151 / 244
第三章「レゼンタック」
第十四話「共作」
しおりを挟む
壁に寄りかかりながら座って待っていると、ノアは両手に色々な物を抱えて建物から出てきた。
「アレン!ちょっと鞘を貸してみろ!」
俺は短剣を抜き、鞘をノアに投げ渡す。
ノアは鞘を持って武器庫に入ったかと思えば、大小さまざまな三種類の武器を持って出てきた。
俺は短剣を左手で振る練習をしながらノアを観察する。
「うーーん……」
「アレン、ちょっと手を貸せ!」
「なに?」
俺がノアの近くに寄ると、ノアは俺の右手をグイっと引っ張った。
そして、ノアは俺の右手に三種類の武器を何度かあてがう。
ノアが持ってきた武器は、どれも持ち手にナックルガードが付いた物だった。
「よし、もういいぞ!」
ノアは俺の手を離すと、小型のサーベルのような武器を除いて遠くにはじいた。
バキンッ!!
何が起こるのか気になってノアの手元を見ていると、ノアが突然サーベルのナックルガードを捩じって分解した。
どうやら接着部分は二つの輪っかで固定されていたようだ。
というか、そこってそんな簡単に外れちゃダメだろ……
ノアは次に、鞘に輪ゴム?を何本か付けると、ナックルガードを鞘に当てながら、二つの輪っかが当たる部分に位置を調整する。
なんか、説明も無しに淡々と事が進んで少し怖い。
「おい、アレン!」
「鞘を構えてみろ!」
俺はノアに鞘を渡されると、弧の内側を腕にくっつけるように、逆手でそれっぽく構えてみる。
「違う!」
「逆だよ!逆!」
ノアは短剣の周りを人差し指で一周回した。
「う、うん……」
俺は戸惑いながらも弧の外側を腕にくっつけるように、鞘を回転させて構え直した。
「うん、大丈夫そうだな」
「返せ!」
ノアは俺から鞘を力ずくで奪い取った。
「今からここに新しい持ち手をつけるが良いか?」
ノアはそう言いながら、鞘にナックルガードのような曲線を指で描く。
ここまで来て、やっと説明が入った。
……どうなるか分からないが物は試しだ。
「うん、いいよ」
俺が返事をすると、ノアはナックルガードの二つの輪っかに鞘をぐりぐりと押し込み、ゴムをはめた位置まで動かす。
「ふんっ……」
ギュギュギュリギュチギュチチチ……ギュギュギュリギュチギュチチチ……
ノアは輪っかの部分を持って、圧をかけながら鞘を小刻みにねじり始めた。
それをある程度すると、同じことをもう一方の輪っかの部分でも行った。
摩擦で熱されたゴムの匂いが鼻に刺さる。
「ふぅー!ふぅー!ふぅー!」
ノアは小刻みに捩じる工程を終えると、輪っかの部分に息を吹きかけて冷まし始めた。
よく見ると接合部分からドロッとした液体が溢れている。
「うーん……」
ノアは首を傾けながらナックルガードに何度か力を加えて固定されたことを確認すると、輪っかの固定部分を脇に置いてあったテープで補強し始めた。
固定部分に五周ほどテープを巻くと、次に脇に置いてあった違うテープでナックルガード部分をまんべんなく二周、巻いた。
「よし、出来たぞ!」
「構えてみろ!」
ノアはそう言うと、俺に改造した鞘を渡した。
鞘には少し熱が籠っている。
俺はナックルガードに親指以外の指を通し、鞘の本体を握って構えた。
グローブを付けているとかなりギチギチだ。
「持つところが違う!」
「新しい持ち手って言っただろ?」
「……あ、そっち」
俺はナックルガードから指を抜き、四本の指を違う方向から入れ直すと、ナックルガード部分を握るように構えた。
「いいじゃないか!」
ノアはそう言うと、近くにバラまいた道具を遠くの方にどかして槍を持つ。
俺はとりあえずホルスターに鞘が収まるか確かめた。
カチンッ
うーん……
なんだか思ってたのと違うけど……まぁいいか。
「アレン!ちょっと鞘を貸してみろ!」
俺は短剣を抜き、鞘をノアに投げ渡す。
ノアは鞘を持って武器庫に入ったかと思えば、大小さまざまな三種類の武器を持って出てきた。
俺は短剣を左手で振る練習をしながらノアを観察する。
「うーーん……」
「アレン、ちょっと手を貸せ!」
「なに?」
俺がノアの近くに寄ると、ノアは俺の右手をグイっと引っ張った。
そして、ノアは俺の右手に三種類の武器を何度かあてがう。
ノアが持ってきた武器は、どれも持ち手にナックルガードが付いた物だった。
「よし、もういいぞ!」
ノアは俺の手を離すと、小型のサーベルのような武器を除いて遠くにはじいた。
バキンッ!!
何が起こるのか気になってノアの手元を見ていると、ノアが突然サーベルのナックルガードを捩じって分解した。
どうやら接着部分は二つの輪っかで固定されていたようだ。
というか、そこってそんな簡単に外れちゃダメだろ……
ノアは次に、鞘に輪ゴム?を何本か付けると、ナックルガードを鞘に当てながら、二つの輪っかが当たる部分に位置を調整する。
なんか、説明も無しに淡々と事が進んで少し怖い。
「おい、アレン!」
「鞘を構えてみろ!」
俺はノアに鞘を渡されると、弧の内側を腕にくっつけるように、逆手でそれっぽく構えてみる。
「違う!」
「逆だよ!逆!」
ノアは短剣の周りを人差し指で一周回した。
「う、うん……」
俺は戸惑いながらも弧の外側を腕にくっつけるように、鞘を回転させて構え直した。
「うん、大丈夫そうだな」
「返せ!」
ノアは俺から鞘を力ずくで奪い取った。
「今からここに新しい持ち手をつけるが良いか?」
ノアはそう言いながら、鞘にナックルガードのような曲線を指で描く。
ここまで来て、やっと説明が入った。
……どうなるか分からないが物は試しだ。
「うん、いいよ」
俺が返事をすると、ノアはナックルガードの二つの輪っかに鞘をぐりぐりと押し込み、ゴムをはめた位置まで動かす。
「ふんっ……」
ギュギュギュリギュチギュチチチ……ギュギュギュリギュチギュチチチ……
ノアは輪っかの部分を持って、圧をかけながら鞘を小刻みにねじり始めた。
それをある程度すると、同じことをもう一方の輪っかの部分でも行った。
摩擦で熱されたゴムの匂いが鼻に刺さる。
「ふぅー!ふぅー!ふぅー!」
ノアは小刻みに捩じる工程を終えると、輪っかの部分に息を吹きかけて冷まし始めた。
よく見ると接合部分からドロッとした液体が溢れている。
「うーん……」
ノアは首を傾けながらナックルガードに何度か力を加えて固定されたことを確認すると、輪っかの固定部分を脇に置いてあったテープで補強し始めた。
固定部分に五周ほどテープを巻くと、次に脇に置いてあった違うテープでナックルガード部分をまんべんなく二周、巻いた。
「よし、出来たぞ!」
「構えてみろ!」
ノアはそう言うと、俺に改造した鞘を渡した。
鞘には少し熱が籠っている。
俺はナックルガードに親指以外の指を通し、鞘の本体を握って構えた。
グローブを付けているとかなりギチギチだ。
「持つところが違う!」
「新しい持ち手って言っただろ?」
「……あ、そっち」
俺はナックルガードから指を抜き、四本の指を違う方向から入れ直すと、ナックルガード部分を握るように構えた。
「いいじゃないか!」
ノアはそう言うと、近くにバラまいた道具を遠くの方にどかして槍を持つ。
俺はとりあえずホルスターに鞘が収まるか確かめた。
カチンッ
うーん……
なんだか思ってたのと違うけど……まぁいいか。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる