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ーサザンクロスー
第一章 2/6
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***
放課後、和也と別れて昇降口に向かう。
和也は、サッカー部に入部しいてる。学校が終わったらすぐ部室に行くため基本、帰るときは一人だ。ただ今年からは、ちょっと違う。
昇降口の前で一人じっと誰かを待っている少女がいる。
その少女が優希と目が合うと笑顔になって駆け寄ってくる。
「ゆうちゃん、遅いよ!」
眉間にしわを寄せ、こちらを睨んでくる少女に言う。
「誰も、待っててなんて言ってない。」
「何よそれ、全然友達がいないから同情して一緒に帰ってあげようとしてるのに。」
「余計なお世話だ。それに、一人ぐらいは友達いるし。」
「なにそれ、かわいそう。」
俺は、少女の頬を軽く突くと、それに見合わない大きなリアクションをして後ろに下がった。
彼女は、俺より一つ年下の幼馴染 東山 香澄
親同士が昔からの知り合いで家も向かえにあり良く香澄と一緒に遊んだことがある。
今でもよく、俺の家に来ては、夕食など食べに来たりもする。
進路の際は「ゆうちゃんと一緒の学校に行く」などと言い出し受験勉強を手伝った。
きっと、あまり友達のいない俺を心配して決めたんだろと考えてしまい、少し申し訳ないと思ってしまう。
香澄は、俺を心配している。
俺は、小学一年の時に大怪我をおってずっと入院していた事がある。
今では、後遺症もなく普通に生活を送れている。
高校入学の時に、和也から一緒にサッカー部に入ろうと誘われたが断ってしまった。
昔のことだし、今に支障はないけどなんだかやる気にはなれなかった為だ。
そんな俺を心配して積極的に一緒に帰ろうと誘ってくれる。
年下の女子に気お使ってもらってると思うと、なんだか情けない。
***
帰り道、朝に和也が言った事を思い出した。
「夢喰人・・・。」
ふとそんな事を呟くと、香澄がそれに反応した。
「なにそれ?夢を食べる人?アニメか何か?」
朝自分が言ったセリフと似たような事を言い出して少し笑ってしまった。
香澄が「なにそれ~。」と聞いてくるので。
「悪夢を食べてくれる怪人だよ。都市伝説らしい。」
「都市伝説?ゆうちゃん、そんなのに興味あったけ?」
そんな事を聞いてくるので首を横に振った。
「朝に和也が言ってたんだよ。」
「和也くんが?なんか似合わないな。」
香澄は、そんな事を言って笑った。
確かに和也がそんなオカルト的なことを話すようなやつじゃない。思ってみれば新鮮さを感じるぐらいだ。
「和也くん信じてるのかな?ユメクイビト?」
香澄が突然言い出した事に一瞬固まってしまう。
どうしたの?と聞いて来た香澄になんでもないと答えた。
「香澄は、もしそんな怪人がいたら信じるか?」
香澄は、腕を顎に当て考えるそぶりを見せてから答える。
「うーん。信じてはないかな。」
予想していなかった、答えが返ってきて少し戸惑った。今時の女子は、そういった話に興味は無いのだろうか?
そして、香澄は続けて言った。
「もし、そんな怪人がいて私の悪夢を食べてくれても、多分 感謝はするけど後悔すると思うから。」
後悔なんてするのか?感謝ならわかるが後悔はしない気もする。
「なんで後悔するんだ?」
香澄が優希の目をじっと見て言った。
「だって、自分で乗り越えないといけない気がするから。」
「そうか・・・。」
少し香澄か大人に見えた気がする。
確かに自分で乗り越えないと意味がないのはわかる。でも、わかっていても、それができない人だっているはずだ。
和也はきっと、自分の力では、どうしようもないと思い空想の怪人を探しているのかもしれない。
放課後、和也と別れて昇降口に向かう。
和也は、サッカー部に入部しいてる。学校が終わったらすぐ部室に行くため基本、帰るときは一人だ。ただ今年からは、ちょっと違う。
昇降口の前で一人じっと誰かを待っている少女がいる。
その少女が優希と目が合うと笑顔になって駆け寄ってくる。
「ゆうちゃん、遅いよ!」
眉間にしわを寄せ、こちらを睨んでくる少女に言う。
「誰も、待っててなんて言ってない。」
「何よそれ、全然友達がいないから同情して一緒に帰ってあげようとしてるのに。」
「余計なお世話だ。それに、一人ぐらいは友達いるし。」
「なにそれ、かわいそう。」
俺は、少女の頬を軽く突くと、それに見合わない大きなリアクションをして後ろに下がった。
彼女は、俺より一つ年下の幼馴染 東山 香澄
親同士が昔からの知り合いで家も向かえにあり良く香澄と一緒に遊んだことがある。
今でもよく、俺の家に来ては、夕食など食べに来たりもする。
進路の際は「ゆうちゃんと一緒の学校に行く」などと言い出し受験勉強を手伝った。
きっと、あまり友達のいない俺を心配して決めたんだろと考えてしまい、少し申し訳ないと思ってしまう。
香澄は、俺を心配している。
俺は、小学一年の時に大怪我をおってずっと入院していた事がある。
今では、後遺症もなく普通に生活を送れている。
高校入学の時に、和也から一緒にサッカー部に入ろうと誘われたが断ってしまった。
昔のことだし、今に支障はないけどなんだかやる気にはなれなかった為だ。
そんな俺を心配して積極的に一緒に帰ろうと誘ってくれる。
年下の女子に気お使ってもらってると思うと、なんだか情けない。
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帰り道、朝に和也が言った事を思い出した。
「夢喰人・・・。」
ふとそんな事を呟くと、香澄がそれに反応した。
「なにそれ?夢を食べる人?アニメか何か?」
朝自分が言ったセリフと似たような事を言い出して少し笑ってしまった。
香澄が「なにそれ~。」と聞いてくるので。
「悪夢を食べてくれる怪人だよ。都市伝説らしい。」
「都市伝説?ゆうちゃん、そんなのに興味あったけ?」
そんな事を聞いてくるので首を横に振った。
「朝に和也が言ってたんだよ。」
「和也くんが?なんか似合わないな。」
香澄は、そんな事を言って笑った。
確かに和也がそんなオカルト的なことを話すようなやつじゃない。思ってみれば新鮮さを感じるぐらいだ。
「和也くん信じてるのかな?ユメクイビト?」
香澄が突然言い出した事に一瞬固まってしまう。
どうしたの?と聞いて来た香澄になんでもないと答えた。
「香澄は、もしそんな怪人がいたら信じるか?」
香澄は、腕を顎に当て考えるそぶりを見せてから答える。
「うーん。信じてはないかな。」
予想していなかった、答えが返ってきて少し戸惑った。今時の女子は、そういった話に興味は無いのだろうか?
そして、香澄は続けて言った。
「もし、そんな怪人がいて私の悪夢を食べてくれても、多分 感謝はするけど後悔すると思うから。」
後悔なんてするのか?感謝ならわかるが後悔はしない気もする。
「なんで後悔するんだ?」
香澄が優希の目をじっと見て言った。
「だって、自分で乗り越えないといけない気がするから。」
「そうか・・・。」
少し香澄か大人に見えた気がする。
確かに自分で乗り越えないと意味がないのはわかる。でも、わかっていても、それができない人だっているはずだ。
和也はきっと、自分の力では、どうしようもないと思い空想の怪人を探しているのかもしれない。
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