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第三章「レゼンタック」
第五十六話「自覚」
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パシュンッ
俺の身体を締め付けていた縄の拘束力が弱まると同時に、縄は形を消した。
「やっとか……」
結局、最後まで縄を解いてはくれなかった。
おそらく信頼はあったが信用がなかったんだろう。
はたして、そんな相手に指輪の事をペラペラと話して良かったのだろうか。
まぁ、全てを話したわけではないし大丈夫か……
俺は目の前に置いてある短剣の鞘を手に取ると、身体の脇にあった短剣を鞘に納めようとする。
キュギュッ
短剣が入らない……
鞘が歪んだのか?
……また出費だ。
まぁ今はいい。
とにかく帰ろう。
しかし、通信機は壊されたし、地図とコンパスが入ったポーチは落としてしまった。
とりあえず南に行くか……
俺は右足を持ち上げ地面に立てると、手を膝にかけてゆっくりと体重をかける。
ドスンッ
俺の身体が地面に転がる。
立てない……
しかし足が痺れているわけではない。
地面に顔を付けながら目を足のほうにやると、足首が変な方向に曲がっている。
そして足の甲からは骨と思われるものが飛び出ている。
……あ、イタイ。
自分の怪我を頭が理解したからか、突然、身体中に疲労感と痛みが襲ってきた。
痛すぎて声を出す元気もでない。
ピタン……ピタン……
俺の頬に水滴が落ちる。
どうやら雨も降ってきたようだ。
クッソ……
「はぁ……、はぁ……、ん、みつけた……」
俺は身体を泥色に染めながら、オレンジ色の石の石盤を横にずらす。
この場所は地点T92。
レゼンタックが管轄している範囲の最端だ。
あとは発煙筒に火をつけて、モンスターに襲われないように祈りながら助けを待つだけか……
ノアはレゼンタック警報が鳴ると言っていたが、ここでは何も聞こえない。
本当に機能してるのか?
疲れた……
「雨に打たれるのは楽しいですか?」
「あ、トレバーさん」
俺が仰向けで空を眺めていると、トレバーさんが足音も立てずに俺の顔を覗き込んできた。
てっきり、ノアがくるかと思っていたが、なぜトレバーさんなんだ?
「それで、容疑者はどうしたんですか?」
トレバーさんは俺が説明しなくても状況を把握しているようだ。
「……逃がしました」
「報告と違ってメチャクチャ強かったんですよ」
「通信機はどうしたんですか?」
「……黒騎士に壊されました」
「それで見逃されたと?」
「……はい」
「それよりも早く助けてくださいよ」
「足とか肋骨とか多分いろいろ折れてます」
「死にかけの重病人です」
「わかりました」
トレバーさんはそう言うと目を閉じ、俺の身体に手をかざしはじめた。
俺の身体を締め付けていた縄の拘束力が弱まると同時に、縄は形を消した。
「やっとか……」
結局、最後まで縄を解いてはくれなかった。
おそらく信頼はあったが信用がなかったんだろう。
はたして、そんな相手に指輪の事をペラペラと話して良かったのだろうか。
まぁ、全てを話したわけではないし大丈夫か……
俺は目の前に置いてある短剣の鞘を手に取ると、身体の脇にあった短剣を鞘に納めようとする。
キュギュッ
短剣が入らない……
鞘が歪んだのか?
……また出費だ。
まぁ今はいい。
とにかく帰ろう。
しかし、通信機は壊されたし、地図とコンパスが入ったポーチは落としてしまった。
とりあえず南に行くか……
俺は右足を持ち上げ地面に立てると、手を膝にかけてゆっくりと体重をかける。
ドスンッ
俺の身体が地面に転がる。
立てない……
しかし足が痺れているわけではない。
地面に顔を付けながら目を足のほうにやると、足首が変な方向に曲がっている。
そして足の甲からは骨と思われるものが飛び出ている。
……あ、イタイ。
自分の怪我を頭が理解したからか、突然、身体中に疲労感と痛みが襲ってきた。
痛すぎて声を出す元気もでない。
ピタン……ピタン……
俺の頬に水滴が落ちる。
どうやら雨も降ってきたようだ。
クッソ……
「はぁ……、はぁ……、ん、みつけた……」
俺は身体を泥色に染めながら、オレンジ色の石の石盤を横にずらす。
この場所は地点T92。
レゼンタックが管轄している範囲の最端だ。
あとは発煙筒に火をつけて、モンスターに襲われないように祈りながら助けを待つだけか……
ノアはレゼンタック警報が鳴ると言っていたが、ここでは何も聞こえない。
本当に機能してるのか?
疲れた……
「雨に打たれるのは楽しいですか?」
「あ、トレバーさん」
俺が仰向けで空を眺めていると、トレバーさんが足音も立てずに俺の顔を覗き込んできた。
てっきり、ノアがくるかと思っていたが、なぜトレバーさんなんだ?
「それで、容疑者はどうしたんですか?」
トレバーさんは俺が説明しなくても状況を把握しているようだ。
「……逃がしました」
「報告と違ってメチャクチャ強かったんですよ」
「通信機はどうしたんですか?」
「……黒騎士に壊されました」
「それで見逃されたと?」
「……はい」
「それよりも早く助けてくださいよ」
「足とか肋骨とか多分いろいろ折れてます」
「死にかけの重病人です」
「わかりました」
トレバーさんはそう言うと目を閉じ、俺の身体に手をかざしはじめた。
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