レベルってなんですか?

Nombre

文字の大きさ
上 下
88 / 244
第二章「セントエクリーガ城下町」

第五十一話「凄く微妙な海鮮丼」

しおりを挟む
 さてと、食べるか……

 俺はまず、海鮮丼の中からカツオのような色合いの無難そうな魚に手を伸ばす。

 「……ん゛ーーー」

 油は適度に乗っていて味もしっかりしているが、繊維感が少し強い。
 噛んでも噛んでも口の中に筋が残るので少し飲み込みずらい。


 次は透明感があまりない白身に箸を伸ばす。

 箸に取ると、光が油に反射して少しキラキラしているのが分かる。

 「おー、んーーー?」

 なるほどなぁ……

 この魚は先程の魚よりも脂身が多く甘みも強いが、弾力が強く少し油臭い。
 好きな人は好きそうだが、俺はあんまりだ。


 次の魚に行く前に、野菜を試してみよう。

 「ん!おぉ!」

 美味い!というかこれは、たくあんだ。

 大根とかぶの中間のような食感をしていて水分量も多いので、地球のより美味しい。
 素材がいまいち分からないが、箸休めとしてはベストだ。


 さて……魚に戻るか。

 次はピンクがかった白身なのか赤身なのか分からない魚に手を伸ばす。

 「……うん」

 普通に美味い。

 これはエンガワのように触感を楽しむ系だ。
 脂身も味の強さはエンガワとほぼ同じだが、味が少し変わっていて、多分魚なのだろうが、少し貝系の味も感じる。

 まあ、良くも悪くも普通だ。


 次で最後、少し透き通っている鯛のような見た目の白身魚だ。

 「うーん……」

 不味くはないが、ネチャネチャしていて、味もぼやけている。

 目を瞑って食べたらたぶん魚とは気づけない。


 「……」

 一通り食べて思った感想としては、食用でない物を無理やり食べている感じだ。
 例えるなら魚のジビエだ。

 この世界でモンスターを食べる時は、昨日食べたパストラミのような濃い味付けの方が向いているのかもしれない。

 それに比べて野菜は味が強く、こっちは多分なんでも美味しい。
 よっぽどこの世界の土壌は栄養が豊富なのだろう。

 この海鮮丼の総評としては……、まぁイケるけど金輪際、食べることはないだろう。


 ふと顔を上げると、ヒナコがパスタを美味しそうに頬張っていた。
 脇に目を向けるとケイはオムライスを完食していて、皿に残ったケチャップライスをスプーンでかき集めている。

 ……次はパスタ系にしよう。


 俺はヒナコと同じ速さで残りの海鮮丼を食べ終えた。


「ごちそうさまでした」

 ヒナコが手を合わせている前で、ケイは暇そうにくつろいでいる。


「……そういえば、ケイって何することになったの?」

 そういえば、ケイがレゼンタックで何をするのかを聞いてなかった。

 ヒナコはナフキンで口元を拭うと、机に両肘を付き、ケイに向かって前のめりになる。

「えっとね!あそこでお仕事するの!!」

 ケイは厨房に向かって指を差した。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...