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第二章「セントエクリーガ城下町」
第七十三話「事跡」
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俺は木陰に隠れながら一息着くと、川沿いを上流に向かって走り始めた。
本当ならば先程のカポウツェロに対して<遁走>の効果を使って時間を短縮したかったのだが、一息着いた時点で効果は切れてしまった。
ウォロ村からここまでにかかる時間は、<遁走>が発動した状態でおそらく5~6時間。
このままだと、絶対に今日中に帰れない。
時間があるときに準備を整えてウォロ村に帰ればいいかもしれないが、それだとおそらく村を調査しにくる人たちに先を越されるだろう。
村が壊滅するような事件ならば必ず何かしら人の手が加わるはずだ。
その前に色々と回収したいものがある。
オムさんはウォロ村からセントエクリーガ城下町まで3日かかると言っていた。
なので既に色々回収されている可能性もあるが、とにかく今日がリミットだ。
俺は手ごろなモンスターを探しながら走り続ける。
川沿いにはスライムがいるはずだ。
「あれ……」
俺は川沿いにいたスライムの力を借りながら順調に川を上り、二つの川が合流する場所まできた。
左側の川を進めばウォロ村に繋がっている。
そして、この辺りにはカイの死体があるはずだ。
俺は辺りの草陰を必死に探す。
あの時は焦っていたこともあり、どこに隠したかまでは覚えていないがこの辺りなのは確実だ。
「……ん?」
ある草陰に大きな血だまりが残っている。
しかしそこにカイの姿は無い。
低木の葉の中には脱ぎ捨てた俺の革靴が入ってたので、ここに違いない。
よく見ると乾いた血だまりが森の方向に向かって擦れたような跡がある。
あの時は雨が降っていたので血が流れた跡なのかもしれないが、死体を引きずったような跡にも見える。
もしかして調査に来た人が回収したのか?
だが、森の方向に人間の足跡らしいものは無い。
となればモンスターか?
もしカイの死体を見つけたら、せめてウォロ村まで運ぼうと思っていた。
しかしなによりも、もう一度だけ顔が見たかった……
目の前の血だまりに、あの夜この手からカイの脚が零れ落ちる瞬間がフラッシュバックする。
ヒューーー、ギュチンッ!
俺の目から涙が落ちる瞬間、耳元で高い音の風切り音が鳴ると、右肩に激痛が走った。
目を拭って肩を抑えながら慌てて顔を上げると、50mほど先に腕が長く、こめかみ辺りから2本の角を生やした耳の大きい猿が5匹ほどいた。
その中で一番小さい猿が俺に向かって何かを投擲するようなフォームを始める。
俺は荷物を拾って慌てて川沿いに戻り、川上に向かって走ろうとした。
ギュチンッ!
3歩目を踏み込んだ瞬間、左わき腹になにか投擲物が直撃する。
脇に目を向けるとポロポロと石片が落ちている。
投げていたのはかなりの大きさの石だ。
ヒュンッ……ヒュンッ……ヒュンッ……
俺は肩とわき腹の激痛に構わず必死に走った。
その背後からは石が風が切る音が規則的に聞こえてくる。
しばらくすると背後から聞こえるその音はパッタリと無くなった。
本当ならば先程のカポウツェロに対して<遁走>の効果を使って時間を短縮したかったのだが、一息着いた時点で効果は切れてしまった。
ウォロ村からここまでにかかる時間は、<遁走>が発動した状態でおそらく5~6時間。
このままだと、絶対に今日中に帰れない。
時間があるときに準備を整えてウォロ村に帰ればいいかもしれないが、それだとおそらく村を調査しにくる人たちに先を越されるだろう。
村が壊滅するような事件ならば必ず何かしら人の手が加わるはずだ。
その前に色々と回収したいものがある。
オムさんはウォロ村からセントエクリーガ城下町まで3日かかると言っていた。
なので既に色々回収されている可能性もあるが、とにかく今日がリミットだ。
俺は手ごろなモンスターを探しながら走り続ける。
川沿いにはスライムがいるはずだ。
「あれ……」
俺は川沿いにいたスライムの力を借りながら順調に川を上り、二つの川が合流する場所まできた。
左側の川を進めばウォロ村に繋がっている。
そして、この辺りにはカイの死体があるはずだ。
俺は辺りの草陰を必死に探す。
あの時は焦っていたこともあり、どこに隠したかまでは覚えていないがこの辺りなのは確実だ。
「……ん?」
ある草陰に大きな血だまりが残っている。
しかしそこにカイの姿は無い。
低木の葉の中には脱ぎ捨てた俺の革靴が入ってたので、ここに違いない。
よく見ると乾いた血だまりが森の方向に向かって擦れたような跡がある。
あの時は雨が降っていたので血が流れた跡なのかもしれないが、死体を引きずったような跡にも見える。
もしかして調査に来た人が回収したのか?
だが、森の方向に人間の足跡らしいものは無い。
となればモンスターか?
もしカイの死体を見つけたら、せめてウォロ村まで運ぼうと思っていた。
しかしなによりも、もう一度だけ顔が見たかった……
目の前の血だまりに、あの夜この手からカイの脚が零れ落ちる瞬間がフラッシュバックする。
ヒューーー、ギュチンッ!
俺の目から涙が落ちる瞬間、耳元で高い音の風切り音が鳴ると、右肩に激痛が走った。
目を拭って肩を抑えながら慌てて顔を上げると、50mほど先に腕が長く、こめかみ辺りから2本の角を生やした耳の大きい猿が5匹ほどいた。
その中で一番小さい猿が俺に向かって何かを投擲するようなフォームを始める。
俺は荷物を拾って慌てて川沿いに戻り、川上に向かって走ろうとした。
ギュチンッ!
3歩目を踏み込んだ瞬間、左わき腹になにか投擲物が直撃する。
脇に目を向けるとポロポロと石片が落ちている。
投げていたのはかなりの大きさの石だ。
ヒュンッ……ヒュンッ……ヒュンッ……
俺は肩とわき腹の激痛に構わず必死に走った。
その背後からは石が風が切る音が規則的に聞こえてくる。
しばらくすると背後から聞こえるその音はパッタリと無くなった。
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