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第二章「セントエクリーガ城下町」
第七十一話「轍」
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俺はカーテンを開けて朝日を浴びながら朝ごはんの時間までのんびりする。
ケイはさっそく、昨日買った服から今日着ていく服を選んでいるようだ。
7時になると階段を降り、ダイニングに行くと、既に朝ごはんが用意されていた。
メニューは卵焼きとベーコンがメインだ。
朝ごはんを済ませ、二階に戻ると、パジャマからパーカーに着替えて8時になるまで再びゆったりと過ごす。
「アレン!いこ!」
窓際であくびをしているとリュックを背負ったケイが後ろから俺の手を引っ張った。
昨日のせいなのか、まだ手首が少し痛む。
俺はポーチに木の短剣と地図を突っ込み、適当な袋にカイの靴を入れ、それを持って部屋を出た。
「あ、今日遅くなるかもしれないから部屋の鍵はケイが持ってて」
俺は部屋の鍵を閉めると、そう言いながらケイに鍵を渡した。
「やった!」
ケイは喜びながら鍵を受け取ると、大切そうにポケットの中に入れる。
「落とすからポケットじゃなくて、リュックに入れたほうがいいよ」
俺がそう言うと、ケイはリュックを降ろしてポケットに入っていた鍵をリュックの中に雑に突っ込むと、慌ただしく階段を下りて行く。
その後を追いかけると、玄関にはヒナコが見送りにきてくれていた。
「いってきまーす!」
俺が靴を履いていると、先にケイが玄関のドアを開けて飛び出していった。
俺は急ぎながらもきつく靴の紐を締め、ケイの後を追いかける。
「じゃあ、行ってきます」
俺はヒナコに向かって軽く手を上げて玄関の外に出た。
「行ってらっしゃい」
ヒナコは笑顔で手を振って俺とケイを送り出してくれる。
ケイはUターンをしてヒナコに大きく手を振って答えると、俺の手を強く握った。
昨日より時間が早いが、道には人が増えているような気がする。
この時間が通勤時間になっているのだろう。
ケイもこの風景にも慣れてきたのか、たまに首を大きく動かすが基本的にはまっすぐ前を向いて歩いている。
「いってくるね!」
レゼンタックの近くに着くと、ケイはそう言い残してレゼンタックの中に入っていってしまった。
ケイが唐突に走っていってしまったので、俺は何も見送りの言葉を掛けられなかったが、仕方がないので再び歩き出す。
俺はまず、地図を見ながらデリカサンドに向かった。
この城下町はかなり広いが、早いうちに自分の行動範囲ぐらいは地図無しで歩き回れるようになりたい。
「おぉ!よう兄ちゃん!一昨日ぶりだな!!」
デリカサンドの店内に入ると一昨日のおじさんがちょうど厨房から出てきた。
「こんにちはー」
「チーズサンド一つください」
俺はレジカウンターまで近づいて置いてあるメニューを指差しながら注文した。
「おう!ちょっと待ってな!」
おじさんは笑顔で厨房の中に戻っていく。
俺はパンの焼ける匂いを嗅ぎながら、サンドイッチが出来るのを待った。
「おまたせさん」
「今日は嬢ちゃんはいないのか?」
おじさんはカウンターの上にサンドイッチが入った紙袋を置いたので、俺は20ギニーを支払う。
「今日は別行動です」
「また来ますね」
俺は紙袋を受け取り、そう言い残すと店を出た。
「今度は一緒に来いよ!!」
店を後にする俺の背中におじさんの声が響く。
俺は振り返り軽く会釈をしてから南の壁の方に向かって歩き始めた。
三日ぶりか……
ケイはさっそく、昨日買った服から今日着ていく服を選んでいるようだ。
7時になると階段を降り、ダイニングに行くと、既に朝ごはんが用意されていた。
メニューは卵焼きとベーコンがメインだ。
朝ごはんを済ませ、二階に戻ると、パジャマからパーカーに着替えて8時になるまで再びゆったりと過ごす。
「アレン!いこ!」
窓際であくびをしているとリュックを背負ったケイが後ろから俺の手を引っ張った。
昨日のせいなのか、まだ手首が少し痛む。
俺はポーチに木の短剣と地図を突っ込み、適当な袋にカイの靴を入れ、それを持って部屋を出た。
「あ、今日遅くなるかもしれないから部屋の鍵はケイが持ってて」
俺は部屋の鍵を閉めると、そう言いながらケイに鍵を渡した。
「やった!」
ケイは喜びながら鍵を受け取ると、大切そうにポケットの中に入れる。
「落とすからポケットじゃなくて、リュックに入れたほうがいいよ」
俺がそう言うと、ケイはリュックを降ろしてポケットに入っていた鍵をリュックの中に雑に突っ込むと、慌ただしく階段を下りて行く。
その後を追いかけると、玄関にはヒナコが見送りにきてくれていた。
「いってきまーす!」
俺が靴を履いていると、先にケイが玄関のドアを開けて飛び出していった。
俺は急ぎながらもきつく靴の紐を締め、ケイの後を追いかける。
「じゃあ、行ってきます」
俺はヒナコに向かって軽く手を上げて玄関の外に出た。
「行ってらっしゃい」
ヒナコは笑顔で手を振って俺とケイを送り出してくれる。
ケイはUターンをしてヒナコに大きく手を振って答えると、俺の手を強く握った。
昨日より時間が早いが、道には人が増えているような気がする。
この時間が通勤時間になっているのだろう。
ケイもこの風景にも慣れてきたのか、たまに首を大きく動かすが基本的にはまっすぐ前を向いて歩いている。
「いってくるね!」
レゼンタックの近くに着くと、ケイはそう言い残してレゼンタックの中に入っていってしまった。
ケイが唐突に走っていってしまったので、俺は何も見送りの言葉を掛けられなかったが、仕方がないので再び歩き出す。
俺はまず、地図を見ながらデリカサンドに向かった。
この城下町はかなり広いが、早いうちに自分の行動範囲ぐらいは地図無しで歩き回れるようになりたい。
「おぉ!よう兄ちゃん!一昨日ぶりだな!!」
デリカサンドの店内に入ると一昨日のおじさんがちょうど厨房から出てきた。
「こんにちはー」
「チーズサンド一つください」
俺はレジカウンターまで近づいて置いてあるメニューを指差しながら注文した。
「おう!ちょっと待ってな!」
おじさんは笑顔で厨房の中に戻っていく。
俺はパンの焼ける匂いを嗅ぎながら、サンドイッチが出来るのを待った。
「おまたせさん」
「今日は嬢ちゃんはいないのか?」
おじさんはカウンターの上にサンドイッチが入った紙袋を置いたので、俺は20ギニーを支払う。
「今日は別行動です」
「また来ますね」
俺は紙袋を受け取り、そう言い残すと店を出た。
「今度は一緒に来いよ!!」
店を後にする俺の背中におじさんの声が響く。
俺は振り返り軽く会釈をしてから南の壁の方に向かって歩き始めた。
三日ぶりか……
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