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1章 君の呟きが炎上した
6話 噂に侵食される
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翌日の俺はいつもより舞い上がっていた。後もう少しで倉持さんから借りた本を読み終える。
昨日帰宅してからずっと読んでいた百合ファンタジーの小説。
普段小説を読まない俺は慣れない文章と単語に脳がパンクしそうになったけど、やっとのこと読み進められた。
放課後は倉持さんの家に行くから、残りの読書チャンスはこの昼休みの時間のみ。
小説と睨めっこする俺を珍しそうに見ている佐倉は大きな音を立てながらパックのジュースを飲み干した。
「何読んでんだよ。漫画?」
「小説」
「なんの小説?」
「青春系の感動もの、かな」
「凪斗って小説読めたんだ」
「頑張れば読めるみたい」
「一丁前にブックカバー付けちゃって。読書男子かよ」
数年前に買った漫画に付いてきたブックカバー。これを付ければ一丁前になるのだろうか。
それはよくわからないけど、ブックカバーは百合小説だとバレないようにするためだ。
もし俺が真剣に百合小説を読んでいるとなったら当然クラスの標的にされる。
倉持さんの一件でこのクラスではそういう系の話に敏感になっていた。
「にしても女子って怖いよな」
「急にどうしたの?」
「倉持さんの炎上の話題がさ、2年以外にも広がってんだよ」
「2年以外って……先輩や後輩にもってこと?」
「そうそう。多分女子のコソコソ話のせいだろうな。それに倉持さんが1ヶ月も登校していないってなるとほぼ確定だろ?こんなことされたら余計に学校来れなくなるぞ」
佐倉は愉快に笑いながらパックのジュースを握り潰す。何だかその姿にゾワっとしてしまった。
「でも一体誰がバラしたんだろう。倉持さんのアカウント」
「確かにそれ気になるよな。元々そのアカウントと繋がっていた生徒って聞いたけど、今になっては何が正解かわからん。そもそも同じクラスか他クラスかさえもわからん」
「噂ってどんどん事実から遠くなるからね」
「いずれ学校中に広がるだろうな。きっと先生達も知っている人は知っているだろうし。うちの担任も知ってんのかな?」
「さぁ…」
俺はこの件の事実を知っている。でもクラスメイトは知らない。
なのに憶測で飛んでいる仮説は倉持さんが答えてくれた事実と一致していた。
俺は再び小説に目を向ける。クライマックスの戦闘シーンが終わった物語は、平穏な雰囲気を出しながらも次に来る試練を匂わせていた。
昨日帰宅してからずっと読んでいた百合ファンタジーの小説。
普段小説を読まない俺は慣れない文章と単語に脳がパンクしそうになったけど、やっとのこと読み進められた。
放課後は倉持さんの家に行くから、残りの読書チャンスはこの昼休みの時間のみ。
小説と睨めっこする俺を珍しそうに見ている佐倉は大きな音を立てながらパックのジュースを飲み干した。
「何読んでんだよ。漫画?」
「小説」
「なんの小説?」
「青春系の感動もの、かな」
「凪斗って小説読めたんだ」
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それはよくわからないけど、ブックカバーは百合小説だとバレないようにするためだ。
もし俺が真剣に百合小説を読んでいるとなったら当然クラスの標的にされる。
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「にしても女子って怖いよな」
「急にどうしたの?」
「倉持さんの炎上の話題がさ、2年以外にも広がってんだよ」
「2年以外って……先輩や後輩にもってこと?」
「そうそう。多分女子のコソコソ話のせいだろうな。それに倉持さんが1ヶ月も登校していないってなるとほぼ確定だろ?こんなことされたら余計に学校来れなくなるぞ」
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「でも一体誰がバラしたんだろう。倉持さんのアカウント」
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「いずれ学校中に広がるだろうな。きっと先生達も知っている人は知っているだろうし。うちの担任も知ってんのかな?」
「さぁ…」
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なのに憶測で飛んでいる仮説は倉持さんが答えてくれた事実と一致していた。
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