんに食べたふれんちとーすとも美味だった。後で生徒達に他の料理のことを聞いてみよう。ここを追い出される前に色んなものを食べておきたい。
「ん~!やっぱりこれね」
「昨日ミロクニも食べていた。俺も少し頂いたが……随分と重い品ではないか?」
「それが良いんじゃない。活力が高まってこれからのお仕事も頑張れそう」
「上にかかっている白いやつは何だ?」
「マヨネーズよ。ミロクニはかけてなかった?」
「ああ」
「それじゃあまだまだね。マヨネーズがあってこそのコッテリ感。それにおまけのフライドガーリックが良い味出してる。これを食べてこその真の料理よ」
「理解できん」
リコン学長が箸で米と肉を掬うとミロクニが食べていた時よりもきつい香りが俺の方に来る。やはり一緒に食べない方が良かったのかもしれない。嫌な香りではないけど、肺辺りが少し重くなる気がした。
「それで?何が聞きたいの?」
「正直わからないことだらけだ。見知らぬ金属の物や動く個室……。カムイ王都では見たことがない。それにカゲルの存在。黒い人間がカゲルという名前なのはわかったが、何故そんな奴らが彷徨いているのか」
「結局は全てがわからないってことね」
「物については後で聞こう。とりあえずこのアカデミーのことを詳しく説明してくれ」
俺牛丼の肉を口に運んで噛み締めながらリコン学長に尋ねた。リコン学長は相変わらず凄い香りを俺に届かせながら食べている。
「アカデミーはカゲルを討伐する組織であり、若い世代を成長させる学校。それは揺るぎない基本よ」
そんな俺の頭の中はとある出来事の1ページで埋め尽くされていた。リンガネの件があった後に訓練室へと戻れば生徒1人1人が自主練習をこなしている姿を見た時の事だ。
俺が言った指摘を直すため、ある者は走り込みや筋肉を付ける運動を。またある者は刀の持ち方を気にしながら素振りをしていた。
そんな光景を目の当たりにした俺はよくわからない感情になってしまい、訓練室の入り口に声をかけず突っ立ったという最近の過去がある。
「お決まりですか?」
またしても過去を振り返っていた俺は料理人の前で突っ立っていたようで、声をかけられて驚きながら顔を上げる。
注文するなら早く注文してほしいという顔付きだった。俺は慌てて昨日アサガイ委員長に教えてもらった品書きの看板を見る。しかし書かれている料理全てがわからなかった。
「……牛丼?とやらを1つ」
「はい。お待ちください」
品書きを見ながら悩み悩んだ結果、出てきた言葉は昨晩も食べた牛丼というもの。それを口にすれば料理人は頷いて奥に設置されている厨房に行き作り始めた。
俺は自分が言った牛丼の単語に間違えはなかったと安心のため息をつくと人影が俺の横に見える。その人は片手を軽く上げて厨房へと話しかけた。
「すみませーん。スペシャルガーリックライス肉を添えて1つください。トッピングにマヨネーズお願いします」
「が、学長…!了解しました!」
聞いたことがある凄まじい料理名が唱えられたと同時に俺は横を向けば見慣れた着物女性。その姿と声を聞いた奥の料理人は俺の時よりも嬉しそうに声を張り上げて注文を受け取った。
「リコン学長、今日はよく会うな」
「そうね。でも今は食堂の前を通った時に貴方の姿が見えたから追いかけてきたようなものよ」
「俺に用があるのか?」
「ただ単にお話ししたいだけ」
「話すことは何もない」
「大丈夫。私こう見えてもコミュニケーションを取るのは得意なの。会話は私に身を委ねれば良いわ」
「は?」
「一緒に食べましょう?」
「……構わん」
微笑むリコン学長の申し出に断る理由が見つからなかった俺は渋々と頷いた。
「Aクラスの子達は?」
「全員任務だ」
「そう。最近カゲルが活性化しているから任務が多くなるのは当然ね。…申し訳ないと思っているわ」
「そんな気持ちがあるのか?」
「勿論よ。年齢は違えどあの子達は学生。青春の真っ最中なのだから」
「……一緒に食べるついでに教えてくれないか」
「何を?」
「この世界についてだ」
「まるでこの世界の人じゃないみたいな言い方ね」
「俺は一度死んでいる」
「よくわからないけど良いわよ。アカデミーの教師に教えない理由は無いもの」
注文場所で軽く会話をしていると、料理人が急いだように品物を持ってくる。
「お待たせしました!スペシャルガーリックライス肉を添えて、トッピングマヨネーズですね。おまけでフライドガーリック乗せときました!」
「ありがとう」
「いえ!学長にはお世話になりっぱなしなので!」
「そう?私も貴方にお世話になってるわ」
「嬉しいお言葉です!……えっと牛丼はこちらですね」
「ああ」
俺の時は随分と声の高さが違うな。リコン学長相手だと尻尾を振った犬のように見える。俺は牛丼を受け取ってリコン学長と共に近くのテーブルへ座った。
「それじゃあ前失礼するわね」
向かい合う形で座った俺達はあらかじめ置いてある箸に手を伸ばして食事を頂く。昨日も食べたが、やはり牛丼は美味しい。
今日の朝ごはんに食べたふれんちとーすとも美味だった。後で生徒達に他の料理のことを聞いてみよう。ここを追い出される前に色んなものを食べておきたい。
「ん~!やっぱりこれね」
「昨日ミロクニも食べていた。俺も少し頂いたが……随分と重い品ではないか?」
「それが良いんじゃない。活力が高まってこれからのお仕事も頑張れそう」
「上にかかっている白いやつは何だ?」
「マヨネーズよ。ミロクニはかけてなかった?」
「ああ」
「それじゃあまだまだね。マヨネーズがあってこそのコッテリ感。それにおまけのフライドガーリックが良い味出してる。これを食べてこその真の料理よ」
「理解できん」
リコン学長が箸で米と肉を掬うとミロクニが食べていた時よりもきつい香りが俺の方に来る。やはり一緒に食べない方が良かったのかもしれない。嫌な香りではないけど、肺辺りが少し重くなる気がした。
「それで?何が聞きたいの?」
「正直わからないことだらけだ。見知らぬ金属の物や動く個室……。カムイ王都では見たことがない。それにカゲルの存在。黒い人間がカゲルという名前なのはわかったが、何故そんな奴らが彷徨いているのか」
「結局は全てがわからないってことね」
「物については後で聞こう。とりあえずこのアカデミーのことを詳しく説明してくれ」
俺牛丼の肉を口に運んで噛み締めながらリコン学長に尋ねた。リコン学長は相変わらず凄い香りを俺に届かせながら食べている。
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