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第二章「セントエクリーガ城下町」
第十話「×城 〇要塞」
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「……このことオムさんから聞いた?」
ケイは大きく首を振る。
もちろん俺もオムさんからなにも説明されていない。
「でも私、多分だけど住民票?持ってるよ」
そう言うとケイはリュックの中から変色したファイルを取り出し、その中から一枚の紙を引き抜いた。
確認すると、確かに住民票と書かれている。
「俺だけかよ……」
俺はケイに登録用紙を一枚渡す。
「字書けるよね?」
ケイは大きく頷いたので、俺は自分の紙をボールペンで記入し始める。
記入内容は、日付、名前、年齢、性別などの基本的な物と、5つのステータス、<特能>といったもので、簡単に言うと履歴書に近いものだった。
「ステータスオープン」
ケイはそう唱え、チラチラと目線を移動させながら紙に記入していく。
俺には何も見えないが、おそらく自分のステータスを見ながら記入しているのだろう。
俺は自分のステータスが分からないのでステータスの欄は大体の数字を書いた。
「登録用紙はもらえたみたいですね」
紙を記入しているとコビーさんが戻ってきた。
「そのことなんですけど……」
俺はコビーさんに事情を説明する。
「はぁ……まったく……」
「オムさんも相変わらず適当な人ですね」
「……わかりました、とりあえず登録用紙を出してきてください」
「役所までは僕が案内しますよ」
コビーさんは呆れた顔をしているが、どこか寂しそうだった。
「ふぅ……ケイ、書き終わった?」
「うん」
ケイがペンを置いたので、俺は自分の紙とケイの紙を持って2番窓口のお兄さんに提出しにいった。
「それでは行きましょうか」
コビーさんはケイの手を引いて建物を出たので俺はその後に続いた。
「役所に行っていないということは、ケイちゃんの居住地域の変更もしなければいけませんね」
そんな事を話しながら40分ほど歩くと、コビーさんが足を止めた。
「ここですか?」
俺は首を少し傾げる。
「そうですよ」
コビーさんはためらいなく答えた。
「……なんかパッとしませんね」
確かにこの役所も周りとは違い、コンクリート?造りになっているが、どう見てもレゼンタックの方が見栄えは良い。
「ハハハ、たしかにレゼンタックと比べるとそうですね……」
「ですが、そんな事言ったら城もそうですよ」
そう言うとコビーさんは振り返り、後ろにあった建物を指差した。
そこにはまたもやコンクリートでできた無機質な建物がある。
「これが城ですか?」
俺は再び首を傾げる。
「一応、そうなっていますね」
コビーさんも少し苦笑いをしながら答える。
これは城というより要塞だ。
俺はもっとハリー〇ッターに出てくるような城を期待していたのに残念だ。
「時間も無いので行きましょうか」
コビーさんはそう言うと、役所と城を眉をひそめながら交互に見比べているケイの手を引っ張って建物の中に入った。
たくさんある窓口の中からコビーさんは真っすぐ一つの窓口に向かって進む。
「すみません、この方の甦人の登録証と住民票の発行と、この子の居住地域の変更をお願いします」
コビーさんは俺が窓口に着く前にすべてを説明してくれた。
椅子が二脚しかなかったので、俺とケイは受付の席に座り、コビーさんは近くの待合所に腰を下ろす。
「はぁ……そういうのは朝一にきてくれないと困るよー」
「こっちだって暇じゃないんだからー」
受付のおっさんが嫌味を言ってくる。
「すみませーん」
俺はわざと聞こえるように、テキトーに謝った。
ケイは大きく首を振る。
もちろん俺もオムさんからなにも説明されていない。
「でも私、多分だけど住民票?持ってるよ」
そう言うとケイはリュックの中から変色したファイルを取り出し、その中から一枚の紙を引き抜いた。
確認すると、確かに住民票と書かれている。
「俺だけかよ……」
俺はケイに登録用紙を一枚渡す。
「字書けるよね?」
ケイは大きく頷いたので、俺は自分の紙をボールペンで記入し始める。
記入内容は、日付、名前、年齢、性別などの基本的な物と、5つのステータス、<特能>といったもので、簡単に言うと履歴書に近いものだった。
「ステータスオープン」
ケイはそう唱え、チラチラと目線を移動させながら紙に記入していく。
俺には何も見えないが、おそらく自分のステータスを見ながら記入しているのだろう。
俺は自分のステータスが分からないのでステータスの欄は大体の数字を書いた。
「登録用紙はもらえたみたいですね」
紙を記入しているとコビーさんが戻ってきた。
「そのことなんですけど……」
俺はコビーさんに事情を説明する。
「はぁ……まったく……」
「オムさんも相変わらず適当な人ですね」
「……わかりました、とりあえず登録用紙を出してきてください」
「役所までは僕が案内しますよ」
コビーさんは呆れた顔をしているが、どこか寂しそうだった。
「ふぅ……ケイ、書き終わった?」
「うん」
ケイがペンを置いたので、俺は自分の紙とケイの紙を持って2番窓口のお兄さんに提出しにいった。
「それでは行きましょうか」
コビーさんはケイの手を引いて建物を出たので俺はその後に続いた。
「役所に行っていないということは、ケイちゃんの居住地域の変更もしなければいけませんね」
そんな事を話しながら40分ほど歩くと、コビーさんが足を止めた。
「ここですか?」
俺は首を少し傾げる。
「そうですよ」
コビーさんはためらいなく答えた。
「……なんかパッとしませんね」
確かにこの役所も周りとは違い、コンクリート?造りになっているが、どう見てもレゼンタックの方が見栄えは良い。
「ハハハ、たしかにレゼンタックと比べるとそうですね……」
「ですが、そんな事言ったら城もそうですよ」
そう言うとコビーさんは振り返り、後ろにあった建物を指差した。
そこにはまたもやコンクリートでできた無機質な建物がある。
「これが城ですか?」
俺は再び首を傾げる。
「一応、そうなっていますね」
コビーさんも少し苦笑いをしながら答える。
これは城というより要塞だ。
俺はもっとハリー〇ッターに出てくるような城を期待していたのに残念だ。
「時間も無いので行きましょうか」
コビーさんはそう言うと、役所と城を眉をひそめながら交互に見比べているケイの手を引っ張って建物の中に入った。
たくさんある窓口の中からコビーさんは真っすぐ一つの窓口に向かって進む。
「すみません、この方の甦人の登録証と住民票の発行と、この子の居住地域の変更をお願いします」
コビーさんは俺が窓口に着く前にすべてを説明してくれた。
椅子が二脚しかなかったので、俺とケイは受付の席に座り、コビーさんは近くの待合所に腰を下ろす。
「はぁ……そういうのは朝一にきてくれないと困るよー」
「こっちだって暇じゃないんだからー」
受付のおっさんが嫌味を言ってくる。
「すみませーん」
俺はわざと聞こえるように、テキトーに謝った。
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