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1章 生徒との出会い
13話 騒がしい歓迎会
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全く…。カムイ王都は田舎ではないと言うのに。むしろ他の国よりは発展していると言っても過言ではない。それなのに何故こいつらはみんな田舎だと勘違いしているのだ?死者の世界は通じないことが多くて困る。
「なら私のもシェアしましょう。どうぞ、シンリン先生」
「……あげる」
「何だこれは」
釣られに釣られたアサガイ委員長とミロクニも皿に自分の料理を取り分ける。こんなに食べれるだろうかと心配になるほど生徒から貰ってしまった。
しかし差し出さられた2人の品に俺は固まってしまう。アサガイ委員長がくれた料理は何やら真っ赤に染まっていて香りもキツい。湯気に顔を近づければ滲みたように目が痛くなった。
それよりも存在感を放っているのはミロクニの料理だ。これは……山?肉の山か?大きな丼に茶色の肉がこれでもかと溢れんばかりに乗せられている。ここに来るまでによく崩壊しなかったなと感心させられるくらいに。
「これは唐辛子と豆腐を沢山の香辛料で煮込んだ麻婆豆腐です。ご飯と食べると病みつきになって本当に美味しいんですよ」
「スペシャルガーリックライス肉を添えて」
「み、ミロクニ、今なんて言った?」
「スペシャルガーリックライス肉を添えて」
「肉を添えて……?これが添え物…?」
麻婆豆腐はカムイ王都でも聞いたことがある。民の一部分が好んで食べると言われている激辛料理だ。
いかにも体に悪そうな料理だったので俺のような宮殿の人間は一度も口にしたことはないが、ここでお目にかかるとは。しかし、今もなお煮えたっているこの料理を食べろというのか?
「アサガイ委員長、ミロクニ、ありがとう…」
「良いんです。歓迎会なので!」
「……食べて」
「アリガタクイタダコウ」
俺は目の前に並べられた様々な料理を眺める。2つの品を除けば食欲が刺激されるものばかりだった。ただ、これを全て食べるのには相当な覚悟が必要になる。
特にミロクニが取り分けた、呪文のような丼。もし歓迎会でなくて、普段のように食べていたとすればミロクニは無限の胃袋の持ち主だ。取り分けても大量にあるミロクニの丼は脂で輝いていた。
「それでは初めても良いですか?」
「いつでもOK!」
「うむ、始めよう」
「それではシンリン先生、改めてAクラスへようこそ!これから私達のご指導よろしくお願いします!」
「ああ、こちらこそ…」
「「「頂きます」」」
「い、頂きます…」
俺はゴクリと唾を飲み込んで、アサガイ委員長が選んでくれた肉料理の牛丼から手をつける。
「……美味い!」
「うぉ!ビビった!」
「すまない!でもこれは美味い!」
「気に入ってくれて良かったです。牛丼は他の生徒さん達もよく頼む人気メニューなんですよ」
「先生族よ、ゆっくり食べた方がいいぞ」
「貴方の分の水はこれだ」
「……こっちも食べて」
「あっズルい!先生、あたしのハンバーグも食べてよ!」
「ペペロンチーノも美味い。さぁ、食ってくれ」
「カレーのチーズは後半にかけた方がいい。最初にかけてしまうと主張が強くなってしまう」
「麻婆豆腐はこうやってご飯にかけて食べてください!」
「ちょ、ちょっと待て!」
テーブルの中心にいる俺は周りから料理を押し付けられて色んな香りが混ざり合う。この状況を止めてくれる奴は今は存在しないようで俺は生徒達の料理を一口ずつ無理矢理口に押し込めていった。
全部の料理が濃い味で出来ているので口の中がおかしくなる。アサガイ委員長の料理に至っては口から炎が出そうなくらいに痛くて辛かった。
「み、水…水を…!」
俺が辛さで苦しむ姿を見て笑うリンガネ。そんな反応をするとは予想出来てなかったようで慌てるアサガイ委員長。水を用意してくれるハルサキとカムラ。そして感情が読めないミロクニ。
早い夕食なので他のAクラス以外の人間は誰1人居なかったが、まるで大勢いるかのようにこのテーブルは盛り上がっていた。
「良くこれを食べれるな…アサガイ委員長」
「私はよく辛いのを食べるので普通なんですけど…。食べるとスッキリするんですよ」
「こんなのでスッキリするのは委員長くらいだぜ?」
「で、でもハルサキさんのカレーだって辛さはありますよね?」
「俺は甘口にしてもらっている」
「甘口!?ハルサキってお子ちゃま舌かよ!」
「暴走族よ。人それぞれだ。黙れ」
「……先生、これ食べた後は歯磨きした方がいい」
「ミロクニ。お前だけ話がズレてないか?」
「……?」
あっちこっちで談笑して、騒いで、時々怒ってと感情が忙しい。宮殿にいた時の食事はもっと静かで話す内容なんて業務のことだけだった。食事で騒がしいのは初めてかもしれない。
……初めてなのに、俺はなんだか楽しいと思ってしまった。ここに任務で居ないというレオンとヒマワリが来たらもっとうるさくなるのだろう。でもそんな風景も見てみたいとと想像してしまうのはきっと死者の世界にまだ戸惑っているからだと信じる。
明日になれば頭の熱は冷めて、生徒達から嫌われようとする生活が待っているはずだ。けれども俺は今のこの瞬間、楽しくて自然と口角が上がっていた。
「なら私のもシェアしましょう。どうぞ、シンリン先生」
「……あげる」
「何だこれは」
釣られに釣られたアサガイ委員長とミロクニも皿に自分の料理を取り分ける。こんなに食べれるだろうかと心配になるほど生徒から貰ってしまった。
しかし差し出さられた2人の品に俺は固まってしまう。アサガイ委員長がくれた料理は何やら真っ赤に染まっていて香りもキツい。湯気に顔を近づければ滲みたように目が痛くなった。
それよりも存在感を放っているのはミロクニの料理だ。これは……山?肉の山か?大きな丼に茶色の肉がこれでもかと溢れんばかりに乗せられている。ここに来るまでによく崩壊しなかったなと感心させられるくらいに。
「これは唐辛子と豆腐を沢山の香辛料で煮込んだ麻婆豆腐です。ご飯と食べると病みつきになって本当に美味しいんですよ」
「スペシャルガーリックライス肉を添えて」
「み、ミロクニ、今なんて言った?」
「スペシャルガーリックライス肉を添えて」
「肉を添えて……?これが添え物…?」
麻婆豆腐はカムイ王都でも聞いたことがある。民の一部分が好んで食べると言われている激辛料理だ。
いかにも体に悪そうな料理だったので俺のような宮殿の人間は一度も口にしたことはないが、ここでお目にかかるとは。しかし、今もなお煮えたっているこの料理を食べろというのか?
「アサガイ委員長、ミロクニ、ありがとう…」
「良いんです。歓迎会なので!」
「……食べて」
「アリガタクイタダコウ」
俺は目の前に並べられた様々な料理を眺める。2つの品を除けば食欲が刺激されるものばかりだった。ただ、これを全て食べるのには相当な覚悟が必要になる。
特にミロクニが取り分けた、呪文のような丼。もし歓迎会でなくて、普段のように食べていたとすればミロクニは無限の胃袋の持ち主だ。取り分けても大量にあるミロクニの丼は脂で輝いていた。
「それでは初めても良いですか?」
「いつでもOK!」
「うむ、始めよう」
「それではシンリン先生、改めてAクラスへようこそ!これから私達のご指導よろしくお願いします!」
「ああ、こちらこそ…」
「「「頂きます」」」
「い、頂きます…」
俺はゴクリと唾を飲み込んで、アサガイ委員長が選んでくれた肉料理の牛丼から手をつける。
「……美味い!」
「うぉ!ビビった!」
「すまない!でもこれは美味い!」
「気に入ってくれて良かったです。牛丼は他の生徒さん達もよく頼む人気メニューなんですよ」
「先生族よ、ゆっくり食べた方がいいぞ」
「貴方の分の水はこれだ」
「……こっちも食べて」
「あっズルい!先生、あたしのハンバーグも食べてよ!」
「ペペロンチーノも美味い。さぁ、食ってくれ」
「カレーのチーズは後半にかけた方がいい。最初にかけてしまうと主張が強くなってしまう」
「麻婆豆腐はこうやってご飯にかけて食べてください!」
「ちょ、ちょっと待て!」
テーブルの中心にいる俺は周りから料理を押し付けられて色んな香りが混ざり合う。この状況を止めてくれる奴は今は存在しないようで俺は生徒達の料理を一口ずつ無理矢理口に押し込めていった。
全部の料理が濃い味で出来ているので口の中がおかしくなる。アサガイ委員長の料理に至っては口から炎が出そうなくらいに痛くて辛かった。
「み、水…水を…!」
俺が辛さで苦しむ姿を見て笑うリンガネ。そんな反応をするとは予想出来てなかったようで慌てるアサガイ委員長。水を用意してくれるハルサキとカムラ。そして感情が読めないミロクニ。
早い夕食なので他のAクラス以外の人間は誰1人居なかったが、まるで大勢いるかのようにこのテーブルは盛り上がっていた。
「良くこれを食べれるな…アサガイ委員長」
「私はよく辛いのを食べるので普通なんですけど…。食べるとスッキリするんですよ」
「こんなのでスッキリするのは委員長くらいだぜ?」
「で、でもハルサキさんのカレーだって辛さはありますよね?」
「俺は甘口にしてもらっている」
「甘口!?ハルサキってお子ちゃま舌かよ!」
「暴走族よ。人それぞれだ。黙れ」
「……先生、これ食べた後は歯磨きした方がいい」
「ミロクニ。お前だけ話がズレてないか?」
「……?」
あっちこっちで談笑して、騒いで、時々怒ってと感情が忙しい。宮殿にいた時の食事はもっと静かで話す内容なんて業務のことだけだった。食事で騒がしいのは初めてかもしれない。
……初めてなのに、俺はなんだか楽しいと思ってしまった。ここに任務で居ないというレオンとヒマワリが来たらもっとうるさくなるのだろう。でもそんな風景も見てみたいとと想像してしまうのはきっと死者の世界にまだ戸惑っているからだと信じる。
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