220 / 244
第三章「レゼンタック」
第八十三話「年下の男の子」
しおりを挟む
「ギルセリアに行きたいです」
10分ほど俺の脳内で哲学的会議が行われ、自分という存在は他人が自分を人間と認識している限り人間であるという遠回りな結論に至り少し冷静になった。
そして改めてギルセリアに行くことを考えたが、単純に面白そうだから行ってみたい。
この世界に来たばかりのノスタルジーも大切にしたい。
「わかりました」
「失礼ですが、アレンさんの全財産はどの程度でしょうか?」
「今月の家賃を払ったら0になります」
「しばらく給料入ってないので……」
改めて自覚させないでほしい。
胸がチクチクする……
「ではまずお金を一緒に稼ぎましょう」
「アレンさん、この後は何か予定がありますか?」
「武器を点検に出しにいこうと思ってます」
「わかりました、でしたら私もついていきます」
「それじゃあ出ましょうか」
「はい」
「……あ、お会計」
俺は空中に<貧者の袋>を出し、軽い財布を中から取り出す。
「お金は大丈夫です」
「ここ、私のお店なので」
俺は金の豚の置物の横を通り過ぎて店の外に出ると、トレバーさんと今後の話をしながらユバルさんの店に案内する。
「まずはアレンさんには私の推薦で昇級試験を受けてもらい、ノアさんの一つ下、可能ならば同等の立ち位置についてもらいます」
「まずは給料をあげるんですね?」
「違います、名を上げるためです」
「アレンさんは実績は十分ですが、知名度がありません」
「ノアさんぐらいになれば結婚相手に困らない程度の人気はでます」
「……それは何のためですか?」
「それはユバルの店に着いてから話します」
よく分からないが、金の豚を見てしまっては信用するしかない。
まぁ、失うものはないからな。
「ちなみにトレバーさんもモテるんですか?」
「そうですね……」
「周りからはモテていると言われることはありますが、私の認識とはズレていますね」
「なるほど?」
つまり、まだモテたいということだろうか……
たまに女性がトレバーさんの名前を出して話しているのを小耳に挟むがそれでもまだ足りないのか?
トレバーさんのこのルックスだったら紐男としてもやっていけるだろうに。
そんな事をはなしている内にユバルさんのお店が見えてきた。
「そういえば、なんでトレバーさんって僕に優しくしてくれるんですか?」
「他の人には無関心そうなのに」
「あぁ、それは僕がアレンさんの事が好きだからです」
「お世話ぐらいさせてください」
トレバーさんは俺に今日一番の笑顔を向け、ユバルさんのお店に入っていく。
カランカランッ
「……あ」
意識飛んでた。
俺は少し耳を熱くしながらトレバーさんの後を追いかけた。
10分ほど俺の脳内で哲学的会議が行われ、自分という存在は他人が自分を人間と認識している限り人間であるという遠回りな結論に至り少し冷静になった。
そして改めてギルセリアに行くことを考えたが、単純に面白そうだから行ってみたい。
この世界に来たばかりのノスタルジーも大切にしたい。
「わかりました」
「失礼ですが、アレンさんの全財産はどの程度でしょうか?」
「今月の家賃を払ったら0になります」
「しばらく給料入ってないので……」
改めて自覚させないでほしい。
胸がチクチクする……
「ではまずお金を一緒に稼ぎましょう」
「アレンさん、この後は何か予定がありますか?」
「武器を点検に出しにいこうと思ってます」
「わかりました、でしたら私もついていきます」
「それじゃあ出ましょうか」
「はい」
「……あ、お会計」
俺は空中に<貧者の袋>を出し、軽い財布を中から取り出す。
「お金は大丈夫です」
「ここ、私のお店なので」
俺は金の豚の置物の横を通り過ぎて店の外に出ると、トレバーさんと今後の話をしながらユバルさんの店に案内する。
「まずはアレンさんには私の推薦で昇級試験を受けてもらい、ノアさんの一つ下、可能ならば同等の立ち位置についてもらいます」
「まずは給料をあげるんですね?」
「違います、名を上げるためです」
「アレンさんは実績は十分ですが、知名度がありません」
「ノアさんぐらいになれば結婚相手に困らない程度の人気はでます」
「……それは何のためですか?」
「それはユバルの店に着いてから話します」
よく分からないが、金の豚を見てしまっては信用するしかない。
まぁ、失うものはないからな。
「ちなみにトレバーさんもモテるんですか?」
「そうですね……」
「周りからはモテていると言われることはありますが、私の認識とはズレていますね」
「なるほど?」
つまり、まだモテたいということだろうか……
たまに女性がトレバーさんの名前を出して話しているのを小耳に挟むがそれでもまだ足りないのか?
トレバーさんのこのルックスだったら紐男としてもやっていけるだろうに。
そんな事をはなしている内にユバルさんのお店が見えてきた。
「そういえば、なんでトレバーさんって僕に優しくしてくれるんですか?」
「他の人には無関心そうなのに」
「あぁ、それは僕がアレンさんの事が好きだからです」
「お世話ぐらいさせてください」
トレバーさんは俺に今日一番の笑顔を向け、ユバルさんのお店に入っていく。
カランカランッ
「……あ」
意識飛んでた。
俺は少し耳を熱くしながらトレバーさんの後を追いかけた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

お母さん冒険者、ログインボーナスでスキル【主婦】に目覚めました。週一貰えるチラシで冒険者生活頑張ります!
林優子
ファンタジー
二人の子持ち27歳のカチュア(主婦)は家計を助けるためダンジョンの荷物運びの仕事(パート)をしている。危険が少なく手軽なため、迷宮都市ロアでは若者や主婦には人気の仕事だ。
夢は100万ゴールドの貯金。それだけあれば三人揃って国境警備の任務についているパパに会いに行けるのだ。
そんなカチュアがダンジョン内の女神像から百回ログインボーナスで貰ったのは、オシャレながま口とポイントカード、そして一枚のチラシ?
「モンスターポイント三倍デーって何?」
「4の付く日は薬草デー?」
「お肉の日とお魚の日があるのねー」
神様からスキル【主婦/主夫】を授かった最弱の冒険者ママ、カチュアさんがワンオペ育児と冒険者生活頑張る話。
※他サイトにも投稿してます

巻き込まれたおばちゃん、召喚聖女ちゃんのお母さんになる
戌葉
ファンタジー
子育てが終わりこれからは自分の時間を楽しもうと思っていたある日、目の前で地面へと吸い込まれていく女子高生を助けようとして、自分も吸い込まれてしまった。
え?異世界?この子が聖女?
ちょっと、聖女ちゃんは普通の女の子なのよ?四六時中監視してたら聖女ちゃんの気が休まらないでしょう。部屋から出なさい!この国、いまいち信用できないわね。
でも、せっかく異世界に来たなら、新しいことに挑戦したい。まずは冒険者ね!
聖女召喚に巻き込まれたおばちゃんが、聖女ちゃんの世話を焼いたり、冒険者になってみたりする話。
理不尽に振り回される騎士様の話も。
「悪役令嬢と私の婚約破棄」と同じ世界です。

【本編完結】たとえあなたに選ばれなくても【改訂中】
神宮寺 あおい@受賞&書籍化
恋愛
人を踏みつけた者には相応の報いを。
伯爵令嬢のアリシアは半年後に結婚する予定だった。
公爵家次男の婚約者、ルーカスと両思いで一緒になれるのを楽しみにしていたのに。
ルーカスにとって腹違いの兄、ニコラオスの突然の死が全てを狂わせていく。
義母の願う血筋の継承。
ニコラオスの婚約者、フォティアからの横槍。
公爵家を継ぐ義務に縛られるルーカス。
フォティアのお腹にはニコラオスの子供が宿っており、正統なる後継者を望む義母はルーカスとアリシアの婚約を破棄させ、フォティアと婚約させようとする。
そんな中アリシアのお腹にもまた小さな命が。
アリシアとルーカスの思いとは裏腹に2人は周りの思惑に振り回されていく。
何があってもこの子を守らなければ。
大切なあなたとの未来を夢見たいのに許されない。
ならば私は去りましょう。
たとえあなたに選ばれなくても。
私は私の人生を歩んでいく。
これは普通の伯爵令嬢と訳あり公爵令息の、想いが報われるまでの物語。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読む前にご確認いただけると助かります。
1)西洋の貴族社会をベースにした世界観ではあるものの、あくまでファンタジーです
2)作中では第一王位継承者のみ『皇太子』とし、それ以外は『王子』『王女』としています
→ただ今『皇太子』を『王太子』へ、さらに文頭一文字下げなど、表記を改訂中です。
そのため一時的に『皇太子』と『王太子』が混在しております。
よろしくお願いいたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字を教えてくださる方、ありがとうございます。
読み返してから投稿しているのですが、見落としていることがあるのでとても助かります。

レジェンドテイマー ~異世界に召喚されて勇者じゃないから棄てられたけど、絶対に元の世界に帰ると誓う男の物語~
裏影P
ファンタジー
【2022/9/1 一章二章大幅改稿しました。三章作成中です】
宝くじで一等十億円に当選した運河京太郎は、突然異世界に召喚されてしまう。
異世界に召喚された京太郎だったが、京太郎は既に百人以上召喚されているテイマーというクラスだったため、不要と判断されてかえされることになる。
元の世界に帰してくれると思っていた京太郎だったが、その先は死の危険が蔓延る異世界の森だった。
そこで出会った瀕死の蜘蛛の魔物と遭遇し、運よくテイムすることに成功する。
大精霊のウンディーネなど、個性溢れすぎる尖った魔物たちをテイムしていく京太郎だが、自分が元の世界に帰るときにテイムした魔物たちのことや、突然降って湧いた様な強大な力や、伝説級のスキルの存在に葛藤していく。
持っている力に振り回されぬよう、京太郎自身も力に負けない精神力を鍛えようと決意していき、絶対に元の世界に帰ることを胸に、テイマーとして異世界を生き延びていく。
※カクヨム・小説家になろうにて同時掲載中です。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
転生したら捨てられたが、拾われて楽しく生きています。
トロ猫
ファンタジー
2025.2月下旬コミックス2巻出荷予定
2024.7月下旬5巻刊行
2024.6月下旬コミックス1巻刊行
2024.1月下旬4巻刊行
2023.12.19 コミカライズ連載スタート
2023.9月下旬三巻刊行
2023.3月30日二巻刊行
2022.11月30日一巻刊行
寺崎美里亜は転生するが、5ヶ月で教会の前に捨てられる。
しかも誰も通らないところに。
あー詰んだ
と思っていたら後に宿屋を営む夫婦に拾われ大好きなお菓子や食べ物のために奮闘する話。
コメント欄を解放しました。
誤字脱字のコメントも受け付けておりますが、必要箇所の修正後コメントは非表示とさせていただきます。また、ストーリーや今後の展開に迫る質問等は返信を控えさせていただきます。
書籍の誤字脱字につきましては近況ボードの『書籍の誤字脱字はここに』にてお願いいたします。
出版社との規約に触れる質問等も基本お答えできない内容が多いですので、ノーコメントまたは非表示にさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる