レベルってなんですか?

Nombre

文字の大きさ
上 下
218 / 244
第三章「レゼンタック」

第八十一話「意地悪」

しおりを挟む
 俺はハリソンの見舞いを適当に済ませ、レゼンタックに向かう。
 まだ歩くのは困難そうだったが、口は相変わらず元気だった。


 俺はレゼンタックに着くと、四階に向かい、ノアの机に向かった。

「アレン、早かったな!!」
「ちゃんと反省したのか?」

 ノアは俺に気づくと大声で俺の名前を呼ぶ。

「報告書はちゃんと書いたよ?」

 俺はびっしりと文字で埋めた紙をノアに渡した。
 紙を埋めるのは得意だ。

「そのようだな!!」
「まぁ、仲間を助ける心に文句は言わないが、このルールは街への被害を最小限に抑えるための物だ」
「これから仕事中は必ずルールを守るんだぞ」
「それに仲間ならハリソンの事も少し信じてやれ!!」
「じゃあもう行っていいぞ!」

 俺はノアに頭を下げ、その場にいた人たちに挨拶をしてから階段を降りる。


 実際、俺が助けに行かなくてもおそらくハリソンは亀猿を倒せていた。

 これは先程ハリソンから直接聞いた話だが、あと数秒、俺の到着が遅ければ腕を失う覚悟で火薬を亀猿の口内で爆破させるつもりだったらしい。
 だがあの出血量で生きて帰ってこれたのかは分からない……


「アレンさん、ちょっといいですか?」

 考え事をしながらレゼンタックのレストランに入ろうとすると、後ろから誰かに呼び止められた。
 振り向くと爽やかイケメンが手招きしている。

「トレバーさん、なにかありました?」

「お昼ご飯」
「約束忘れてないですよね?」

 そういえばマラソン大会で賭けをしてたんだった。
 というかまた出費か……

「待ち伏せしてたんですか?」

「13分ほど」

 トレバーさんも意地悪だな……

「わかりました、それじゃあ行きましょう」

 俺がそう言ってレストランに入ろうとすると、トレバーさんに手を掴まれる。
 女の子だったら惚れてたかもしれない。

「えーっと、なんですか?」

「外で食べましょう」

 トレバーさんはそう言うと手を離し、俺を先導してレゼンタックを後にした。


「どこ行くんですか?」

「私のお気に入りです」

 トレバーさんは行き先をはぐらかしながらどんどん歩いていく。
 まぁ、ユバルさんのお店から近いので今のところ問題はない。


「ここですか?」

「はい、ここです」

 トレバーさんはそう言うと、躊躇う事もなく店の中に入る。

 入り口には金色に輝く豚の置物。
 提灯型の赤いライトで照らされた席の間を、トレバーさんは頭を下げる店員に挨拶をしながらどんどん進んでいく。
 そして店の一番奥にある大きな回転テーブルが置かれた個室に案内されると、俺は綺麗な店員さんに誘導されながら椅子に座った。


「あのー……、マナーとか分からないんですけど大丈夫ですか?」

 席に着くやいなや前菜らしき食べ物が運ばれ、料理長らしき人の挨拶が終わり、部屋にトレバーさんと二人きりになったところで俺は初めて口を開く。

「帰るのは構いませんが、二人分のコース料金は払ってくださいね」

「……最後までいます」


 やっぱりこの人は意地悪だ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

緑の体だからゴブリン?花が咲いてるからドライアド?いいえ、超ミドリムシです!異世界で光合成して家族が増殖しました!

もう我慢できない
ファンタジー
   中学三年生の水野緑はいつもの花の水やりをしながら同級生と話してるいる途中突然に死んでしまう。  死んでしまった緑は異世界の女神に導かれ世界をわたり、ただ1匹の種族になる。  それは【超ミドリムシ】  緑は【超ミドリムシ】になり光合成をしながら生活していく。光合成をすると緑はミドリムシなのに花を咲かせ実をつける。 「なんだこの実は!? 腕が生えた!?」  実は欠損した体も回復し、花から採れる蜜は虫の魔物を人に変える。 「魔物が人になるのは龍種くらいなのだが……」  その元虫の魔物の仲間は緑から蜜を貰うごとに子供を生み出していく。  そんな仲間と緑は冒険者になるが冒険者ギルドのマスターに能力の説明をすると新たな冒険者のランクを作ると言われる。ランクはI(irregular)ランクだが緑の起こすことが噂になるとイカレタ冒険者と呼ばれるようになってしまう。 「何だ…… あの冒険者は!? イカレテル!」 「皆酷いです! 僕はイカレテません!」  緑がダンジョンに入ればダンジョンコアを見つけ、家族と歩けば大騒ぎになるがどんどん大家族になっていく。 「レアアイテムだ運がいいな!」 「ラッキー!」 「何だあの魔物の数は!? だめだ…… 今日で俺たちの村は壊滅する……」 「違います! 家族で散歩してたんです! 落ち着いてください! スタンピードじゃありません!」  緑は幸せを今日も感じながら家族を増やすために光合成し続ける。  そんな幸せいっぱいの緑はこの幸せをお裾分けするために様々な国に向かう。そんなある日、世界に1匹しかいないはずの自分【超ミドリムシ】とであう。  もう1人の【超ミドリムシ】と突然に戦闘となるが紆余曲折の後に和解する。すると、そこに女神が現れる。 「すいません緑さん達、【水野 緑】さんの存在が大きすぎてこの世界に入る時に【水野 緑】さんがわかれてしいました」  そこから、緑の旅の理由にわかれた【水野 緑】を探すことが加わる。  初めてあった、魔を冠するもう一人の【水野 緑】……魔緑  小さな子供達で干支を冠する【水野 緑】    ……干支緑  姿は美人だが中身が腐った女性の【水野 緑】  ……腐緑  様々な【水野 緑】と出会いながら緑は世界を幸せにしていく。

迷宮最深部から始まるグルメ探訪記

愛山雄町
ファンタジー
 四十二歳のフリーライター江戸川剛(えどがわつよし)は突然異世界に迷い込む。  そして、最初に見たものは漆黒の巨大な竜。  彼が迷い込んだのは迷宮の最深部、ラスボスである古代竜、エンシェントドラゴンの前だった。  しかし、竜は彼に襲い掛かることなく、静かにこう言った。 「我を倒せ。最大限の支援をする」と。  竜は剛がただの人間だと気づき、あらゆる手段を使って最強の戦士に作り上げていった。  一年の時を経て、剛の魔改造は完了する。  そして、竜は倒され、悲願が達成された。  ラスボスを倒した剛だったが、日本に帰るすべもなく、異世界での生活を余儀なくされる。  地上に出たものの、単調な食生活が一年間も続いたことから、彼は異常なまでに食に執着するようになっていた。その美酒と美食への飽くなき追及心は異世界人を呆れさせる。  魔王ですら土下座で命乞いするほどの力を手に入れた彼は、その力を持て余しながらも異世界生活を満喫する…… ■■■  基本的にはほのぼの系です。八話以降で、異世界グルメも出てくる予定ですが、筆者の嗜好により酒関係が多くなる可能性があります。 ■■■ 本編完結しました。番外編として、ジン・キタヤマの話を書いております。今後、本編の続編も書く予定です。 ■■■ アルファポリス様より、書籍化されることとなりました! 2021年3月23日発売です。 ■■■ 本編第三章の第三十六話につきましては、書籍版第1巻と一部が重複しております。

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

偽物の侯爵子息は平民落ちのうえに国外追放を言い渡されたので自由に生きる。え?帰ってきてくれ?それは無理というもの

つくも茄子
ファンタジー
サビオ・パッツィーニは、魔術師の家系である名門侯爵家の次男に生まれながら魔力鑑定で『魔力無し』の判定を受けてしまう。魔力がない代わりにずば抜けて優れた頭脳を持つサビオに家族は温かく見守っていた。そんなある日、サビオが侯爵家の人間でない事が判明した。妖精の取り換えっ子だと神官は告げる。本物は家族によく似た天使のような美少年。こうしてサビオは「王家と侯爵家を謀った罪人」として国外追放されてしまった。 隣国でギルド登録したサビオは「黒曜」というギルド名で第二の人生を歩んでいく。

処理中です...