3 / 65
手紙
しおりを挟む
拝啓
君へ。
健康そうでなにより。
あの夏の日が、懐かしいよ。
――ああ、会いたいな。
思い出せば、去年の夏、俺たちは多くのことを経験した。
誰も信じてくれないような、奇跡ともいえる日々を過ごした。
とめどなく想いが溢れてくるのだが、それをどういう言葉に表せばいいのかわからない。行動で示すのであれば、ただ一言「会いたい」だ。
彼女とまた手を繋いで星空を見上げたい。
なにを書こうか迷って、ペンをくるくると指の間で回す。
――会えるのを楽しみにしている。
悩んだすえ、素直に気持ちを記した。
俺は短い手紙を書き終えた。もしかしなくても、もらった手紙よりもずいぶん短い返事だが、それ以上書くことが見つからない。
うーんと伸びをしてから窓に視線を向ける。曇った窓ガラスを袖口でごしごし拭いて、外を見た。
まだまだ、季節は寒い。
それでも、膨らんできた梅のつぼみから春の足音を聞いたような気がした。
君へ。
健康そうでなにより。
あの夏の日が、懐かしいよ。
――ああ、会いたいな。
思い出せば、去年の夏、俺たちは多くのことを経験した。
誰も信じてくれないような、奇跡ともいえる日々を過ごした。
とめどなく想いが溢れてくるのだが、それをどういう言葉に表せばいいのかわからない。行動で示すのであれば、ただ一言「会いたい」だ。
彼女とまた手を繋いで星空を見上げたい。
なにを書こうか迷って、ペンをくるくると指の間で回す。
――会えるのを楽しみにしている。
悩んだすえ、素直に気持ちを記した。
俺は短い手紙を書き終えた。もしかしなくても、もらった手紙よりもずいぶん短い返事だが、それ以上書くことが見つからない。
うーんと伸びをしてから窓に視線を向ける。曇った窓ガラスを袖口でごしごし拭いて、外を見た。
まだまだ、季節は寒い。
それでも、膨らんできた梅のつぼみから春の足音を聞いたような気がした。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
真夏の温泉物語
矢木羽研
青春
山奥の温泉にのんびり浸かっていた俺の前に現れた謎の少女は何者……?ちょっとエッチ(R15)で切ない、真夏の白昼夢。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
Y/K Out Side Joker . コート上の海将
高嶋ソック
青春
ある年の全米オープン決勝戦の勝敗が決した。世界中の観戦者が、世界ランク3ケタ台の元日本人が起こした奇跡を目の当たりにし熱狂する。男の名前は影村義孝。ポーランドへ帰化した日本人のテニスプレーヤー。そんな彼の勝利を日本にある小さな中華料理屋でテレビ越しに杏露酒を飲みながら祝福する男がいた。彼が店主と昔の話をしていると、後ろの席から影村の母校の男子テニス部マネージャーと名乗る女子高生に声を掛けられる。影村が所属していた当初の男子テニス部の状況について教えてほしいと言われ、男は昔を語り始める。男子テニス部立直し直後に爆発的な進撃を見せた海生代高校。当時全国にいる天才の1人にして、現ATPプロ日本テニス連盟協会の主力筆頭である竹下と、全国の高校生プレーヤーから“海将”と呼ばれて恐れられた影村の話を...。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
城下町ボーイズライフ【1年生編・完結】
川端続子
青春
「人殺しの子孫のくせに!」
そう怒鳴られ、ずっと毎日学校でいじめられていたのを我慢していた幾久(いくひさ)は、ついに同級生を殴ってしまう。
結果、中学の卒業まぢかに停学となり、進路を悩む幾久に父は言った。
「幾久、父さんの母校に行ってみないか?」
本州の最西端、長州市に存在する全寮制の『報国院男子高等学校』は幾久と同じ『長州藩の維新志士』の子孫が多く通う学校だった。
東京で生まれ育ち、自分が明治時代の将軍『乃木(のぎ)希典(まれすけ)』の子孫だとろくに自覚もないどころか「メーワク」とすら思う幾久と、沢山の維新志士の子孫たち。
「ブラックバード」と呼ばれる真っ黒な制服を着た男子高校生らの成長青春ストーリー。
1年生編は完結しました。2年生編はpixivにて不定期連載中です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる