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ースイレンー
第二章 1
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工藤 和也の件から数ヶ月が経つ。
あれ以来、和也は何事もなかったかのように生活を送っている。
サッカーにも真剣に取り組んでいた。和也自身、サッカーを始めたきっかけも覚えていないらしい。
悪夢からは、解放されたがその際に、大事な何かを失ってしまったのでは、ないだろうかと田中 優希は、思ってしまっていた。
和也の記憶改変は、兄である工藤 正の事故以外には、とくに異常が見つからなかった。
事故に関わる出来事だけ都合の良いように改変されていたのだ。
引っ越してきた理由も親の都合によるものとして改変されていた。
日常生活には、なんの支障もなかった。
優希は、いつそんな事が起きたのかを考えていた。
お見舞いに行った次の日、和也は悪夢の事を忘れていた。
和也と別れたのは、夕日が沈む時間に優希の家の前までだった。
だとすると、その後に何かあったんじゃないかと思うのが妥当だ。
そんな事を、一人誰もいない教室で考えていた。今は、放課後ほとんどの生徒は、下校やら部活やらで居なくなっていた。
するとドアの方から声がした。
「ゆうちゃん、何やってるの?帰ろうよ。」
声をかけてきたのは、一つ年が下の幼馴染 東山 香澄だった。
学校が終わると毎日のように一緒に帰ろうと迎えに来る。
俺は、香澄の方を向き一言声をかけ、立ち上がって鞄を持って歩き出した。
***
帰り道、香澄がいつものように他愛もない話をして、それを聞きながら帰ると言うのが日々の日課になっている。
いつも通る公園の前で人がいるのを目に入る。
ほとんど、遊具がなく滑り台とベンチが二個あるだけの人が余り寄り付かない公園だ。
そんな公園に人がいたので珍しいなと思いながらその人を見てしまう。
その人は、女性だった。同じ高校の制服を着ていたのでうちの生徒なのかと思う。
見た目は、高校生にしては、凛として大人ぽいイメージを感じたので三年生の人なんだろうなと勝手に感じてしまった。
香澄もそれに気づいたらしく。
「珍しいね、こんな所に人なんて。」
「そうだな。」と軽い返事をした。
彼女は、ベンチに座りながら絵を描いているようだった。
なんの絵なのか見えなかったが美術部がよく使うキャンパスに絵を描いているようだった。
それを見ていると、横から香澄が。
「ああゆう感じの人が好きなの?」
悪戯でもするような笑みを浮かべてそんな事を言ってくる。
「アホか。」
軽くあしらってから歩き出した。
尽かさず香澄がこちらへ駆け寄ってきて聞いてくる。
「ゆうちゃんって好きな人とかいないの?」
そんな、質問をしてくるので無視しようと思ったが無視したら香澄は、何度も同じ質問を繰り返し聞いてくるのでそれもまためんどくさいと思えた。
「そんな、人いねえよ。」
適当に返事を返すと、香澄は拗ねたように「何よ~。」と呟いていた。
余り望んでいた解答とは、違ったよで香澄は、なんだかガッカリしていたように見える。
何を期待していたのかわからないが、もし俺に好きな人がいて、その人の名前を教えたらきっと香澄は、からかうに決まってる。ましてや、俺の親にばらすって事も考えられる。
もし、好きな人が出来ても香澄だけには、伝えないようにしようと心の中で誓った。
好きな人か・・・。
そんな、人今までいた事はない。
それなのに何かが自分の中で引っかかる感じがした。
あれ以来、和也は何事もなかったかのように生活を送っている。
サッカーにも真剣に取り組んでいた。和也自身、サッカーを始めたきっかけも覚えていないらしい。
悪夢からは、解放されたがその際に、大事な何かを失ってしまったのでは、ないだろうかと田中 優希は、思ってしまっていた。
和也の記憶改変は、兄である工藤 正の事故以外には、とくに異常が見つからなかった。
事故に関わる出来事だけ都合の良いように改変されていたのだ。
引っ越してきた理由も親の都合によるものとして改変されていた。
日常生活には、なんの支障もなかった。
優希は、いつそんな事が起きたのかを考えていた。
お見舞いに行った次の日、和也は悪夢の事を忘れていた。
和也と別れたのは、夕日が沈む時間に優希の家の前までだった。
だとすると、その後に何かあったんじゃないかと思うのが妥当だ。
そんな事を、一人誰もいない教室で考えていた。今は、放課後ほとんどの生徒は、下校やら部活やらで居なくなっていた。
するとドアの方から声がした。
「ゆうちゃん、何やってるの?帰ろうよ。」
声をかけてきたのは、一つ年が下の幼馴染 東山 香澄だった。
学校が終わると毎日のように一緒に帰ろうと迎えに来る。
俺は、香澄の方を向き一言声をかけ、立ち上がって鞄を持って歩き出した。
***
帰り道、香澄がいつものように他愛もない話をして、それを聞きながら帰ると言うのが日々の日課になっている。
いつも通る公園の前で人がいるのを目に入る。
ほとんど、遊具がなく滑り台とベンチが二個あるだけの人が余り寄り付かない公園だ。
そんな公園に人がいたので珍しいなと思いながらその人を見てしまう。
その人は、女性だった。同じ高校の制服を着ていたのでうちの生徒なのかと思う。
見た目は、高校生にしては、凛として大人ぽいイメージを感じたので三年生の人なんだろうなと勝手に感じてしまった。
香澄もそれに気づいたらしく。
「珍しいね、こんな所に人なんて。」
「そうだな。」と軽い返事をした。
彼女は、ベンチに座りながら絵を描いているようだった。
なんの絵なのか見えなかったが美術部がよく使うキャンパスに絵を描いているようだった。
それを見ていると、横から香澄が。
「ああゆう感じの人が好きなの?」
悪戯でもするような笑みを浮かべてそんな事を言ってくる。
「アホか。」
軽くあしらってから歩き出した。
尽かさず香澄がこちらへ駆け寄ってきて聞いてくる。
「ゆうちゃんって好きな人とかいないの?」
そんな、質問をしてくるので無視しようと思ったが無視したら香澄は、何度も同じ質問を繰り返し聞いてくるのでそれもまためんどくさいと思えた。
「そんな、人いねえよ。」
適当に返事を返すと、香澄は拗ねたように「何よ~。」と呟いていた。
余り望んでいた解答とは、違ったよで香澄は、なんだかガッカリしていたように見える。
何を期待していたのかわからないが、もし俺に好きな人がいて、その人の名前を教えたらきっと香澄は、からかうに決まってる。ましてや、俺の親にばらすって事も考えられる。
もし、好きな人が出来ても香澄だけには、伝えないようにしようと心の中で誓った。
好きな人か・・・。
そんな、人今までいた事はない。
それなのに何かが自分の中で引っかかる感じがした。
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