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第一章「ウォロ村」
第十三話「テルマエ」
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「おきて!おきて!」
ケイの声が聞こえる。朝だ。
俺はゆっくりと身体を起こす。
既に目の前には朝ご飯が用意されていた。
「魚か……」
分かっていたことだが、いざ目の前にすると喪失感が凄かった。
俺はおじいちゃんのようなスピードでご飯を口に運ぶ。
「今日は日曜日だからお風呂の日だよ!」
「食べ終わったら入浴場にきてね!」
ケイはそう言い残し、荒い布地でできた服とベルトをドアの近くに雑に置いて、走り去っていった。
そろそろ、ケイのあの慌ただしさにも慣れてきた。
それはそうと今、お風呂の日って言わなかったか?
この世界にはお風呂の文化があるのか。
俺は期待を胸に、うってかわって朝ご飯を一気に掻き込んだ。
食事を済ませ、着替えを持ち、俺は外に出る。
「さて、入浴場はどこだ?」
辺りを見渡すと、すこし離れた所に一筋の白煙が見える。
俺は煙の方へスキップを交えながら足を進めた。
煙が出ている建物から人がちらほらと出てきている。
多分、あそこだ。
……男女は分かれている。
建物に入ると丁度、最後の人と入れ替わったようで誰もいなかった。
俺は脱衣所のようなところで服を脱ぎ始める。
「あぁ……」
スーツを着ていたことを今、思い出した。
身体に馴染みすぎてすっかり忘れていた。
汗をかかないので同じ服でも嫌にならない。
しかし、この世界ではまともな服があるか分からないので、俺はこのスーツを大切にすることを決心した。
いよいよ風呂場に突入する。
少し荒く狭いが、石で囲まれていてしっかりとした造りになっている。
俺は身体を洗い流し、お湯に足からゆっくりと入り、肩まで浸かった。
「あぁーーーーーー」
もともと風呂はそこまで好きではないがこれは実に気持ちいい。
温度は少し低いが、これも実に自分に合っている。
シャンプーの様な物もあったが泡立ちはほぼ0だったのは不便だった。
この後は朝のスライム狩りの予定があるので、長く浸かることなく風呂から出た。
夜にまた楽しもう。
「……ん?」
脱衣所にスーツがない。
俺は急いでケイから貰った服に着替え、急いで建物を出た。
左右を見渡すと、建物の横で、あの大きな布をくれたおばちゃんが俺のスーツと共に大量の服を洗っている。
「……」
少し複雑な気持ちになったが俺はおばちゃんを信じることにした。
俺はベルトを緩めに締め、カイに軽く挨拶を済ませてから村を出た。
「意外といいな」
つなぎのようになっているこの服は、少しダボっとしているが肌触りは意外と悪くない。
それに、服の隙間から風が入ってきてとても気持ちがいい。
俺はいつもより腕を大きく振りながら遊び場に向かうと、いつもより早く到着した。
昨日の反省を生かし、入念な準備運動を済ませた後、スライムに勢いよく石を投げ始めた。
「……はぁ」
つまらない。
ケイたちと遊んでいる時は楽しいのに一人だとこうも作業的になるのか……
俺は瞬く間に20体のスライムを倒し、少しうつむきながら川沿いを戻っていった。
「スキルポイントでも確認しとくか……」
「アクティベイトォー」
SPが20ポイント貯まっていたので、俺は20ポイントを全てを使った。
ケイの声が聞こえる。朝だ。
俺はゆっくりと身体を起こす。
既に目の前には朝ご飯が用意されていた。
「魚か……」
分かっていたことだが、いざ目の前にすると喪失感が凄かった。
俺はおじいちゃんのようなスピードでご飯を口に運ぶ。
「今日は日曜日だからお風呂の日だよ!」
「食べ終わったら入浴場にきてね!」
ケイはそう言い残し、荒い布地でできた服とベルトをドアの近くに雑に置いて、走り去っていった。
そろそろ、ケイのあの慌ただしさにも慣れてきた。
それはそうと今、お風呂の日って言わなかったか?
この世界にはお風呂の文化があるのか。
俺は期待を胸に、うってかわって朝ご飯を一気に掻き込んだ。
食事を済ませ、着替えを持ち、俺は外に出る。
「さて、入浴場はどこだ?」
辺りを見渡すと、すこし離れた所に一筋の白煙が見える。
俺は煙の方へスキップを交えながら足を進めた。
煙が出ている建物から人がちらほらと出てきている。
多分、あそこだ。
……男女は分かれている。
建物に入ると丁度、最後の人と入れ替わったようで誰もいなかった。
俺は脱衣所のようなところで服を脱ぎ始める。
「あぁ……」
スーツを着ていたことを今、思い出した。
身体に馴染みすぎてすっかり忘れていた。
汗をかかないので同じ服でも嫌にならない。
しかし、この世界ではまともな服があるか分からないので、俺はこのスーツを大切にすることを決心した。
いよいよ風呂場に突入する。
少し荒く狭いが、石で囲まれていてしっかりとした造りになっている。
俺は身体を洗い流し、お湯に足からゆっくりと入り、肩まで浸かった。
「あぁーーーーーー」
もともと風呂はそこまで好きではないがこれは実に気持ちいい。
温度は少し低いが、これも実に自分に合っている。
シャンプーの様な物もあったが泡立ちはほぼ0だったのは不便だった。
この後は朝のスライム狩りの予定があるので、長く浸かることなく風呂から出た。
夜にまた楽しもう。
「……ん?」
脱衣所にスーツがない。
俺は急いでケイから貰った服に着替え、急いで建物を出た。
左右を見渡すと、建物の横で、あの大きな布をくれたおばちゃんが俺のスーツと共に大量の服を洗っている。
「……」
少し複雑な気持ちになったが俺はおばちゃんを信じることにした。
俺はベルトを緩めに締め、カイに軽く挨拶を済ませてから村を出た。
「意外といいな」
つなぎのようになっているこの服は、少しダボっとしているが肌触りは意外と悪くない。
それに、服の隙間から風が入ってきてとても気持ちがいい。
俺はいつもより腕を大きく振りながら遊び場に向かうと、いつもより早く到着した。
昨日の反省を生かし、入念な準備運動を済ませた後、スライムに勢いよく石を投げ始めた。
「……はぁ」
つまらない。
ケイたちと遊んでいる時は楽しいのに一人だとこうも作業的になるのか……
俺は瞬く間に20体のスライムを倒し、少しうつむきながら川沿いを戻っていった。
「スキルポイントでも確認しとくか……」
「アクティベイトォー」
SPが20ポイント貯まっていたので、俺は20ポイントを全てを使った。
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