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第二章「セントエクリーガ城下町」
第九十六話「取り調べ 2」
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コンコン……ガチャ
俺が答えるのをためらっていると誰かがドアをノックした。
助けかと安心したのもつかの間で、男の人が大きな紙を受け取ると、その扉はすぐに閉じられてしまった。
「すみません」
「えー、ちなみに具体的にどこに遺棄したのかは覚えていますか?」
男の人はドアの外から受け取った地図を机の上で広げる。
俺は期待を裏切られたのがショックで目を拭いながら息を漏らした。
「ふぅ……」
「この辺りの草陰です」
「血だまりが残っていると思います」
俺は自然な流れで地図を指差して答えたが再びパニックになる。
答えたってことは罪を認めた事になるのか?
「アレンさん、なにか隠していませんか?」
「もし逃亡を手助けしたのなら罪は重いですよ?」
動揺しているのが伝わったのか男の人は俺に不審な目を向ける。
俺は胸に手を当て、慌てて必死の冷静を装った。
大丈夫、大丈夫……とにかく話を逸らそう。
「逃亡の手助けなんてしていません」
「それよりも、ウォロ村の裏門が作為的に塞がれていました」
「あれは普通のモンスターには出来ないはずです」
俺はなんとかひねり出した渾身の反撃を見せる。
「なぜ素人であるあなたにアレが作為的だと分かるのですか?」
「そもそも、あそこは普段使われていないはずの非常用の門です」
「もし作為的に塞がれたのであるならば、ウォロ村に詳しい人物、つまりあなたが疑われるのは理解できますか?」
俺の必死の抵抗は男の人にとっては陳腐な発想だったのか軽くいなされてしまう。
しかし、ここで怯むわけにはいかない。
「……はい」
「けれど村の中には鬼の足跡が残っています」
「たとえこの事件がカイがやった事だったとしても、鬼がウォロ村の中に侵入したことは素人の僕でも分かりますよ」
コンコン……
俺は話をさらに逸らすために、耳の裏に熱を溜めながらもなんとか口を開く。
しかし、話している途中に再び誰かがドアをノックした。
男の人は俺が話しているのにも関わらず、ドアのノックに答えるように立ち上がる。
「わかりました……とりあえずコーヒーを出してください」
扉の近くで誰かと会話をしているが、男の人の声は聞こえるが相手の声が聞こえない。
いまさら俺にコーヒーを出すのか?
「ん゛っん゛ん……失礼しました」
「えー、先程あなたは自分の足跡を消したと仰っていましたが、足跡を消すことが可能ならば、鬼の足跡を作ることも可能なのではないですか?」
「それに足跡も普通の鬼とはかなり異なった特徴をしていましたし、黒い鬼という仮想の新種モンスターに見せかけて犯行を隠そうとしたのではないのですか?」
「違いま……」「それにですね!」
俺が反論をする隙を作らず男の人は威圧的に言葉を被せる。
「あなたは知らないかもしれませんが、この世界では新種のモンスターに見せかけて犯罪を犯すケースは多いです」
「そもそも、あなたが森の中で甦ったというのも嘘なんじゃないんですか?」
「それこそ前例がありませんよ」
「私たちは、あなたが他国からの逃亡犯という可能性も危惧しています」
「甦った場所が森の中というのは本当なんですか?」
「……今は、未成年のケイさんにはお話しを伺っていませんが、あなたが信用できない場合は、お話をせざるを得ないのですがどうします?」
男の人は手のひらを机の上にびったりと付けながら前のめりになって圧をかけてくる。
「それはっ……」
俺はケイの名前を出されたことで身体が反応してしまい、椅子から身体を浮かして中腰になる。
その瞬間、男の人は立ち上がり、右手を腰の後ろに回した。
……なんで熱くなってるんだ。
俺はふと我に返り、おとなしく腰を下ろす。
別にケイに話をさせればいいじゃないか。
もうなにも答えることはない。
ここからは黙秘だ。
コンコン……ガチャ
俺がズボンのポケットに手を入れると再び誰かがノックした。
今度は何だよ……
「……入りますね」
そう言いながら部屋の中に入ってきた人は、俺が今、この世で一番会いたかった人の姿をしていた。
俺が答えるのをためらっていると誰かがドアをノックした。
助けかと安心したのもつかの間で、男の人が大きな紙を受け取ると、その扉はすぐに閉じられてしまった。
「すみません」
「えー、ちなみに具体的にどこに遺棄したのかは覚えていますか?」
男の人はドアの外から受け取った地図を机の上で広げる。
俺は期待を裏切られたのがショックで目を拭いながら息を漏らした。
「ふぅ……」
「この辺りの草陰です」
「血だまりが残っていると思います」
俺は自然な流れで地図を指差して答えたが再びパニックになる。
答えたってことは罪を認めた事になるのか?
「アレンさん、なにか隠していませんか?」
「もし逃亡を手助けしたのなら罪は重いですよ?」
動揺しているのが伝わったのか男の人は俺に不審な目を向ける。
俺は胸に手を当て、慌てて必死の冷静を装った。
大丈夫、大丈夫……とにかく話を逸らそう。
「逃亡の手助けなんてしていません」
「それよりも、ウォロ村の裏門が作為的に塞がれていました」
「あれは普通のモンスターには出来ないはずです」
俺はなんとかひねり出した渾身の反撃を見せる。
「なぜ素人であるあなたにアレが作為的だと分かるのですか?」
「そもそも、あそこは普段使われていないはずの非常用の門です」
「もし作為的に塞がれたのであるならば、ウォロ村に詳しい人物、つまりあなたが疑われるのは理解できますか?」
俺の必死の抵抗は男の人にとっては陳腐な発想だったのか軽くいなされてしまう。
しかし、ここで怯むわけにはいかない。
「……はい」
「けれど村の中には鬼の足跡が残っています」
「たとえこの事件がカイがやった事だったとしても、鬼がウォロ村の中に侵入したことは素人の僕でも分かりますよ」
コンコン……
俺は話をさらに逸らすために、耳の裏に熱を溜めながらもなんとか口を開く。
しかし、話している途中に再び誰かがドアをノックした。
男の人は俺が話しているのにも関わらず、ドアのノックに答えるように立ち上がる。
「わかりました……とりあえずコーヒーを出してください」
扉の近くで誰かと会話をしているが、男の人の声は聞こえるが相手の声が聞こえない。
いまさら俺にコーヒーを出すのか?
「ん゛っん゛ん……失礼しました」
「えー、先程あなたは自分の足跡を消したと仰っていましたが、足跡を消すことが可能ならば、鬼の足跡を作ることも可能なのではないですか?」
「それに足跡も普通の鬼とはかなり異なった特徴をしていましたし、黒い鬼という仮想の新種モンスターに見せかけて犯行を隠そうとしたのではないのですか?」
「違いま……」「それにですね!」
俺が反論をする隙を作らず男の人は威圧的に言葉を被せる。
「あなたは知らないかもしれませんが、この世界では新種のモンスターに見せかけて犯罪を犯すケースは多いです」
「そもそも、あなたが森の中で甦ったというのも嘘なんじゃないんですか?」
「それこそ前例がありませんよ」
「私たちは、あなたが他国からの逃亡犯という可能性も危惧しています」
「甦った場所が森の中というのは本当なんですか?」
「……今は、未成年のケイさんにはお話しを伺っていませんが、あなたが信用できない場合は、お話をせざるを得ないのですがどうします?」
男の人は手のひらを机の上にびったりと付けながら前のめりになって圧をかけてくる。
「それはっ……」
俺はケイの名前を出されたことで身体が反応してしまい、椅子から身体を浮かして中腰になる。
その瞬間、男の人は立ち上がり、右手を腰の後ろに回した。
……なんで熱くなってるんだ。
俺はふと我に返り、おとなしく腰を下ろす。
別にケイに話をさせればいいじゃないか。
もうなにも答えることはない。
ここからは黙秘だ。
コンコン……ガチャ
俺がズボンのポケットに手を入れると再び誰かがノックした。
今度は何だよ……
「……入りますね」
そう言いながら部屋の中に入ってきた人は、俺が今、この世で一番会いたかった人の姿をしていた。
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