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第一章「ウォロ村」
第二十九話「餞別」
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「少ないけどお金もってるよ?」
俺は財布から一万円札を取り出しオムさんに見せる。
「ほう、日本円なんて初めて見たな」
「それはこの世界では使えないぞ」
オムさんは一万円を関心そうにまじまじと見ている。
詳しく話を聞くとセントエクリーガのお金の単位はギニーといい、紙幣と硬貨からなるらしい。
なのでもちろん日本円は使えない。
だが、甦人の持っている紙幣はコレクターに、硬貨ならば役所である程度の金額で交換できるという。
ちなみに俺の所持している全財産は2万623円だ。
オムさんから聞いた相場を考えるに、このお金はお守りとして持っておいたほうがよさそうだ。
「……ところでこの世界って宗教ってあるの?」
俺はお金の流れでこの世界の宗教についてオムさんに質問する。
俺を異世界転移させた張本人といえば神か悪魔が定石だろう。
「うむ……」
「国によって違うな」
「セントエクリーガは多神教だが、海を渡ったギルセリアやフルギルといった国では一神教であったり、ラピメントという国では国王を信仰対象にしている」
「その他にもたくさんあるから、まちまちだな」
「……なんでそんなに詳しいの?」
俺はオムさんの知識量に驚いた。
聞いたことは無いが、きっとオムさんは立場的にもこの村から出たことはないだろう。
「そんなこともないぞ」
「ただ行商人が来た時に話を聞かせてもらってるだけだ」
「50年も生きていればこのくらいの知識は貯まる」
オムさんは少し照れながらも自慢げに語った。
「少し待ってろ」
オムさんはそう言い残すとオムさんは奥の部屋に消えていった。
……オムさんって50歳だったの?
しばらくするとオムさんが何かを持って戻ってきた。
「これを持っていけ」
そう言うとオムさん持っていた袋を俺に投げ渡す。
「ここに400ギニーほど入っている」
「大切に使え」
「……ありがとう」
どうやらオムさんは機嫌をよくしたのか、俺におこずかいをくれたようだ。
どのくらいの金額か聞こうかとも思ったのだが、それは止めておいた。
さすがの俺でもそのくらいの気遣いは出来る。
「<貧者の袋>」
小声でそう言うと何もない空間からズタボロの袋が現れる。
俺はその袋の中にオムさんから貰ったお金を入れた。
「ステイ」
袋が消える。
「便利な物だな」
「まあね」
俺は自慢げにスーツを広げて何も持っていないアピールをした。
「それとこれで指輪を隠すといい」
そう言うとオムさんは俺に革のグローブのような物を渡す。
「おぉ、いいねぇ」
色は褪せていて見た目はボロイが、触り心地から良い品質なのがわかる。
それに、なによりも見た目がカッコいい。
俺の好みにドンピシャだ。
俺はグローブを両方の手にはめ、手をグーとパーに何度も動かす。
「アクティベイト」
試しにスキルボードを出そうとする。
「……ん?」
「アクティベイト」
スキルボードが表示されない。
俺は急いで左手のグローブを外すと、勢いよくスキルボードが表示された。
「……」
ゆっくりとグローブを左手につけると、スキルボードが消える。
俺はもう一度グローブを外し、色々と試してみる。
このスキルボードは指輪から空間に投影されているらしく、指輪を右手で覆っても同じことが起こった。
使えないじゃん……
「ハハハハハ」
「どうやらそれをつけていると使えないようだな」
俺が眉間にしわを寄せながら何度もグローブを付けはずしをしているのを滑稽に思ったのか、オムさんは笑い出した
「はは……」
俺は苦笑いで返した。
「ありがとう」
俺はオムさんに深くお辞儀をした後、その場を後にする。
外に出ると細かい雨がパラパラと顔に当たる。
あのグローブは見た目が気に入ったので両手とも一応もらうことにした。
「急ごう……」
俺は急ぎ足で村の入り口に向かった。
俺は財布から一万円札を取り出しオムさんに見せる。
「ほう、日本円なんて初めて見たな」
「それはこの世界では使えないぞ」
オムさんは一万円を関心そうにまじまじと見ている。
詳しく話を聞くとセントエクリーガのお金の単位はギニーといい、紙幣と硬貨からなるらしい。
なのでもちろん日本円は使えない。
だが、甦人の持っている紙幣はコレクターに、硬貨ならば役所である程度の金額で交換できるという。
ちなみに俺の所持している全財産は2万623円だ。
オムさんから聞いた相場を考えるに、このお金はお守りとして持っておいたほうがよさそうだ。
「……ところでこの世界って宗教ってあるの?」
俺はお金の流れでこの世界の宗教についてオムさんに質問する。
俺を異世界転移させた張本人といえば神か悪魔が定石だろう。
「うむ……」
「国によって違うな」
「セントエクリーガは多神教だが、海を渡ったギルセリアやフルギルといった国では一神教であったり、ラピメントという国では国王を信仰対象にしている」
「その他にもたくさんあるから、まちまちだな」
「……なんでそんなに詳しいの?」
俺はオムさんの知識量に驚いた。
聞いたことは無いが、きっとオムさんは立場的にもこの村から出たことはないだろう。
「そんなこともないぞ」
「ただ行商人が来た時に話を聞かせてもらってるだけだ」
「50年も生きていればこのくらいの知識は貯まる」
オムさんは少し照れながらも自慢げに語った。
「少し待ってろ」
オムさんはそう言い残すとオムさんは奥の部屋に消えていった。
……オムさんって50歳だったの?
しばらくするとオムさんが何かを持って戻ってきた。
「これを持っていけ」
そう言うとオムさん持っていた袋を俺に投げ渡す。
「ここに400ギニーほど入っている」
「大切に使え」
「……ありがとう」
どうやらオムさんは機嫌をよくしたのか、俺におこずかいをくれたようだ。
どのくらいの金額か聞こうかとも思ったのだが、それは止めておいた。
さすがの俺でもそのくらいの気遣いは出来る。
「<貧者の袋>」
小声でそう言うと何もない空間からズタボロの袋が現れる。
俺はその袋の中にオムさんから貰ったお金を入れた。
「ステイ」
袋が消える。
「便利な物だな」
「まあね」
俺は自慢げにスーツを広げて何も持っていないアピールをした。
「それとこれで指輪を隠すといい」
そう言うとオムさんは俺に革のグローブのような物を渡す。
「おぉ、いいねぇ」
色は褪せていて見た目はボロイが、触り心地から良い品質なのがわかる。
それに、なによりも見た目がカッコいい。
俺の好みにドンピシャだ。
俺はグローブを両方の手にはめ、手をグーとパーに何度も動かす。
「アクティベイト」
試しにスキルボードを出そうとする。
「……ん?」
「アクティベイト」
スキルボードが表示されない。
俺は急いで左手のグローブを外すと、勢いよくスキルボードが表示された。
「……」
ゆっくりとグローブを左手につけると、スキルボードが消える。
俺はもう一度グローブを外し、色々と試してみる。
このスキルボードは指輪から空間に投影されているらしく、指輪を右手で覆っても同じことが起こった。
使えないじゃん……
「ハハハハハ」
「どうやらそれをつけていると使えないようだな」
俺が眉間にしわを寄せながら何度もグローブを付けはずしをしているのを滑稽に思ったのか、オムさんは笑い出した
「はは……」
俺は苦笑いで返した。
「ありがとう」
俺はオムさんに深くお辞儀をした後、その場を後にする。
外に出ると細かい雨がパラパラと顔に当たる。
あのグローブは見た目が気に入ったので両手とも一応もらうことにした。
「急ごう……」
俺は急ぎ足で村の入り口に向かった。
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