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第三章「レゼンタック」
第三十八話「給料日」
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俺は、レゼンタックの目の前にあるATM的な機械だけが入っている小さな建物の中にケイと一緒に入る。
とりあえず金を降ろそう。
財布の中身も尽きかけている。
一応、ケイが買い物する時は俺の財布からお小遣いとしてちょこちょこ渡していたのだが、ケイはかなり遠慮をしているように感じた。
だが、今日からはケイが稼いだお金に関してはケイに自由に管理させようと思っている。
ヒナコもそれには賛成した。
だが、ケイの欲求がどれだけ貯まっているのかは分からないのが少し心配だ。
俺は封筒からカードを出して機械の前にケイと並ぶと、自分のカードを差し込んで機械の操作する。
この機械は引出、預入、振込の3種類の機能しかなく、タッチパネルではなくてボタン式で見た目も古臭いが、便利だ。
しかし、記帳はできるようにしてほしい。
俺の今月の給料は約2000ギニーのようだ。
研修中の給料が無い上に、家賃とかいろいろ引かれているので仕方がない。
封筒の中に入っていた書類を見ると、額面から半分ぐらい引かれている。
俺はとりあえず800ギニーだけお金を降ろすと、操作をケイに変わった。
「<貧者の袋>」
俺は引き出したお金を財布に入れるとケイが操作している機械の画面を後ろから覗き込む。
機械は説明するほど複雑ではないので後ろから見守っているだけで大丈夫だろう。
「しぅ……、ステイ」
俺は<貧者の袋>を消すと機械の画面を見て歯を食いしばる。
ケイの今月の給料は約9000ギニーのようだ。
いや、確かにケイは頑張って働いていたと思うがあまりにも差がありすぎないか?
働いている時間の長さの問題か?
もう転職しようかな……
そういえば何年間かはレゼンタックを辞められないんだったけ?
……くそっ。
「あれ、ケイ、500ギニーだけでいいの?」
「うん、持ってたらたぶん使っちゃうから」
「早く買い物いこ!」
ケイはそう言うと、引きだしたお金をポケットに入れて俺の手を引いて建物の外に連れ出した。
俺はケイと一緒に3時間ほど町を練り歩くと、大きな買い物袋を4つ持って宿に帰る。
俺が買った物は座布団を二つと、ケイが欲しそうにしていた物をプレゼントとして買わされた。
畳も良いが、流石に腰が痛くなってきた。
その一方、ケイは財布や服などの生活雑貨を安くいっぱい買っていて、それが終わるとなぜか置物の棚の前で目が泳いでいた。
値段がそこそこするので、それとなく買わない方向に流そうと思ったのだが、結果として謎のぬいぐるみと木の置物が袋のなかでかなりの体積を占めている。
ケイは置物が好きなのかもしれない。
そのせいで、ケイが新しく買った財布の中から早々にお金は消え、髪を結ぶ薄ピンクのリボンを俺が買うことになった。
女の子との買い物は、これで本当に最後にしよう。
とりあえず金を降ろそう。
財布の中身も尽きかけている。
一応、ケイが買い物する時は俺の財布からお小遣いとしてちょこちょこ渡していたのだが、ケイはかなり遠慮をしているように感じた。
だが、今日からはケイが稼いだお金に関してはケイに自由に管理させようと思っている。
ヒナコもそれには賛成した。
だが、ケイの欲求がどれだけ貯まっているのかは分からないのが少し心配だ。
俺は封筒からカードを出して機械の前にケイと並ぶと、自分のカードを差し込んで機械の操作する。
この機械は引出、預入、振込の3種類の機能しかなく、タッチパネルではなくてボタン式で見た目も古臭いが、便利だ。
しかし、記帳はできるようにしてほしい。
俺の今月の給料は約2000ギニーのようだ。
研修中の給料が無い上に、家賃とかいろいろ引かれているので仕方がない。
封筒の中に入っていた書類を見ると、額面から半分ぐらい引かれている。
俺はとりあえず800ギニーだけお金を降ろすと、操作をケイに変わった。
「<貧者の袋>」
俺は引き出したお金を財布に入れるとケイが操作している機械の画面を後ろから覗き込む。
機械は説明するほど複雑ではないので後ろから見守っているだけで大丈夫だろう。
「しぅ……、ステイ」
俺は<貧者の袋>を消すと機械の画面を見て歯を食いしばる。
ケイの今月の給料は約9000ギニーのようだ。
いや、確かにケイは頑張って働いていたと思うがあまりにも差がありすぎないか?
働いている時間の長さの問題か?
もう転職しようかな……
そういえば何年間かはレゼンタックを辞められないんだったけ?
……くそっ。
「あれ、ケイ、500ギニーだけでいいの?」
「うん、持ってたらたぶん使っちゃうから」
「早く買い物いこ!」
ケイはそう言うと、引きだしたお金をポケットに入れて俺の手を引いて建物の外に連れ出した。
俺はケイと一緒に3時間ほど町を練り歩くと、大きな買い物袋を4つ持って宿に帰る。
俺が買った物は座布団を二つと、ケイが欲しそうにしていた物をプレゼントとして買わされた。
畳も良いが、流石に腰が痛くなってきた。
その一方、ケイは財布や服などの生活雑貨を安くいっぱい買っていて、それが終わるとなぜか置物の棚の前で目が泳いでいた。
値段がそこそこするので、それとなく買わない方向に流そうと思ったのだが、結果として謎のぬいぐるみと木の置物が袋のなかでかなりの体積を占めている。
ケイは置物が好きなのかもしれない。
そのせいで、ケイが新しく買った財布の中から早々にお金は消え、髪を結ぶ薄ピンクのリボンを俺が買うことになった。
女の子との買い物は、これで本当に最後にしよう。
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