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私は、お前とこうしたかったんだ
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オルさまは人目につかないよう用心しながら、少し離れてアーユーラについていった。
祭りの喧騒がまだ残っている広場を大きく迂回して、北の森の中を通る。夜とはいえ、空を飛ぶ者を尾行するのに比べれば、アーユーラを尾行するのは造作もないことだった。いつもは夜通ると危険な森だが、今夜は翼をもつ者たちはみんな塔の頂に集まっているだろう。
普段と違う人出の多さに、油断していたのかもしれない。
ザッと葉擦れの音がした。一直線に舞い降りてきたラ・ズーが背中にのしかかった。
(しまった!)
オルさまは体勢を崩してその場に膝を突いた。
ここで足止めを食っていてはアーユーラを見失ってしまう。なんとかアーユーラを引き留めなければ。
「アーユーラ!」
声を限りにオルさまは叫んだ。
アーユーラは足を止めた。きょろきょろとあたりを見回している。
背中の翼をもつ者は、大声にひるんで一瞬上体を起こした。
(よし、このまま逃げていってくれ……)
オルさまは祈りながら背中のラ・ズーをちらりと見た。
瞬間、ラ・ズーと目が合った。
「お前は……」
ラ・ズーは驚いたように息をのんだ。その顔に見覚えがあった。枯草色の髪に深い紫の瞳……ツォルガ、とのど元まで出かかった声を飲み込んで、オルさまは言った。
「デグー? 生きていたのか……」
「生きてて悪かったな」
デグーは仇敵を見つけたと言わんばかりにニタリとすごい笑みを浮かべた。
「こっちこそお前のその顔は、忘れようと思っても忘れられるもんじゃねえ。エマニの実をだまし取って俺を射落とした翼をもたぬ者だよな?」
デグーの瞳に、残虐な喜びの炎がともった。
「よくもあの時は罠にはめてくれたな」
「罠にはめたわけではない。エマニの原の場所を突き止めようと尾行していったら、お前がクフベツさまを隠していたから……」
「うるさい」
デグーは祭祀用の飾りがじゃらじゃら付いたオルの着物の裾を苦労しながらまくり上げた。
「お前のおかげで、俺は何もかも失った。今こそ恨みを晴らさせてもらうぞ」
「クフベツさまが欲しければ、お前がおとうさまになればいい」
オルさまは怯えているのを悟られまいと、努めて冷静に言った。
「そんなことできるもんか」
デグーは鼻先で笑った。
「口から出まかせを言うな。命乞いのつもりか?」
「私は本気だ。おとうさまはもう老いた。今夜ハルマヤさまとご結婚できるかどうかも怪しいものだ」
声のする方に近づいてきたアーユーラは、オルさまを組み敷いているラ・ズーの姿を見て驚いて足を止めた。オルさまの声が聞こえた。
「よかったら私が手引きをするぞ。若くて強いおとうさまの卵ほど質がいい。私はむしろ世代交代を歓迎する。それが世界の秩序だからな」
「なにが秩序だ、笑わせるんじゃねえ」
デグーは両手でオルさまの首を絞めあげながら、オルさまの腿を膝で押し広げるとエマを力任せにこじ入れた。
「ぐうっ」
オルさまはうめいた。呼吸ができなかった。エマが裂けて血がにじんだ。血に濡れたエマに容赦なく硬いモノが押し入ってくる。息が詰まり、意識が飛びかけた。思うように挿入できないのに焦れて、デグーはいったんのどを絞めあげていた手を離した。オルさまの両脚をつかんで更に大きく開かせると、体重をかけて無理やり挿入ってくる。オルさまの口からたまらずアーッと悲鳴が漏れた。
アーユーラは驚きで声も出ずに立ち尽くした。あの威厳に満ちたオルさまが、目の前で野蛮なラ・ズーに組み敷かれてエマを犯されている。
アーユーラの目の前であられもない姿態をさらしているという屈辱で、オルさまの顔が火照った。
「塔の頂の扉から中に入ることができる。ご結婚の最中ならおとうさまの息の根を止めるのはたやすいぞ」
オルさまは精いっぱい威厳を保って言った。
「つべこべ言うな」
デグーは再びオルさまののどを絞めあげ、エマを更に深く押し込んだ。ぬちぬちと湿った音をたてながらオルさまのエマがデグーのモノを迎え入れていく。くぐもった声でオルさまはうめいた。
惨めで恥ずかしいはずなのに、とろけそうな快感でオルさまのエマはずきずきと熱く脈打っていた。ツォルガと同じ色の瞳が目の前にあった。クフベツさまを抱いて高く舞い上がったデグーの姿が、スワダナを抱いて舞い上がるツォルガの姿とオーバーラップした。
ツォルガに対する気持ちは、友情なのだと思っていた。けれどツォルガと同じ瞳をしたこのラ・ズーに犯されると、エマが燃えるように火照った。きつく締まったエマの中をぬめぬめした硬いモノが幾度も執拗にこすりあげる。全身がエマになったかのように、どこに触れられても甘いしびれが襲ってきた。デグーがエマを抜き差しするたびに、ひと突きひと突きがずしんずしんと奥まで響いた。オルさまの唇からこらえきれず愉悦の声が漏れた。
アーユーラは目が離せなかった。理性を失って腰を激しく揺すりあげているオルさまの痴態をこぼれんばかりに目を見開いて見つめ続けた。
オルさまは初めての快感に身をゆだねてむせび泣いた。やっとわかった。ツォルガ、私は、お前とこうしたかったんだ。その深い紫の瞳に、狂暴な情欲の火がともるのを見たかったんだ……。
デグーはますます興奮して、オルさまのエマをめちゃくちゃに掻きまわしながら首を絞めあげた。オルさまの目の前に靄がかかった。死とはこんなに甘美なものだったのか……薄れていく意識の中で、オルさまは無我夢中でデグーのエマを奥深くくわえ込んだ。
初めての絶頂に昇りつめながらオルさまは絶命した。
祭りの喧騒がまだ残っている広場を大きく迂回して、北の森の中を通る。夜とはいえ、空を飛ぶ者を尾行するのに比べれば、アーユーラを尾行するのは造作もないことだった。いつもは夜通ると危険な森だが、今夜は翼をもつ者たちはみんな塔の頂に集まっているだろう。
普段と違う人出の多さに、油断していたのかもしれない。
ザッと葉擦れの音がした。一直線に舞い降りてきたラ・ズーが背中にのしかかった。
(しまった!)
オルさまは体勢を崩してその場に膝を突いた。
ここで足止めを食っていてはアーユーラを見失ってしまう。なんとかアーユーラを引き留めなければ。
「アーユーラ!」
声を限りにオルさまは叫んだ。
アーユーラは足を止めた。きょろきょろとあたりを見回している。
背中の翼をもつ者は、大声にひるんで一瞬上体を起こした。
(よし、このまま逃げていってくれ……)
オルさまは祈りながら背中のラ・ズーをちらりと見た。
瞬間、ラ・ズーと目が合った。
「お前は……」
ラ・ズーは驚いたように息をのんだ。その顔に見覚えがあった。枯草色の髪に深い紫の瞳……ツォルガ、とのど元まで出かかった声を飲み込んで、オルさまは言った。
「デグー? 生きていたのか……」
「生きてて悪かったな」
デグーは仇敵を見つけたと言わんばかりにニタリとすごい笑みを浮かべた。
「こっちこそお前のその顔は、忘れようと思っても忘れられるもんじゃねえ。エマニの実をだまし取って俺を射落とした翼をもたぬ者だよな?」
デグーの瞳に、残虐な喜びの炎がともった。
「よくもあの時は罠にはめてくれたな」
「罠にはめたわけではない。エマニの原の場所を突き止めようと尾行していったら、お前がクフベツさまを隠していたから……」
「うるさい」
デグーは祭祀用の飾りがじゃらじゃら付いたオルの着物の裾を苦労しながらまくり上げた。
「お前のおかげで、俺は何もかも失った。今こそ恨みを晴らさせてもらうぞ」
「クフベツさまが欲しければ、お前がおとうさまになればいい」
オルさまは怯えているのを悟られまいと、努めて冷静に言った。
「そんなことできるもんか」
デグーは鼻先で笑った。
「口から出まかせを言うな。命乞いのつもりか?」
「私は本気だ。おとうさまはもう老いた。今夜ハルマヤさまとご結婚できるかどうかも怪しいものだ」
声のする方に近づいてきたアーユーラは、オルさまを組み敷いているラ・ズーの姿を見て驚いて足を止めた。オルさまの声が聞こえた。
「よかったら私が手引きをするぞ。若くて強いおとうさまの卵ほど質がいい。私はむしろ世代交代を歓迎する。それが世界の秩序だからな」
「なにが秩序だ、笑わせるんじゃねえ」
デグーは両手でオルさまの首を絞めあげながら、オルさまの腿を膝で押し広げるとエマを力任せにこじ入れた。
「ぐうっ」
オルさまはうめいた。呼吸ができなかった。エマが裂けて血がにじんだ。血に濡れたエマに容赦なく硬いモノが押し入ってくる。息が詰まり、意識が飛びかけた。思うように挿入できないのに焦れて、デグーはいったんのどを絞めあげていた手を離した。オルさまの両脚をつかんで更に大きく開かせると、体重をかけて無理やり挿入ってくる。オルさまの口からたまらずアーッと悲鳴が漏れた。
アーユーラは驚きで声も出ずに立ち尽くした。あの威厳に満ちたオルさまが、目の前で野蛮なラ・ズーに組み敷かれてエマを犯されている。
アーユーラの目の前であられもない姿態をさらしているという屈辱で、オルさまの顔が火照った。
「塔の頂の扉から中に入ることができる。ご結婚の最中ならおとうさまの息の根を止めるのはたやすいぞ」
オルさまは精いっぱい威厳を保って言った。
「つべこべ言うな」
デグーは再びオルさまののどを絞めあげ、エマを更に深く押し込んだ。ぬちぬちと湿った音をたてながらオルさまのエマがデグーのモノを迎え入れていく。くぐもった声でオルさまはうめいた。
惨めで恥ずかしいはずなのに、とろけそうな快感でオルさまのエマはずきずきと熱く脈打っていた。ツォルガと同じ色の瞳が目の前にあった。クフベツさまを抱いて高く舞い上がったデグーの姿が、スワダナを抱いて舞い上がるツォルガの姿とオーバーラップした。
ツォルガに対する気持ちは、友情なのだと思っていた。けれどツォルガと同じ瞳をしたこのラ・ズーに犯されると、エマが燃えるように火照った。きつく締まったエマの中をぬめぬめした硬いモノが幾度も執拗にこすりあげる。全身がエマになったかのように、どこに触れられても甘いしびれが襲ってきた。デグーがエマを抜き差しするたびに、ひと突きひと突きがずしんずしんと奥まで響いた。オルさまの唇からこらえきれず愉悦の声が漏れた。
アーユーラは目が離せなかった。理性を失って腰を激しく揺すりあげているオルさまの痴態をこぼれんばかりに目を見開いて見つめ続けた。
オルさまは初めての快感に身をゆだねてむせび泣いた。やっとわかった。ツォルガ、私は、お前とこうしたかったんだ。その深い紫の瞳に、狂暴な情欲の火がともるのを見たかったんだ……。
デグーはますます興奮して、オルさまのエマをめちゃくちゃに掻きまわしながら首を絞めあげた。オルさまの目の前に靄がかかった。死とはこんなに甘美なものだったのか……薄れていく意識の中で、オルさまは無我夢中でデグーのエマを奥深くくわえ込んだ。
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