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第二章「セントエクリーガ城下町」
第八十五話「ショッピング」
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昼食を終えて意気揚々とレゼンタックに戻ったのだが、最初に窓ガラスを三階まで運ぶ作業を手伝っただけで用済みと言われてしまった。
太陽が高いうちに帰るなんて、少し罪悪感がある。
しかしノアとの訓練で昨日の傷も痛み始めていたし、休めるなら喜んで休みたい。
それにモンスターの生態表も改めて読みたいしな……
「……あ」
そういえば今日の朝ケイに部屋の鍵を渡してしまった。
生態表は部屋の中だ。
……どうしよう。
かなりの距離を歩いてきたので今からレゼンタックに戻るのも面倒だ。
となれば、図書館で時間を潰すか……
それならば同じような本もあるかもしれない。
……いや、やっぱり素直に宿に帰ろう。
今から重い脚を引きずって図書館に行く元気は無い。
「ただいまー」
俺は大きめの声でそう言いながら、引き戸を開ける。
「あれ、アレン早かったね!」
「お昼は?」
ヒナコはいつもの笑顔で奥から顔を出してくれた。
少しビビっていたので、ホッとした。
「食べてきたよ」
俺はそう言いながら靴を脱いで玄関を上がり、ダイニングに進むと椅子に腰かけた。
さて、これからどうするか。
「あれ、アレン部屋に戻らないの?」
ヒナコは何をしているのかは分からないが、忙しそうにそこら中を歩き回っている。
今は箒を持っているのでおそらく掃除中だ。
「えーっと……」
「ケイが鍵持ってっちゃったから締め出されてる」
俺はヒナコが近くに来るタイミングで答える。
「そうなんだ!」
「なら今から買い物行くから手伝ってね!」
ヒナコはなぜか嬉しそうにそう言い残すと、俺が返事をする前に姿を消してしまった。
『てね!』ってことは強制か……
特に準備することも無いので俺は自分で注いだお茶を飲みながらその場でじっと待つ。
「アレーン!いくよー!」
ダイニングでじっとしていると玄関の方からヒナコの呼び声が聞こえてきた。
俺は残っていたお茶を飲み干し、キッチンの流しに置くと、玄関に行く。
玄関ではいつの間にか着替えていた、腰に手を当てたヒナコが手さげ袋を持って待っていた。
俺は急いで靴を履き外に出るとヒナコは鍵を閉める。
そして、どこに向かうのかも分らぬまま俺はヒナコの後を犬のようについていった。
「ただいまー-!!」
ダイニングの机で突っ伏していると玄関の方からケイの声が聞こえてきた。
ケイが階段を上っていく音が微かに聞こえる。
その後を追って部屋に戻りたいのは山々だが、散々連れまわされたせいで、そんな元気はもう無い。
連日の度重なる疲労で脚はもう限界を超えていた。
明日からは時間を潰してから帰ろう……
太陽が高いうちに帰るなんて、少し罪悪感がある。
しかしノアとの訓練で昨日の傷も痛み始めていたし、休めるなら喜んで休みたい。
それにモンスターの生態表も改めて読みたいしな……
「……あ」
そういえば今日の朝ケイに部屋の鍵を渡してしまった。
生態表は部屋の中だ。
……どうしよう。
かなりの距離を歩いてきたので今からレゼンタックに戻るのも面倒だ。
となれば、図書館で時間を潰すか……
それならば同じような本もあるかもしれない。
……いや、やっぱり素直に宿に帰ろう。
今から重い脚を引きずって図書館に行く元気は無い。
「ただいまー」
俺は大きめの声でそう言いながら、引き戸を開ける。
「あれ、アレン早かったね!」
「お昼は?」
ヒナコはいつもの笑顔で奥から顔を出してくれた。
少しビビっていたので、ホッとした。
「食べてきたよ」
俺はそう言いながら靴を脱いで玄関を上がり、ダイニングに進むと椅子に腰かけた。
さて、これからどうするか。
「あれ、アレン部屋に戻らないの?」
ヒナコは何をしているのかは分からないが、忙しそうにそこら中を歩き回っている。
今は箒を持っているのでおそらく掃除中だ。
「えーっと……」
「ケイが鍵持ってっちゃったから締め出されてる」
俺はヒナコが近くに来るタイミングで答える。
「そうなんだ!」
「なら今から買い物行くから手伝ってね!」
ヒナコはなぜか嬉しそうにそう言い残すと、俺が返事をする前に姿を消してしまった。
『てね!』ってことは強制か……
特に準備することも無いので俺は自分で注いだお茶を飲みながらその場でじっと待つ。
「アレーン!いくよー!」
ダイニングでじっとしていると玄関の方からヒナコの呼び声が聞こえてきた。
俺は残っていたお茶を飲み干し、キッチンの流しに置くと、玄関に行く。
玄関ではいつの間にか着替えていた、腰に手を当てたヒナコが手さげ袋を持って待っていた。
俺は急いで靴を履き外に出るとヒナコは鍵を閉める。
そして、どこに向かうのかも分らぬまま俺はヒナコの後を犬のようについていった。
「ただいまー-!!」
ダイニングの机で突っ伏していると玄関の方からケイの声が聞こえてきた。
ケイが階段を上っていく音が微かに聞こえる。
その後を追って部屋に戻りたいのは山々だが、散々連れまわされたせいで、そんな元気はもう無い。
連日の度重なる疲労で脚はもう限界を超えていた。
明日からは時間を潰してから帰ろう……
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