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異世界 〜不可解〜
幻想的な霊獣
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真っ暗な空間で自動的に流れる光景に脳を傾ける。
俺は神家雅人。
平凡でどこにでもいるような男子高校生。
平凡だが、俺には負けないことがあった。
それは片想いの相手への恋心の熱さ。
これだけは誰にも負けない自信がある。
「まさとくん!」
出会いはいつだかわからない。
気づいたら一緒に居た。
隣の家同士だったからだろう。
幼稚園も小学校も中学校もそして高校でさえ着いて行くようにあの子の後ろを追いかけた。
「まさと!」
好きなんだって自覚したのもいつだかわからない。
気づいたら溢れかえるくらい拗らせていた。
でも告白なんて勇気が出ないから俺はずっと隠し通してあの子の後ろを歩いていたんだ。
「雅人」
遂に自分が耐えられなくなったのは高校1年生の7月。
想いが爆発しそうな感じなのは今でもそうだ。
それにあの子は受験生。
機会を逃したら本当に終わりだから、俺は思い切ってあの子と一緒に帰るのを約束した。
そして帰り道。
俺は美姫ちゃんに告白したんだ。
「う……ん……」
それにしても何だろう。
真っ暗な空間のはずなのに体が暖かい。
何かに包まれている感覚だ。
人の体温ではなさそう…。
俺はうっすらと目を開けて数回瞬きした。
眩しい日の光が俺の視覚をバグらせる。
「起きましたか?」
口調からして巫女様か。
俺は小さく頷いて返事をすると顔に風がかかる。
少し緩い風だ。
やっと目を開けられた俺は真っ黒で大きな目に捕らえられる。
体が金縛りにあったように止まった。
「え……」
「初めまして、、ですね」
白虎。
真っ白な体で黒の線の模様が入っている。
大きく鋭い目は、俺が目を覚ましたのを見ると細くなった。
俺は口を開けて目の前にいる霊獣に驚く。
そして自分の周囲を見ると俺は白虎様の体に背中を預けるようにして座っていた。
「ご、ごめんなさい!」
「無理矢理動かないでください。死にますよ」
「はい!!」
立ちあがろうとしたけど白虎様の言葉に従って動きを止めた。
「神家雅人。会えて嬉しいです」
「お、俺もです!」
「緊張は無用。私と貴方は大して変わらないのですから」
「はい!」
「無用と言ってるのに……」
白虎様は呆れるようにしているけど、俺は緊張を解くことは出来なかった。
それにしても白虎様の性別って女性らしい。
いや、男性の場合もあるから決めつけはよくない。
しかし外見ではどちらかはわからなかった。
というか喋れるんだ……。
白虎様伏せの体勢で顔だけを俺に向け、また目を細める。
俺もその目を見つめていたが先程の状況が頭の中に流れて俺と白虎様の周りを見渡す。
森の中には変わらないが、巫女様の社がある場所よりも少し薄暗かった。
木々の間から差し込む光が幻想的な場所だ。
「ここは…」
「私の住処です。まぁ普段は森を駆け回っているので住処と言っていいのかわかりませんが」
「あの!巫女様は!?さっき強風が吹いたけど……。村のみんなは無事ですか!?」
「静かに。傷が開きます」
「傷?」
白虎様に言われて腕や足を確認するが傷らしきものは1つもない。
服を捲ってお腹を見てみても何も付いてなかった。
「どこにもありませんが…」
「頭です」
「頭!?」
「強風により、巫女に私の意思を伝えようと口を開けたところ風で貴方が飛ばされてきて口の中に入り少々噛んでしまいました」
「嘘…」
「嘘です」
「え」
俺はペタペタと頭を触るが傷は見当たらず、白虎様に問いかけるとすぐにネタバラシされる。
もしかして白虎様って意外とお茶目な方なのだろうか?
騙された俺に満足したようらしく、少し鼻息が大きくなって緩い風が俺の顔にかかった。
「村は至って無事です」
俺は目を閉じて白虎様から送られる鼻息を感じていると静かに話す。
その言葉に安心するけど白虎様は目を細めない。
まだ何かあるのかと俺が首を傾げるとゆっくりと立ち上がった。
「乗りなさい。貴方の歩幅だと、置いて行ってしまいます」
「えっと……」
「何でしょう?ここから村までは距離があります。疲れますよ」
「ありがとうございます。でもその前に1つだけ質問があるんです」
「それは移動しながら答えましょう」
「面と向かって聞きたい」
俺は白虎様の前に立つ。
返事も聞かずに言葉を続けた。
「俺と美姫ちゃんは厄災なのですか?」
「………」
体感的に森の風が止んだ気がした。
しかし木々の葉が揺れる音は響き渡る。
俺と白虎様はしばらくの間見つめ合っていた。
何を考えてるかもわからない。
白虎様のことも、そして自分の事も。
「貴方は、この世界創った者は知っていますか?」
「知りません」
「私も知りません。霊獣なんて言われて、この身を授かっても何もわからない。その前に『者』と呼んでいいのかもわかりません。私は普通の人間達と全く変わらないのです」
白虎様は大きな体を屈めて俺の顔に近づける。
それでも高い位置にいるので俺は必然的に上を見て話していた。
「神家雅人と石竹美姫がここに来た理由、加えて何故書物にも同じ事が書かれているか。そして2人が厄災と称していいのか。霊獣白虎でもわからないとしか言えない」
「そう、ですか」
「……村は無事です。しかし多少の被害が出ている。もしあの時の強風が2人の仕業と知ってしまったら……私は貴方達を殺すしかありません」
「…!」
「私はこの地を守る者。霊獣白虎」
苦虫を噛み潰したような顔になっていくのがわかる。
意識的に俺と美姫ちゃんがやっているわけじゃない。
それなのに殺されるなんて酷い話ではないか。
歯を食いしばりすぎて震え出す。
それでも怒りが収まる気配はしなかった。
矛先は白虎様か。
それとも俺達を連れてきた奴か。
どちらにせよ、弱い俺はこのまま行けば美姫ちゃんと一緒に死ぬことになる。
「乗りなさい」
白虎様は俺が乗りやすい位置まで下がってくれる。
俺は俯きながら白虎様の大きな背中に乗った。
「振り落とされないように気をつけて」
そう俺に言った瞬間、風を切るように走り出した白虎様。
この場所は道なんてない。
だから森に生え聳える木と木の間を抜けるしかないのだ。
それでもぶつかる事なく前へ前へと進んで行く。
本当に振り落とされてしまいそうだ。
俺はさらに手と足に力を込めた。
「貴方自身、死ぬ事は怖いですか?」
そんなの怖いに決まってる。
怖くない奴なんているはずないだろ。
怒鳴り声で言ってやりたいのに俺は白虎様が走ることによって吹かれる風で上手く喋れない。
それでも俺の答えを見透かしたように白虎様は話す。
「死ぬのが怖いと言うことは、まだ未練があると言うこと。生きているうちにやりたい事はやっていた方が良いですね」
もう、死ぬのは確定なのか?
その言葉さえ喋れずに俺は風に当たらないよう体を縮こめた。
俺は神家雅人。
平凡でどこにでもいるような男子高校生。
平凡だが、俺には負けないことがあった。
それは片想いの相手への恋心の熱さ。
これだけは誰にも負けない自信がある。
「まさとくん!」
出会いはいつだかわからない。
気づいたら一緒に居た。
隣の家同士だったからだろう。
幼稚園も小学校も中学校もそして高校でさえ着いて行くようにあの子の後ろを追いかけた。
「まさと!」
好きなんだって自覚したのもいつだかわからない。
気づいたら溢れかえるくらい拗らせていた。
でも告白なんて勇気が出ないから俺はずっと隠し通してあの子の後ろを歩いていたんだ。
「雅人」
遂に自分が耐えられなくなったのは高校1年生の7月。
想いが爆発しそうな感じなのは今でもそうだ。
それにあの子は受験生。
機会を逃したら本当に終わりだから、俺は思い切ってあの子と一緒に帰るのを約束した。
そして帰り道。
俺は美姫ちゃんに告白したんだ。
「う……ん……」
それにしても何だろう。
真っ暗な空間のはずなのに体が暖かい。
何かに包まれている感覚だ。
人の体温ではなさそう…。
俺はうっすらと目を開けて数回瞬きした。
眩しい日の光が俺の視覚をバグらせる。
「起きましたか?」
口調からして巫女様か。
俺は小さく頷いて返事をすると顔に風がかかる。
少し緩い風だ。
やっと目を開けられた俺は真っ黒で大きな目に捕らえられる。
体が金縛りにあったように止まった。
「え……」
「初めまして、、ですね」
白虎。
真っ白な体で黒の線の模様が入っている。
大きく鋭い目は、俺が目を覚ましたのを見ると細くなった。
俺は口を開けて目の前にいる霊獣に驚く。
そして自分の周囲を見ると俺は白虎様の体に背中を預けるようにして座っていた。
「ご、ごめんなさい!」
「無理矢理動かないでください。死にますよ」
「はい!!」
立ちあがろうとしたけど白虎様の言葉に従って動きを止めた。
「神家雅人。会えて嬉しいです」
「お、俺もです!」
「緊張は無用。私と貴方は大して変わらないのですから」
「はい!」
「無用と言ってるのに……」
白虎様は呆れるようにしているけど、俺は緊張を解くことは出来なかった。
それにしても白虎様の性別って女性らしい。
いや、男性の場合もあるから決めつけはよくない。
しかし外見ではどちらかはわからなかった。
というか喋れるんだ……。
白虎様伏せの体勢で顔だけを俺に向け、また目を細める。
俺もその目を見つめていたが先程の状況が頭の中に流れて俺と白虎様の周りを見渡す。
森の中には変わらないが、巫女様の社がある場所よりも少し薄暗かった。
木々の間から差し込む光が幻想的な場所だ。
「ここは…」
「私の住処です。まぁ普段は森を駆け回っているので住処と言っていいのかわかりませんが」
「あの!巫女様は!?さっき強風が吹いたけど……。村のみんなは無事ですか!?」
「静かに。傷が開きます」
「傷?」
白虎様に言われて腕や足を確認するが傷らしきものは1つもない。
服を捲ってお腹を見てみても何も付いてなかった。
「どこにもありませんが…」
「頭です」
「頭!?」
「強風により、巫女に私の意思を伝えようと口を開けたところ風で貴方が飛ばされてきて口の中に入り少々噛んでしまいました」
「嘘…」
「嘘です」
「え」
俺はペタペタと頭を触るが傷は見当たらず、白虎様に問いかけるとすぐにネタバラシされる。
もしかして白虎様って意外とお茶目な方なのだろうか?
騙された俺に満足したようらしく、少し鼻息が大きくなって緩い風が俺の顔にかかった。
「村は至って無事です」
俺は目を閉じて白虎様から送られる鼻息を感じていると静かに話す。
その言葉に安心するけど白虎様は目を細めない。
まだ何かあるのかと俺が首を傾げるとゆっくりと立ち上がった。
「乗りなさい。貴方の歩幅だと、置いて行ってしまいます」
「えっと……」
「何でしょう?ここから村までは距離があります。疲れますよ」
「ありがとうございます。でもその前に1つだけ質問があるんです」
「それは移動しながら答えましょう」
「面と向かって聞きたい」
俺は白虎様の前に立つ。
返事も聞かずに言葉を続けた。
「俺と美姫ちゃんは厄災なのですか?」
「………」
体感的に森の風が止んだ気がした。
しかし木々の葉が揺れる音は響き渡る。
俺と白虎様はしばらくの間見つめ合っていた。
何を考えてるかもわからない。
白虎様のことも、そして自分の事も。
「貴方は、この世界創った者は知っていますか?」
「知りません」
「私も知りません。霊獣なんて言われて、この身を授かっても何もわからない。その前に『者』と呼んでいいのかもわかりません。私は普通の人間達と全く変わらないのです」
白虎様は大きな体を屈めて俺の顔に近づける。
それでも高い位置にいるので俺は必然的に上を見て話していた。
「神家雅人と石竹美姫がここに来た理由、加えて何故書物にも同じ事が書かれているか。そして2人が厄災と称していいのか。霊獣白虎でもわからないとしか言えない」
「そう、ですか」
「……村は無事です。しかし多少の被害が出ている。もしあの時の強風が2人の仕業と知ってしまったら……私は貴方達を殺すしかありません」
「…!」
「私はこの地を守る者。霊獣白虎」
苦虫を噛み潰したような顔になっていくのがわかる。
意識的に俺と美姫ちゃんがやっているわけじゃない。
それなのに殺されるなんて酷い話ではないか。
歯を食いしばりすぎて震え出す。
それでも怒りが収まる気配はしなかった。
矛先は白虎様か。
それとも俺達を連れてきた奴か。
どちらにせよ、弱い俺はこのまま行けば美姫ちゃんと一緒に死ぬことになる。
「乗りなさい」
白虎様は俺が乗りやすい位置まで下がってくれる。
俺は俯きながら白虎様の大きな背中に乗った。
「振り落とされないように気をつけて」
そう俺に言った瞬間、風を切るように走り出した白虎様。
この場所は道なんてない。
だから森に生え聳える木と木の間を抜けるしかないのだ。
それでもぶつかる事なく前へ前へと進んで行く。
本当に振り落とされてしまいそうだ。
俺はさらに手と足に力を込めた。
「貴方自身、死ぬ事は怖いですか?」
そんなの怖いに決まってる。
怖くない奴なんているはずないだろ。
怒鳴り声で言ってやりたいのに俺は白虎様が走ることによって吹かれる風で上手く喋れない。
それでも俺の答えを見透かしたように白虎様は話す。
「死ぬのが怖いと言うことは、まだ未練があると言うこと。生きているうちにやりたい事はやっていた方が良いですね」
もう、死ぬのは確定なのか?
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