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第三章「レゼンタック」

第七七話「共力」

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「脱皮は止まったが……、ここからどうするんだ?」

 ハリソンも調子が戻ってきたのか、生意気な態度が戻ってきた。

「まず、アイツの核が柔らかくなるまで脱皮を止め続ける」
「その銃が通るぐらいに」
「そしたら俺が頭をカチ割るから核を撃ちぬいてくれ」

「わかった、それと応援はしばらくこないらしい」
「俺たちが場所の特定が出来ないそうだ」

「わかった、それじゃあ二人でやろう」

「俺は最初からそのつもりだ」

 ハリソンは鼻で笑いながら弾を銃に込める。

 俺は亀猿まで一気に距離を詰めながら抜刀し、再び手首の肉を外核ごと切り落とす。
 脱皮できなかった外核の重さが腕に乗っかっているせいか、先程よりも動きが遅く、狙うのは簡単だ。



 しばらく攻撃を加え続け、亀猿の手足は夢の国のネズミのように膨れ上がりソフトシェル化が収まってきたのか身体も段々と硬化してきている。

 俺は一旦、召喚獣に亀猿の相手を全て任せ、ハリソンの場所まで戻る。

「今なら多分やれる」
「準備いい?」

「あぁ、準備は出来てる」

 ハリソンはうつ伏せになり、銃のストックを肩に押し付ける。


「ふぅ……」

 俺は呼吸を整えながら亀猿の隙を伺う。

 召喚獣は亀猿の顎を蹴り上げ、俺と亀猿までのルートを開ける。
 それと同時に俺は亀猿に向かって足を踏み出す。

 そして懐に潜り込むと同時に抜刀し、顔の外核と肉を真っ二つに切り裂いた。
 肉がずり落ち、骨が露わになるのを確認すると俺は距離を取ろうとする。


 グチュンッ

「うっ……」

 俺の身体が強い力で締め付けられる。

 捕まれた?
 どうして?

 ふと目線を下にむけると、膨れに膨れ上がった亀猿の手が落ちている。

 自分でやったのか?それとも壊死したのか?
 そんな事はどうでもいい、とにかく脱出しなければ。

 俺が亀猿の脇を斬りつけると同時に亀猿は原型を留めていないその口で俺の肩に噛みつく。

 痛い……、だがそんな事を気にしている暇はない。
 急がなければ亀猿が再び脱皮を始めてしまう。

「……ぶっ潰せ」

 俺がそう言うと、召喚獣は亀猿の脳天に強烈な蹴りを入れる。
 飛び散った頭蓋骨が俺の目に刺さり、視界がぼやけて良く見えない。
 だが、おそらく核は露出しているはず……

 くっそ……
 頭蓋骨を粉砕しているはずなのに、俺を咥える力が弱まらない。
 それに足が宙に浮いているせいで逃げようにも力が入らない。

 しかたないか……

「ハリソン!」
「当たっても怒らないから早く撃ってくれ!」

 バンッ!!

 後方から聞こえる発砲音と同時に、俺は地面に転がる。

「あぁ……、おわった……」

 俺は肩の傷を抑えながらハリソンがいる場所まで戻ると、隣に腰を下ろす。

「服にかすったから弁償な」

「誰が払うか、俺は命の恩人だぞ」

 俺はハリソンと目を合わせる。

「……ハハハハハ」「……ハハハハハ」

「じゃあ帰ろうか」

「あぁ、それには賛成だ」
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