69 / 244
第二章「セントエクリーガ城下町」
第三十二話「灰暗」
しおりを挟む
今日のセントエクリーガの空は灰色の雲空だ。
この天気ではどうにも気分があがらない。
朝のケイの『今日は晴れ』という発言は何だったのか……
せわしく首を振って街並みを見ているケイを先頭にしてレゼンタックに向かっていると、ケイが思い出したかのようにUターンをして俺の手を握ってきた。
ヒナコのさっきの態度もそうだが、12歳のケイが俺の手を握ってくるのにも少し違和感がある。
俺の知っている12歳はこんな子供っぽくない。
田舎の子供は成長が遅いと聞いた事があるが、こういうことなのだろうか……
しばらく歩いているとレゼンタックの時計塔が見えてきた。
時計を確認すると針は9時20分を指している。
迷わず時間道理に着いたことに一先ず安心した。
建物の中は人はごった返していたが、総合受付にいるアメリアさんの姿を見つけると躊躇わずにアメリアさんがいる列にならぶ。
おとなしく待っていると、5分ほどで順番が回ってきた。
「あ!アレンさん、おはようございます!」
「ヒナコちゃんの宿はどうですか?」
アメリアさんは俺の顔を確認すると笑顔で話しかけてくれた。
アメリアさんが俺の名前を憶えていてくれたことに少し感動する。
「まぁ……なかなか面白いですよ」
「それとご飯が美味しかったです」
俺は動揺を隠すために、なるべく普通に答える。
「あの子、友達少ないので仲良くしてあげてくださいね!」
「それではまず……レベル測定をするので昨日と同じ2番窓口に行ってください!」
「それと、ケイちゃんの事は私がなんとかしておきましたのでご安心を!」
アメリアさんは受付から身体を乗り出して、ケイに向かって小さく手を振った。
それにケイは小さく手を振り返す。
俺はアメリアさんに軽くお辞儀をしてから2番窓口の方に向かった。
やはりヒナコと違って綺麗なお姉さんとお話をするのは緊張する。
2番窓口に向かうと受付には昨日と同じお兄さんがいた。
「アレンさんおはようございます!」
「今日の測定と講習は僕が担当することになったのでよろしくお願いします!」
「それでは……少し待っててください」
この人もなかなかイケメンなんだよな……
お兄さんは他の人に受付を任せた後、脇にあるドアから出てきた。
「それではまずレベル測定をしますので、ご案内しますね!」
お兄さんを先頭に俺とケイは少し早歩きで廊下の奥に進んでいく。
長い廊下を進み階段を降り、地下に進むと小さな小部屋に案内された。
部屋の中は薄暗く、俺とケイは長椅子に座らされた。
入り口とは違うもう一つの扉があるので、ここは待合室か何かだろう。
「それではレベル測定を行っていきたいのですが、どちらからします?」
お兄さんは笑顔でそう言うのだが、部屋の雰囲気で少しビビッている自分がいる。
ケイも無言でうつむいているので、どうやら俺と同じ気持ちだろう。
「……僕からやりますよ」
このままでは埒が明かないので、俺は勇気をだして手を挙げた。
「それではこちらに進んでください」
「ケイちゃんは少しここで待っててね!」
お兄さんはもう一つの扉を開け、俺を奥に案内した。
奥の部屋は前室よりも薄暗く、そこにはベッドと見たこともない大きな機械が置いてあった。
この天気ではどうにも気分があがらない。
朝のケイの『今日は晴れ』という発言は何だったのか……
せわしく首を振って街並みを見ているケイを先頭にしてレゼンタックに向かっていると、ケイが思い出したかのようにUターンをして俺の手を握ってきた。
ヒナコのさっきの態度もそうだが、12歳のケイが俺の手を握ってくるのにも少し違和感がある。
俺の知っている12歳はこんな子供っぽくない。
田舎の子供は成長が遅いと聞いた事があるが、こういうことなのだろうか……
しばらく歩いているとレゼンタックの時計塔が見えてきた。
時計を確認すると針は9時20分を指している。
迷わず時間道理に着いたことに一先ず安心した。
建物の中は人はごった返していたが、総合受付にいるアメリアさんの姿を見つけると躊躇わずにアメリアさんがいる列にならぶ。
おとなしく待っていると、5分ほどで順番が回ってきた。
「あ!アレンさん、おはようございます!」
「ヒナコちゃんの宿はどうですか?」
アメリアさんは俺の顔を確認すると笑顔で話しかけてくれた。
アメリアさんが俺の名前を憶えていてくれたことに少し感動する。
「まぁ……なかなか面白いですよ」
「それとご飯が美味しかったです」
俺は動揺を隠すために、なるべく普通に答える。
「あの子、友達少ないので仲良くしてあげてくださいね!」
「それではまず……レベル測定をするので昨日と同じ2番窓口に行ってください!」
「それと、ケイちゃんの事は私がなんとかしておきましたのでご安心を!」
アメリアさんは受付から身体を乗り出して、ケイに向かって小さく手を振った。
それにケイは小さく手を振り返す。
俺はアメリアさんに軽くお辞儀をしてから2番窓口の方に向かった。
やはりヒナコと違って綺麗なお姉さんとお話をするのは緊張する。
2番窓口に向かうと受付には昨日と同じお兄さんがいた。
「アレンさんおはようございます!」
「今日の測定と講習は僕が担当することになったのでよろしくお願いします!」
「それでは……少し待っててください」
この人もなかなかイケメンなんだよな……
お兄さんは他の人に受付を任せた後、脇にあるドアから出てきた。
「それではまずレベル測定をしますので、ご案内しますね!」
お兄さんを先頭に俺とケイは少し早歩きで廊下の奥に進んでいく。
長い廊下を進み階段を降り、地下に進むと小さな小部屋に案内された。
部屋の中は薄暗く、俺とケイは長椅子に座らされた。
入り口とは違うもう一つの扉があるので、ここは待合室か何かだろう。
「それではレベル測定を行っていきたいのですが、どちらからします?」
お兄さんは笑顔でそう言うのだが、部屋の雰囲気で少しビビッている自分がいる。
ケイも無言でうつむいているので、どうやら俺と同じ気持ちだろう。
「……僕からやりますよ」
このままでは埒が明かないので、俺は勇気をだして手を挙げた。
「それではこちらに進んでください」
「ケイちゃんは少しここで待っててね!」
お兄さんはもう一つの扉を開け、俺を奥に案内した。
奥の部屋は前室よりも薄暗く、そこにはベッドと見たこともない大きな機械が置いてあった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる