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第三章「レゼンタック」

第八十三話「年下の男の子」

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「ギルセリアに行きたいです」

10分ほど俺の脳内で哲学的会議が行われ、自分という存在は他人が自分を人間と認識している限り人間であるという遠回りな結論に至り少し冷静になった。

そして改めてギルセリアに行くことを考えたが、単純に面白そうだから行ってみたい。
この世界に来たばかりのノスタルジーも大切にしたい。

「わかりました」
「失礼ですが、アレンさんの全財産はどの程度でしょうか?」

「今月の家賃を払ったら0になります」
「しばらく給料入ってないので……」

改めて自覚させないでほしい。
胸がチクチクする……

「ではまずお金を一緒に稼ぎましょう」
「アレンさん、この後は何か予定がありますか?」

「武器を点検に出しにいこうと思ってます」

「わかりました、でしたら私もついていきます」
「それじゃあ出ましょうか」

「はい」
「……あ、お会計」

俺は空中に<貧者の袋>を出し、軽い財布を中から取り出す。

「お金は大丈夫です」
「ここ、私のお店なので」


俺は金の豚の置物の横を通り過ぎて店の外に出ると、トレバーさんと今後の話をしながらユバルさんの店に案内する。

「まずはアレンさんには私の推薦で昇級試験を受けてもらい、ノアさんの一つ下、可能ならば同等の立ち位置についてもらいます」

「まずは給料をあげるんですね?」

「違います、名を上げるためです」
「アレンさんは実績は十分ですが、知名度がありません」
「ノアさんぐらいになれば結婚相手に困らない程度の人気はでます」

「……それは何のためですか?」

「それはユバルの店に着いてから話します」

よく分からないが、金の豚を見てしまっては信用するしかない。
まぁ、失うものはないからな。

「ちなみにトレバーさんもモテるんですか?」

「そうですね……」
「周りからはモテていると言われることはありますが、私の認識とはズレていますね」

「なるほど?」

つまり、まだモテたいということだろうか……
たまに女性がトレバーさんの名前を出して話しているのを小耳に挟むがそれでもまだ足りないのか?
トレバーさんのこのルックスだったら紐男としてもやっていけるだろうに。


そんな事をはなしている内にユバルさんのお店が見えてきた。


「そういえば、なんでトレバーさんって僕に優しくしてくれるんですか?」
「他の人には無関心そうなのに」

「あぁ、それは僕がアレンさんの事が好きだからです」
「お世話ぐらいさせてください」

トレバーさんは俺に今日一番の笑顔を向け、ユバルさんのお店に入っていく。


カランカランッ

「……あ」

意識飛んでた。

俺は少し耳を熱くしながらトレバーさんの後を追いかけた。
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