29 / 244
第一章「ウォロ村」
第二十七話「決意」
しおりを挟む
「オムさーん」
「いるー?」
俺がオムさんの名前を呼ぶと奥の部屋からケイが出てきた。
「あ!」
「アレンだ!」
ケイがこちらに駆け寄ってくると、奥の部屋からオムさんがのっそりと出てくる。
「どうした?」
オムさんは少し面倒くさそうな顔をしていた。
ケイと遊んでいたのを邪魔してしまっただろうか。
「このあたりにスライムとリベイロとカテラ以外のモンスターっている?」
「いないな」
俺の質問にオムさんは躊躇いもなく答えた。
「そうなんだ……」
「それでさ……相談というか、なんというか、今後の事なんだけど……」
「結論からいうとこの村を出ていこうと思ってる」
俺はケイの頭をなでながらオムさんの目を真剣に見つめる。
「ふむ……」
オムさんが目を閉じて考えている一方、ケイが真っすぐな眼差しでこっちを見てくる。
俺が村から出ていくのが嫌なのだろうか……
「ケイ」
「カイを呼んできてもらえるか?」
「わかった……」
ケイは少し低い声で答えると、扉も閉めずにトボトボと家から出て行った。
「カイからお前が急激に強くなったのは聞いている」
「しかし、この村にいた方が安全だぞ」
「それは分かっているのか?」
オムさんはいつもと違い、真面目な顔をしている。
「アクティベイト」
俺はスキルボードを表示させた。
「それはなんだ?」
オムさんは驚いた顔でスキルボードを指差した。
『ステータスオープン』でオムさんが見えているものは俺には見えなかったが、『アクティベイト』で表示されるスキルボードはオムさんに見えているようだった。
俺はスキルボードをオムさんに見せ、SPの事やこの村ではこれ以上強くなれないことを説明した。
「それにしても、この村にきた時からその左手の奇妙な指輪は気になっていたが、そのような力があるとは驚いたな……」
「しかしだ、アレン」
「強くなれる理由があっても強くなる必要はない」
「この村で安全に過ごす選択肢もある」
「それでも行くのか?」
正直、この村で平和に過ごす選択肢はとても魅力的だ。
しかし、俺は強くなるあの快感を覚えてしまった。
それに、俺はこの世界のことやこの指輪のことをもっと知らなければならないと思う。
だからもう答えは決まっている。
「それでも行きたい」
「わかった」
もう少しなにか言われると思ってたが、オムさんは意外とあっさり快諾してくれた。
しかしこれは単なる報告であり、ダメと言われても出ていく決意は出来ている。
「それとアレン」
「その指輪の事は誰にも話してはダメだ」
「それがたとえ信頼できる人だとしても、なるべく控えた方がいいだろう」
「お前が今後、旅を続けるならば、ギルセリアという国のアルキミアという街を訪れるとよい」
「その街ならば、その指輪についてなにか分かるかもしれない」
「ありがとう」
「ステイ」
俺がスキルボードを閉じると同時にケイとカイが家の中に入ってくる。
「なんだよオムじい」
少ししょげているケイの横でカイはいつも通りの顔をしている。
「いいからこっちにこい」
オムさんは手招きをして二人を近くに呼ぶ。
「ケイ、カイ」
「二人はアレンと一緒にこの村を出なさい」
「……?」
四人の間に数秒間、静寂な空気が流れる。
「え?」「え?」
俺とカイが声をそろえる横でケイの顔に少し笑顔が戻った。
「いるー?」
俺がオムさんの名前を呼ぶと奥の部屋からケイが出てきた。
「あ!」
「アレンだ!」
ケイがこちらに駆け寄ってくると、奥の部屋からオムさんがのっそりと出てくる。
「どうした?」
オムさんは少し面倒くさそうな顔をしていた。
ケイと遊んでいたのを邪魔してしまっただろうか。
「このあたりにスライムとリベイロとカテラ以外のモンスターっている?」
「いないな」
俺の質問にオムさんは躊躇いもなく答えた。
「そうなんだ……」
「それでさ……相談というか、なんというか、今後の事なんだけど……」
「結論からいうとこの村を出ていこうと思ってる」
俺はケイの頭をなでながらオムさんの目を真剣に見つめる。
「ふむ……」
オムさんが目を閉じて考えている一方、ケイが真っすぐな眼差しでこっちを見てくる。
俺が村から出ていくのが嫌なのだろうか……
「ケイ」
「カイを呼んできてもらえるか?」
「わかった……」
ケイは少し低い声で答えると、扉も閉めずにトボトボと家から出て行った。
「カイからお前が急激に強くなったのは聞いている」
「しかし、この村にいた方が安全だぞ」
「それは分かっているのか?」
オムさんはいつもと違い、真面目な顔をしている。
「アクティベイト」
俺はスキルボードを表示させた。
「それはなんだ?」
オムさんは驚いた顔でスキルボードを指差した。
『ステータスオープン』でオムさんが見えているものは俺には見えなかったが、『アクティベイト』で表示されるスキルボードはオムさんに見えているようだった。
俺はスキルボードをオムさんに見せ、SPの事やこの村ではこれ以上強くなれないことを説明した。
「それにしても、この村にきた時からその左手の奇妙な指輪は気になっていたが、そのような力があるとは驚いたな……」
「しかしだ、アレン」
「強くなれる理由があっても強くなる必要はない」
「この村で安全に過ごす選択肢もある」
「それでも行くのか?」
正直、この村で平和に過ごす選択肢はとても魅力的だ。
しかし、俺は強くなるあの快感を覚えてしまった。
それに、俺はこの世界のことやこの指輪のことをもっと知らなければならないと思う。
だからもう答えは決まっている。
「それでも行きたい」
「わかった」
もう少しなにか言われると思ってたが、オムさんは意外とあっさり快諾してくれた。
しかしこれは単なる報告であり、ダメと言われても出ていく決意は出来ている。
「それとアレン」
「その指輪の事は誰にも話してはダメだ」
「それがたとえ信頼できる人だとしても、なるべく控えた方がいいだろう」
「お前が今後、旅を続けるならば、ギルセリアという国のアルキミアという街を訪れるとよい」
「その街ならば、その指輪についてなにか分かるかもしれない」
「ありがとう」
「ステイ」
俺がスキルボードを閉じると同時にケイとカイが家の中に入ってくる。
「なんだよオムじい」
少ししょげているケイの横でカイはいつも通りの顔をしている。
「いいからこっちにこい」
オムさんは手招きをして二人を近くに呼ぶ。
「ケイ、カイ」
「二人はアレンと一緒にこの村を出なさい」
「……?」
四人の間に数秒間、静寂な空気が流れる。
「え?」「え?」
俺とカイが声をそろえる横でケイの顔に少し笑顔が戻った。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる