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第一章「ウォロ村」
第十七話「大剣使い」
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俺はカイと洞窟に行くために、走って村の入り口の集合場所に向かった。
スライム以外のモンスターと相対するのは少し緊張する。
「おせーよ」
カイは村の門に寄り掛かりながら、退屈そうに待ってた。
背中にはベルトのようなもので斜め掛けされたゴツイ大剣が背負われている。
「……」
「それ使うの?」
俺は大剣を指さす。
「ふっ、お前は素手で戦うのか?」
カイは俺の事を指差しながら鼻で笑った。
俺は少しムキになって大きく頷く。
「はぁ……」
「ついてこい」
カイは村の中に戻り、柵に沿って早歩きで行ってしまったので、俺はその後を追った。
30mほど歩き、俺の家と同じぐらいの大きさの小屋の前でカイは足を止める。
「好きなの取ってこい」
カイは親切にドアを開けてくれた。
俺はワクワクしながら小屋の中に入る。
「……ん?」
俺は綺麗に並べられた農具の中から小さな草刈り用の鎌ような物を手に取り小屋を出た。
死神の鎌と呼ぶにはあまりにも小さすぎる。
……期待は完全に外れた。
「あの……、武器とかは無いんですか?」
「俺のはある」
「……使わせてくれないですか?」
「俺が登録した武器をお前が使ったら捕まるぞ」
カイは呆れ顔をしながら村の入り口の方に戻った。
敬語を使って上目遣いで媚びてみたら貸してくれると思ったが、カイは意外と冷めている人間だったようだ。
「はぁ……」
俺はケイの後ろで鎌を軽く振りながらため息をつく。
こんなのファンタジーじゃない。
なんで異世界に法律とかあるんだよ。
どうせこの村に警察なんかいないんだから内緒で使わせろよ。
村を出ると、いつもの遊び場に向かう方向とは違い川沿いを下っていく。
しばらく心の中で愚痴をこぼしていると右手に岩肌が見えてきた。
洞窟のような大きな穴も見える。
その近くの川辺では大きなナメクジのようなものがうようよしていた。
「ここだ」
カイはナメクジから少し離れたところで足を止める。
「……」
「……どうした、戦わないのか?」
カイは腕を組んで振り返る。
「え?」
説明もなしにいきなり実践なのか?
鎌を握る手に力が入る。
「あの……」
「説明をしてくれるとありがたいんですけど……」
俺はカイに再び敬語を使って媚びてみた。
いくらナメクジでも流石に怖い。
「はぁ……」
カイは気だるそうにため息をつくと、斜め掛けしている大剣のベルトを左手で持ち上げ、首を通して身体から外し、左手首にベルトを素早く巻き付けながらナメクジに近づいた。
「こいつらはリベイロっていうモンスターだ」
カイは鞘を左手で持ったまま、右手でゆっくりと大剣を抜き、そのままの流れでゆっくりと振りかぶる。
「こうすれば倒せる」
カイは大剣を風を切りながら振り下ろす。
ぶちゅん!
……始点と終点の位置しか分からず、軌道がまったく見えない。
嫌な音がしたと思った時には、ナメクジは真っ二つになっていた。
剣先は地面の寸前でピタリと止まっている。
「……へ?」
一瞬なにが起こったのか理解できず思考が停止してしまい、呆気にとられて思わず笑ってしまった。
いや、強すぎない?
真似できないよ?
俺は真っ二つになったナメクジを見て、ただただ驚くことしか出来なかった。
スライム以外のモンスターと相対するのは少し緊張する。
「おせーよ」
カイは村の門に寄り掛かりながら、退屈そうに待ってた。
背中にはベルトのようなもので斜め掛けされたゴツイ大剣が背負われている。
「……」
「それ使うの?」
俺は大剣を指さす。
「ふっ、お前は素手で戦うのか?」
カイは俺の事を指差しながら鼻で笑った。
俺は少しムキになって大きく頷く。
「はぁ……」
「ついてこい」
カイは村の中に戻り、柵に沿って早歩きで行ってしまったので、俺はその後を追った。
30mほど歩き、俺の家と同じぐらいの大きさの小屋の前でカイは足を止める。
「好きなの取ってこい」
カイは親切にドアを開けてくれた。
俺はワクワクしながら小屋の中に入る。
「……ん?」
俺は綺麗に並べられた農具の中から小さな草刈り用の鎌ような物を手に取り小屋を出た。
死神の鎌と呼ぶにはあまりにも小さすぎる。
……期待は完全に外れた。
「あの……、武器とかは無いんですか?」
「俺のはある」
「……使わせてくれないですか?」
「俺が登録した武器をお前が使ったら捕まるぞ」
カイは呆れ顔をしながら村の入り口の方に戻った。
敬語を使って上目遣いで媚びてみたら貸してくれると思ったが、カイは意外と冷めている人間だったようだ。
「はぁ……」
俺はケイの後ろで鎌を軽く振りながらため息をつく。
こんなのファンタジーじゃない。
なんで異世界に法律とかあるんだよ。
どうせこの村に警察なんかいないんだから内緒で使わせろよ。
村を出ると、いつもの遊び場に向かう方向とは違い川沿いを下っていく。
しばらく心の中で愚痴をこぼしていると右手に岩肌が見えてきた。
洞窟のような大きな穴も見える。
その近くの川辺では大きなナメクジのようなものがうようよしていた。
「ここだ」
カイはナメクジから少し離れたところで足を止める。
「……」
「……どうした、戦わないのか?」
カイは腕を組んで振り返る。
「え?」
説明もなしにいきなり実践なのか?
鎌を握る手に力が入る。
「あの……」
「説明をしてくれるとありがたいんですけど……」
俺はカイに再び敬語を使って媚びてみた。
いくらナメクジでも流石に怖い。
「はぁ……」
カイは気だるそうにため息をつくと、斜め掛けしている大剣のベルトを左手で持ち上げ、首を通して身体から外し、左手首にベルトを素早く巻き付けながらナメクジに近づいた。
「こいつらはリベイロっていうモンスターだ」
カイは鞘を左手で持ったまま、右手でゆっくりと大剣を抜き、そのままの流れでゆっくりと振りかぶる。
「こうすれば倒せる」
カイは大剣を風を切りながら振り下ろす。
ぶちゅん!
……始点と終点の位置しか分からず、軌道がまったく見えない。
嫌な音がしたと思った時には、ナメクジは真っ二つになっていた。
剣先は地面の寸前でピタリと止まっている。
「……へ?」
一瞬なにが起こったのか理解できず思考が停止してしまい、呆気にとられて思わず笑ってしまった。
いや、強すぎない?
真似できないよ?
俺は真っ二つになったナメクジを見て、ただただ驚くことしか出来なかった。
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