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第三章「レゼンタック」

第十六話「報告」

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 ハリソン君は銃の入った黒いバッグと紙を持って運動場に入って来るや否や、ノアの前に堂々と立った。

「おう!ハリソン!」
「合格したのか?」

「あたりまえですよ」
「しかも満点でな!」

 ハリソン君は俺の前に回答用紙を突き出す。

 本当に満点を取ったようだ。

「よし、じゃあお前ら同期って事だな!」
「仲よくしろよ!」

 ノアはそう言うと、俺とハリソン君の肩を強く叩いた。

「おい、アレン」
「俺とお前はド・ウ・キだからな」
「ちょっと早くテストに受かったからって先輩面するなよ!」

「あぁ……うん」

 もともと先輩面なんてするつもりは微塵もなかった。
 だが、ハリソン君が俺の事を下に見ているのは確実なので、同等の立ち位置ということは早めに分からせてやりたい。

「ノアさん、いまからアレンと訓練したいんですけどいいですか?」

 ハリソン君は持っていた黒いバッグを地面に置く。

「そうだな……アレンはどうする?」

「右手の握力がもう無い」

「そうか、じゃあそれは明日だな!」

 ノアはそう言うと、武器を片づけ始めた。


「まぁ、そんなちっこい武器を使ってるやつの実力なんて明らかだけどな」

 ハリソン君は俺の全身を舐め回すように見ると、地面に置いたバッグを拾い上げて運動場を出ようとする。

「おい!ハリソン!」
「明日は12時ぐらいに昼飯を済ませて4階にこいよ!!」
「明日から外出るからな!!」

「はーーい!」

「アレンも今日は帰っていいぞ!!」
「集合時間は今、言った通りだ」

「はーーい」

 俺は武器庫から頭を出しているノアに返事をすると、ハリソン君を追うように運動場を後にした。


 なんとか逃げれたか……

 いや、俺は逃げた訳じゃない。
 フェアに戦いたかっただけだ。

 とりあえず、帰る前にアメリアさんを探そう。


 総合受付の方に向かおうとすると、ちょうどアメリアさんが階段から降りてきた。

「あ、アメリアさん!」
「昨日はありがとうございました」

 俺はアメリアさんに向かって深く頭を下げる。

「いいのいいの!」
「お礼はトレバーさんに言って!」

 顔を上げると、アメリアさんのいつもの美しい笑顔を俺に向けてくれた。

「アレンくんは今日はもう終わり?」

「はい、そうです」

「今日ね、ケイちゃんが頭痛いって早退してるから、帰ったら面倒見てあげてね」
「それじゃあお疲れ様!」

 アメリアさんはそう言い残すと受付の裏口に入ってしまった。

 ……もう少しお話したかったな。

 それにしても、ケイは体調不良か。
 昨日、雨に打たれたのが原因で風邪でも引いたかな。


 鍵は俺が持ってるからケイは部屋に入れないだろうし小走りで帰るか……
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