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1章 生徒との出会い
12話 リンガネの告白
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「だーかーら!あたしは強い人が好きなの!」
「……それは俺に好意を持っていると言うことか?生憎恋愛は興味がない」
「ちげーよ!!どうやったらそうなる!?」
「そのままの意味を理解しただけだ」
「先生の頭ってお花畑!」
テーブルでリンガネと2人きりになるとどう解釈して良いかわからない発言をされる。俺は自分が感じたように読み解いた結果、花畑と馬鹿にされてしまった。
それでも意味がわからなくて本当にこいつは面倒臭い人間だと何度目かの認識をする。お互いの思考に引きつつあった俺達は同時にため息をついて顔を見合わせた。
「意味を教えろ」
「あー、はいはい。あたしは強い人が好き」
「それは聞いた。俺にどう答えてほしかったんだ?」
「別にあたしは一言も強い他人が好きなんて言ってないぜ?あたしは強いあたしが好きなんだ」
「強い自分が好きなんて一言も聞かされていない」
「…………」
「図星か?」
「うるさいなぁ。……意味を言うと、あたしはもっと強くなりたいんだよね。ヒーローみたいに。でもAクラスにはちゃんとした先生が居なかったからどうすれば良いのかわからなくてさ、何も出来なくて今に至る」
「でもあの黒い人間を倒せる実力はあるのだろう?」
「あれは最低限の力。討伐アカデミーに入った人間はあれくらい普通にこなすんだよ。でもあたしはそれ以上になりたい」
「…だから俺と戦いたかったのか?」
「ちゃんと理解できてんじゃん。そうだよ。戦えば強くなれる。その相手が自分よりも強ければ強いほど良い」
リンガネは机に片肘をついて、その手に頬を乗せる。表情はニヤリと何かを企んでいるような顔だった。俺はリンガネの考え方に再度ため息を出す。思考が脳筋というか……単純すぎな気がした。
「確かに強い奴と戦えば技の収穫が多いだろう。しかしそれが自分の強さに繋がるわけじゃない」
「どういうこと?」
「強い相手に何度ぶつかっても技の種類や派生、動き方の正しさを脳内に入れておかないと成長速度は極めて遅い。お前、学問が苦手なんだよな?」
「座学よりも体を動かしていた方が楽」
「例えば初めて解く問題を考えてみろ。それは今まで見たことのない問題だ。解き方なんて自分の頭にない。そんな状態で解答を導き出せるのか?」
「……出せない」
「そうだ。その問題に適した公式をあらかじめ覚えてなくてはならない。でもお前の考え方は公式を知らないうちにその問題を解こうとしているんだ。結果、正解は出すことができない」
「つまり、公式を先に覚えろってこと?」
「武術に例えるならまず受け身や刀の技の基礎を頭に入れろ。そこから鍛錬して自分の苦手な部分を見つけて、得意部分を伸ばせ」
「ふーん」
「わかっているのか?」
「まだ先生とは戦えない?」
「今はその時じゃない」
俺はリンガネの目を見て伝わるように答えた。リンガネは少し納得したように軽く何度も頷いて俺から視線を逸らす。全部はわからないにしろ、肝心な部分がわかればいいのだ。
「しかし、まだ俺はお前達の実力を知らない。もし武術の公式がわかっているのならばすぐにでも相手をしてやる」
「本当に!?」
「公式がわかっていればだ」
「わかる!あたし知ってる!」
「…………とりあえず鍛錬の時に公式を知っているか見てやる」
「ああ!わかった!」
やっぱりこいつを飼い慣らすのは難しそうだ。絶対わかってないのにわかっていると嘘をついている。
いや、その前についさっき言った公式の教えさえ頭に入ってないのかもしれない。なんだか鈍い頭痛を感じた。
「随分盛り上がっているな。先生族、暴走族」
「食事を持ってきた。分けれるように取り皿も一応」
ここに来てから数えたくもないため息を出そうとすると前の方からおぼんに料理を乗せたカムラとハルサキが帰って来る。良い香りと湯気が漂う料理に俺は目を見開いた。
その後ろからもアサガイ委員長とミロクニがやって来て、テーブルには色とりどりの料理が並べられる。
「お待たせしました。シンリン先生の肉料理は牛丼です」
「牛丼……」
「これはハルサキさんのカレーと、トッピングのチーズです」
「かれー、ちーず…」
ハルサキが頼んだ料理は米に香辛料が強く香る汁がかかっており、その隣には白色に近い何かが乗せてある小鉢が置かれていた。
「先生族、俺のペペロンチーノを少し分けてやろう」
「ぺぺ…?」
「む?初めてか?」
「凄い香りがするな」
「ニンニクだ。それとオリーブオイル、唐辛子。美味いぞ」
「…貰おう」
「ならあたしのハンバーグも分けてやるよ!」
「これは、肉か…?」
「ハンバーグも知らないなんて……!先生すげーな!天然記念物じゃんか!」
「は?」
「とりあえずあたしの分もあるから4分の1な!」
「ああ…」
カムラはハルサキが持ってきた取り皿に麺を盛り、リンガネは肉の塊とその周りに垂らしてある汁をかけて俺に渡した。
「有難い」
「…俺のも」
「良いのか?」
「他の奴らがあげているのに俺がやらなかったらなんか変だから」
2人に釣られたハルサキも丁寧に皿にかれーとやらを盛り付ける。その端の方にはちーずを散らしてくれた。
「すまない」
「良いんだ。貴方は今まで何を食べてきた?」
「何と言われても…普通の食事だ。しかしここの料理はどれも見たことがない」
「随分な田舎なんだな」
「カムイ王都だ」
「……それは俺に好意を持っていると言うことか?生憎恋愛は興味がない」
「ちげーよ!!どうやったらそうなる!?」
「そのままの意味を理解しただけだ」
「先生の頭ってお花畑!」
テーブルでリンガネと2人きりになるとどう解釈して良いかわからない発言をされる。俺は自分が感じたように読み解いた結果、花畑と馬鹿にされてしまった。
それでも意味がわからなくて本当にこいつは面倒臭い人間だと何度目かの認識をする。お互いの思考に引きつつあった俺達は同時にため息をついて顔を見合わせた。
「意味を教えろ」
「あー、はいはい。あたしは強い人が好き」
「それは聞いた。俺にどう答えてほしかったんだ?」
「別にあたしは一言も強い他人が好きなんて言ってないぜ?あたしは強いあたしが好きなんだ」
「強い自分が好きなんて一言も聞かされていない」
「…………」
「図星か?」
「うるさいなぁ。……意味を言うと、あたしはもっと強くなりたいんだよね。ヒーローみたいに。でもAクラスにはちゃんとした先生が居なかったからどうすれば良いのかわからなくてさ、何も出来なくて今に至る」
「でもあの黒い人間を倒せる実力はあるのだろう?」
「あれは最低限の力。討伐アカデミーに入った人間はあれくらい普通にこなすんだよ。でもあたしはそれ以上になりたい」
「…だから俺と戦いたかったのか?」
「ちゃんと理解できてんじゃん。そうだよ。戦えば強くなれる。その相手が自分よりも強ければ強いほど良い」
リンガネは机に片肘をついて、その手に頬を乗せる。表情はニヤリと何かを企んでいるような顔だった。俺はリンガネの考え方に再度ため息を出す。思考が脳筋というか……単純すぎな気がした。
「確かに強い奴と戦えば技の収穫が多いだろう。しかしそれが自分の強さに繋がるわけじゃない」
「どういうこと?」
「強い相手に何度ぶつかっても技の種類や派生、動き方の正しさを脳内に入れておかないと成長速度は極めて遅い。お前、学問が苦手なんだよな?」
「座学よりも体を動かしていた方が楽」
「例えば初めて解く問題を考えてみろ。それは今まで見たことのない問題だ。解き方なんて自分の頭にない。そんな状態で解答を導き出せるのか?」
「……出せない」
「そうだ。その問題に適した公式をあらかじめ覚えてなくてはならない。でもお前の考え方は公式を知らないうちにその問題を解こうとしているんだ。結果、正解は出すことができない」
「つまり、公式を先に覚えろってこと?」
「武術に例えるならまず受け身や刀の技の基礎を頭に入れろ。そこから鍛錬して自分の苦手な部分を見つけて、得意部分を伸ばせ」
「ふーん」
「わかっているのか?」
「まだ先生とは戦えない?」
「今はその時じゃない」
俺はリンガネの目を見て伝わるように答えた。リンガネは少し納得したように軽く何度も頷いて俺から視線を逸らす。全部はわからないにしろ、肝心な部分がわかればいいのだ。
「しかし、まだ俺はお前達の実力を知らない。もし武術の公式がわかっているのならばすぐにでも相手をしてやる」
「本当に!?」
「公式がわかっていればだ」
「わかる!あたし知ってる!」
「…………とりあえず鍛錬の時に公式を知っているか見てやる」
「ああ!わかった!」
やっぱりこいつを飼い慣らすのは難しそうだ。絶対わかってないのにわかっていると嘘をついている。
いや、その前についさっき言った公式の教えさえ頭に入ってないのかもしれない。なんだか鈍い頭痛を感じた。
「随分盛り上がっているな。先生族、暴走族」
「食事を持ってきた。分けれるように取り皿も一応」
ここに来てから数えたくもないため息を出そうとすると前の方からおぼんに料理を乗せたカムラとハルサキが帰って来る。良い香りと湯気が漂う料理に俺は目を見開いた。
その後ろからもアサガイ委員長とミロクニがやって来て、テーブルには色とりどりの料理が並べられる。
「お待たせしました。シンリン先生の肉料理は牛丼です」
「牛丼……」
「これはハルサキさんのカレーと、トッピングのチーズです」
「かれー、ちーず…」
ハルサキが頼んだ料理は米に香辛料が強く香る汁がかかっており、その隣には白色に近い何かが乗せてある小鉢が置かれていた。
「先生族、俺のペペロンチーノを少し分けてやろう」
「ぺぺ…?」
「む?初めてか?」
「凄い香りがするな」
「ニンニクだ。それとオリーブオイル、唐辛子。美味いぞ」
「…貰おう」
「ならあたしのハンバーグも分けてやるよ!」
「これは、肉か…?」
「ハンバーグも知らないなんて……!先生すげーな!天然記念物じゃんか!」
「は?」
「とりあえずあたしの分もあるから4分の1な!」
「ああ…」
カムラはハルサキが持ってきた取り皿に麺を盛り、リンガネは肉の塊とその周りに垂らしてある汁をかけて俺に渡した。
「有難い」
「…俺のも」
「良いのか?」
「他の奴らがあげているのに俺がやらなかったらなんか変だから」
2人に釣られたハルサキも丁寧に皿にかれーとやらを盛り付ける。その端の方にはちーずを散らしてくれた。
「すまない」
「良いんだ。貴方は今まで何を食べてきた?」
「何と言われても…普通の食事だ。しかしここの料理はどれも見たことがない」
「随分な田舎なんだな」
「カムイ王都だ」
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