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第4章
第43話 弟たち
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芽生があまりにもぼーっとしているので、会社で何かあったのだろうと海斗と陸は察していた。芽生は無くなった資料と、確認したはずのデータのミスがあったことを真剣に考えていた。
(私、もしかして浮かれ過ぎていたのかな……こんな凡ミス)
「芽生ちゃん、何かあったの?」
陸が朝食を片付けた後のお茶を持って来て、芽生の隣にちょこんと座った。うるうるした目に見つめられて、芽生は思わず陸をぎゅっと抱きしめたくなる。
「ううん、大丈夫……なんか、浮かれすぎていたのかな私って思っていただけ」
「浮かれる? いいことがあったの?」
陸が芽生を覗き込む。あまりの可愛さに鼻血が出そうになったのだが、芽生は意識的に鼻血を引っ込める。
「うーん、お付き合いする人ができたんだけど……あ、お父さんにはまだ言わないでね、ショックで死んじゃうと困るから」
しかし、陸は固まり、後ろにいた海斗は参考書を床にぼたぼたと落とした。
「え、え、ちょっと二人ともそんなビックリしなくても……。変かな、やっぱり。私に彼氏できちゃ」
陸は金縛りにあったかのように動かなかったのだが、いきなり芽生の肩を掴んだかと思うと、半泣きし始める。
「え、陸……!?」
「やだ芽生ちゃん! 芽生ちゃんに彼氏なんて僕許さない! 芽生ちゃんはずっと僕の芽生ちゃんなのに! 僕が芽生ちゃんと結婚するのに!」
「わ、陸……でも陸とは結婚できないのに、なんかめっちゃ心が揺れるんだけどどうしよ」
やだやだと言いながら芽生に泣きついてくる陸が可愛すぎて、芽生はよしよしと頭を撫でた。海斗は凍り付きながらもソファにやってくると、芽生を挟んで陸とは反対側に腰かけた。
「父さんが知ったら多分そっこーで死ぬと思う。っていうか、誰? まさか有紀君?」
「違う違う。ちょっともう家政婦の仕事行くから、また今度ゆっくり話すね」
陸離れてと言うと、泣きながら陸が離れた。しかし、不貞腐れた顔をすると、口を尖らせた。
「芽生ちゃんに彼氏なんて僕認めないんだからね!」
それだけ言うと、陸はそっぽを向いてしまった。こんなに懐かれて、芽生はあまりの弟たちの可愛さに一生独身でもいいやと思いかけてしまったのだが、いかんせん仕事に行かなくてはならず、慌てて鞄を用意すると、玄関へと走った。
「じゃあ行ってくるね、仲良くしててね!」
手を振って出て行く芽生を二人の弟が見送って、そして扉が閉まった瞬間に陸が「ふざけんな」と呟いた。
「海斗知ってたのかよ、なんで芽生に彼氏なんかできるんだよ!」
「俺が知るかよ! っていうか、いい加減その猫かぶりやめろよ」
ふん、と陸は可愛い顔に邪悪な笑みを乗せた。
「いいさ、どんな彼氏ができたって、芽生は絶対渡さないからな」
「お前ほんと芽生のこと好きな。だからっていつまでそのぶりっ子キャラ演じるつもりだよ?」
「海斗だって芽生のこと好きじゃんか。くそ、誰なんだよ彼氏って……」
天使の顔をしたシスコンすぎる弟たちは、悶々と芽生が出て行った先を見つめるしかできなかった。
(私、もしかして浮かれ過ぎていたのかな……こんな凡ミス)
「芽生ちゃん、何かあったの?」
陸が朝食を片付けた後のお茶を持って来て、芽生の隣にちょこんと座った。うるうるした目に見つめられて、芽生は思わず陸をぎゅっと抱きしめたくなる。
「ううん、大丈夫……なんか、浮かれすぎていたのかな私って思っていただけ」
「浮かれる? いいことがあったの?」
陸が芽生を覗き込む。あまりの可愛さに鼻血が出そうになったのだが、芽生は意識的に鼻血を引っ込める。
「うーん、お付き合いする人ができたんだけど……あ、お父さんにはまだ言わないでね、ショックで死んじゃうと困るから」
しかし、陸は固まり、後ろにいた海斗は参考書を床にぼたぼたと落とした。
「え、え、ちょっと二人ともそんなビックリしなくても……。変かな、やっぱり。私に彼氏できちゃ」
陸は金縛りにあったかのように動かなかったのだが、いきなり芽生の肩を掴んだかと思うと、半泣きし始める。
「え、陸……!?」
「やだ芽生ちゃん! 芽生ちゃんに彼氏なんて僕許さない! 芽生ちゃんはずっと僕の芽生ちゃんなのに! 僕が芽生ちゃんと結婚するのに!」
「わ、陸……でも陸とは結婚できないのに、なんかめっちゃ心が揺れるんだけどどうしよ」
やだやだと言いながら芽生に泣きついてくる陸が可愛すぎて、芽生はよしよしと頭を撫でた。海斗は凍り付きながらもソファにやってくると、芽生を挟んで陸とは反対側に腰かけた。
「父さんが知ったら多分そっこーで死ぬと思う。っていうか、誰? まさか有紀君?」
「違う違う。ちょっともう家政婦の仕事行くから、また今度ゆっくり話すね」
陸離れてと言うと、泣きながら陸が離れた。しかし、不貞腐れた顔をすると、口を尖らせた。
「芽生ちゃんに彼氏なんて僕認めないんだからね!」
それだけ言うと、陸はそっぽを向いてしまった。こんなに懐かれて、芽生はあまりの弟たちの可愛さに一生独身でもいいやと思いかけてしまったのだが、いかんせん仕事に行かなくてはならず、慌てて鞄を用意すると、玄関へと走った。
「じゃあ行ってくるね、仲良くしててね!」
手を振って出て行く芽生を二人の弟が見送って、そして扉が閉まった瞬間に陸が「ふざけんな」と呟いた。
「海斗知ってたのかよ、なんで芽生に彼氏なんかできるんだよ!」
「俺が知るかよ! っていうか、いい加減その猫かぶりやめろよ」
ふん、と陸は可愛い顔に邪悪な笑みを乗せた。
「いいさ、どんな彼氏ができたって、芽生は絶対渡さないからな」
「お前ほんと芽生のこと好きな。だからっていつまでそのぶりっ子キャラ演じるつもりだよ?」
「海斗だって芽生のこと好きじゃんか。くそ、誰なんだよ彼氏って……」
天使の顔をしたシスコンすぎる弟たちは、悶々と芽生が出て行った先を見つめるしかできなかった。
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