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第二章「セントエクリーガ城下町」
第四話「パストラミサンド」
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パンの焼ける匂いが強くなるにつれ、段々と胸の違和感が薄れてきたのでゆっくりと顔を上げた。
「はぁ……ふぅ……」
俺は試食の肉をつまみながら厨房を見学する。
丁度パンが焼けたようで、いよいよサンドウィッチの形に作られようとしていた。
まず、パンの上にマスタードのような黄色いソースをべっちょりと塗った後、しなしなのキャベツをもっさりと載せる。
その上に、これでもかというほどに薄切り肉を載せていく。
それをもう一枚のパンで挟むのだが、どうやら上側のパンはチーズと共に焼かれていたようだった。
そして最後にサンドウィッチをおじさんが押しつぶし、いよいよ俺たちのテーブルまで運ばれてくる。
「おまたせさん」
「肉はちょっとサービスしといたよ」
テーブルにはパストラミサンドが載った皿とは別に、二つの取り皿とナイフが運ばれてきた。
どうやらおじさんが気をきかせてくれたようだ。
俺はケイの方を気持ち多めに、ナイフで半分に切り分ける。
薄切り肉はパンからあふれ出る程に挟まれており、半分で一人前に近い量がある。
「残しても大丈夫だからね?」
俺はケイの目の前にサンドウィッチを差し出す。
「……いただきます」
ケイが小さく口を開けて一口かじった。
それに続いて俺も一口かじる。
「うんま」
俺はつい声が漏れてしまった。
このサンドウィッチ、笑っちゃうぐらいに美味い。
肉だけである程度、味の予想はしていたがその遥か上をいっている。
まず、パンは普通の食パンではなくライ麦パンになっていて、口に入れるまでの間にライ麦の豊潤な香りが鼻から抜ける。
そのパンに塗られていたソースは多分マヨネーズとマスタードだろう。
これは予想通りだったが、驚いたのはその上に載っているキャベツだ。
このキャベツはただのキャベツではなく酢のような酸味があり、それによって生み出されるこのさっぱりとした風味とシャキシャキとした食感が肉とチーズに合わさってこの大きさでもぺろりと食べれそうだ。
……絶対にまた来よう。
「あっ……ううっうっ……っ……」
2口目を頬張ろうとした時、突然、目の前から小さな奇声が聞こえたので、サンドウィッチをから目を離して前を見るとケイが号泣していた。
「……」
めちゃくちゃ気まずい。
本当は何か声をかけてあげた方が良いのだが、なにも言葉が思いつかない。
俺はサンドウィッチを皿の上に置き、ただただ泣きじゃくるケイを水を口にしながら眺めていた。
「どうしよう……」
しばらくするとケイが小声でつぶやく。
涙は既に止まっていた。
「……ん?」
何をどうするのか。
昨日の事をどうしようと聞かれてもどうしようも出来ない。
「……これから私たち、どうすればいいんだろうね」
ケイは今度はハッキリと俺に聞いてきた。
「うーん……」
俺は少しうつむいて考えるふりをした。
というのも、町中を歩きながら色々考えた結果、答えはもう決まっている。
しかし、これを即答で答えてしまってはあまりにもケイが可哀そうだ。
静寂の中、店内には少し甘い香りが漂っている。
「……そうだね」
「ケイはここにいるよりも学校に行くべきだと思うよ」
沈黙を破った俺の声は、今までに出したことがない優しい声だった。
「はぁ……ふぅ……」
俺は試食の肉をつまみながら厨房を見学する。
丁度パンが焼けたようで、いよいよサンドウィッチの形に作られようとしていた。
まず、パンの上にマスタードのような黄色いソースをべっちょりと塗った後、しなしなのキャベツをもっさりと載せる。
その上に、これでもかというほどに薄切り肉を載せていく。
それをもう一枚のパンで挟むのだが、どうやら上側のパンはチーズと共に焼かれていたようだった。
そして最後にサンドウィッチをおじさんが押しつぶし、いよいよ俺たちのテーブルまで運ばれてくる。
「おまたせさん」
「肉はちょっとサービスしといたよ」
テーブルにはパストラミサンドが載った皿とは別に、二つの取り皿とナイフが運ばれてきた。
どうやらおじさんが気をきかせてくれたようだ。
俺はケイの方を気持ち多めに、ナイフで半分に切り分ける。
薄切り肉はパンからあふれ出る程に挟まれており、半分で一人前に近い量がある。
「残しても大丈夫だからね?」
俺はケイの目の前にサンドウィッチを差し出す。
「……いただきます」
ケイが小さく口を開けて一口かじった。
それに続いて俺も一口かじる。
「うんま」
俺はつい声が漏れてしまった。
このサンドウィッチ、笑っちゃうぐらいに美味い。
肉だけである程度、味の予想はしていたがその遥か上をいっている。
まず、パンは普通の食パンではなくライ麦パンになっていて、口に入れるまでの間にライ麦の豊潤な香りが鼻から抜ける。
そのパンに塗られていたソースは多分マヨネーズとマスタードだろう。
これは予想通りだったが、驚いたのはその上に載っているキャベツだ。
このキャベツはただのキャベツではなく酢のような酸味があり、それによって生み出されるこのさっぱりとした風味とシャキシャキとした食感が肉とチーズに合わさってこの大きさでもぺろりと食べれそうだ。
……絶対にまた来よう。
「あっ……ううっうっ……っ……」
2口目を頬張ろうとした時、突然、目の前から小さな奇声が聞こえたので、サンドウィッチをから目を離して前を見るとケイが号泣していた。
「……」
めちゃくちゃ気まずい。
本当は何か声をかけてあげた方が良いのだが、なにも言葉が思いつかない。
俺はサンドウィッチを皿の上に置き、ただただ泣きじゃくるケイを水を口にしながら眺めていた。
「どうしよう……」
しばらくするとケイが小声でつぶやく。
涙は既に止まっていた。
「……ん?」
何をどうするのか。
昨日の事をどうしようと聞かれてもどうしようも出来ない。
「……これから私たち、どうすればいいんだろうね」
ケイは今度はハッキリと俺に聞いてきた。
「うーん……」
俺は少しうつむいて考えるふりをした。
というのも、町中を歩きながら色々考えた結果、答えはもう決まっている。
しかし、これを即答で答えてしまってはあまりにもケイが可哀そうだ。
静寂の中、店内には少し甘い香りが漂っている。
「……そうだね」
「ケイはここにいるよりも学校に行くべきだと思うよ」
沈黙を破った俺の声は、今までに出したことがない優しい声だった。
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