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第2章

第15話 片付け

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「まずは、掃除より先に片付けしなくちゃ。午後から掃除しよう」

 高級スーツを回収し、ひとまとめにする。きっちり一週間分あるようで、散らかったネクタイとワイシャツもまとめていると、クリーニングの袋を発見した。

「これじゃ、まるで宝物探ししているみたい」

 会社に持って行って、秘書にクリーニングを頼んでいたのだろう。袋の中にひとまとめにして、ネクタイとワイシャツも入れた。

 まだまだ散らかっている靴下やら肌着を回収し、洗濯機へと放り込む。よく晴れているので、ベランダに干そうと決めて洗濯機を回した。

「よし、これで服は完成。あとは、散らかったゴミを集めなくちゃね」

 机の上にはカップラーメンの残りやら、コンビニで買ったものの残骸があり、キッチンは食事を作るようとしては使われていない様子で、もっぱらお湯を沸かすことくらいしかしていないようだった。

「こんな生活して、外食ばっかしてたらあの人、絶対に身体壊すわ、そのうち」

 手際よく燃えるゴミと燃えないゴミを分別し、いらない新聞を集め、散らかっているビジネス書をまとめて本棚へと戻していると、あっという間に一時間経ってしまった。

「いけない、朝のご飯!」

 冷蔵庫を開けて、芽生はガックシと肩を落とした。

「……おっさんか、あの人は」

 缶ビールと炭酸水しか入っていない。これでどうやって朝食を作れと言うのだと憤慨しながら、近くにあるスーパーへと芽生は大急ぎで向かった。

 カードキーと一緒に玄関には財布も置かれており、それをちゃっかりと持ち出して小走りでスーパーへと向かう。やけに重たい財布だなと思って中を見て、札束の量に見なければよかったと思った芽生だった。

「持ってる人は持ってるってやつなんだよね。さて、朝ご飯と昼ご飯分も買っちゃおう」

 何にしようかと考えながらスーパーに来ていたのだが、今朝の涼音の様子からすると、かなりの低血圧のように思えた。さらに、机の上にはいくつか胃薬を飲んだ跡があった。あんな食生活をしているのに、朝は食べないでコーヒーだなんて、胃が荒れてしまうと芽生は眉をしかめる。

「消化が良くて、身体が温まるもの……朝はお味噌汁と、昼ご飯はにゅう麺にしようかな」

 生姜と大根、ほうれん草、ニンジンと玉ねぎ、出汁パックに味噌。にゅう麺と卵と麺つゆをサクッと購入すると、大急ぎでマンションへと戻った。

 まだ涼音は起きてきていないようだったので、いったん片づけを止めて、朝ご飯のお味噌汁を作り始める。

「お味噌汁は料理の基本よね! 食欲がなくても、これだけは飲めるもの」

 鍋があるのか不安になったのだが、キッチンの棚を引くとそこに調理器具が一式揃っていたので、安心して芽生は味噌汁を作り始めた。

 顆粒出汁ではなくて、出汁パックで出汁を取り、刻んだ野菜とすりおろした生姜を少しの水で蒸すようにしてしんなりさせる。

 大体火が通ってからさらに水を加えて沸騰させ、よく煮えたら火を落としてから味噌を溶いて入れた。

「あとは、卵を落せば出来上がり!」

 時計を見ると、起きてくると言った十時まで、後数分だった。
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