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第二章「セントエクリーガ城下町」

第三十二話「灰暗」

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 今日のセントエクリーガの空は灰色の雲空だ。
 この天気ではどうにも気分があがらない。
 
 朝のケイの『今日は晴れ』という発言は何だったのか……


 せわしく首を振って街並みを見ているケイを先頭にしてレゼンタックに向かっていると、ケイが思い出したかのようにUターンをして俺の手を握ってきた。

 ヒナコのさっきの態度もそうだが、12歳のケイが俺の手を握ってくるのにも少し違和感がある。
 俺の知っている12歳はこんな子供っぽくない。

 田舎の子供は成長が遅いと聞いた事があるが、こういうことなのだろうか……



 しばらく歩いているとレゼンタックの時計塔が見えてきた。

 時計を確認すると針は9時20分を指している。

 迷わず時間道理に着いたことに一先ず安心した。

 建物の中は人はごった返していたが、総合受付にいるアメリアさんの姿を見つけると躊躇わずにアメリアさんがいる列にならぶ。


 おとなしく待っていると、5分ほどで順番が回ってきた。

「あ!アレンさん、おはようございます!」
「ヒナコちゃんの宿はどうですか?」

 アメリアさんは俺の顔を確認すると笑顔で話しかけてくれた。

 アメリアさんが俺の名前を憶えていてくれたことに少し感動する。

「まぁ……なかなか面白いですよ」
「それとご飯が美味しかったです」

 俺は動揺を隠すために、なるべく普通に答える。

「あの子、友達少ないので仲良くしてあげてくださいね!」
「それではまず……レベル測定をするので昨日と同じ2番窓口に行ってください!」
「それと、ケイちゃんの事は私がなんとかしておきましたのでご安心を!」

 アメリアさんは受付から身体を乗り出して、ケイに向かって小さく手を振った。
 それにケイは小さく手を振り返す。


 俺はアメリアさんに軽くお辞儀をしてから2番窓口の方に向かった。

 やはりヒナコと違って綺麗なお姉さんとお話をするのは緊張する。


 2番窓口に向かうと受付には昨日と同じお兄さんがいた。

「アレンさんおはようございます!」
「今日の測定と講習は僕が担当することになったのでよろしくお願いします!」
「それでは……少し待っててください」

 この人もなかなかイケメンなんだよな……


 お兄さんは他の人に受付を任せた後、脇にあるドアから出てきた。

「それではまずレベル測定をしますので、ご案内しますね!」

 お兄さんを先頭に俺とケイは少し早歩きで廊下の奥に進んでいく。


 長い廊下を進み階段を降り、地下に進むと小さな小部屋に案内された。
 部屋の中は薄暗く、俺とケイは長椅子に座らされた。
 入り口とは違うもう一つの扉があるので、ここは待合室か何かだろう。

「それではレベル測定を行っていきたいのですが、どちらからします?」

 お兄さんは笑顔でそう言うのだが、部屋の雰囲気で少しビビッている自分がいる。
 
 ケイも無言でうつむいているので、どうやら俺と同じ気持ちだろう。

「……僕からやりますよ」

 このままでは埒が明かないので、俺は勇気をだして手を挙げた。

「それではこちらに進んでください」
「ケイちゃんは少しここで待っててね!」

 お兄さんはもう一つの扉を開け、俺を奥に案内した。


 奥の部屋は前室よりも薄暗く、そこにはベッドと見たこともない大きな機械が置いてあった。
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