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火の国のクエスト
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「ホムラ、このことを知っているのはどれくらいいる?」
「ギルドの者だけです。現地は異常気象で立ち入り禁止ということにしています」
ギルドとしては対応済みか。
けれど、物好きが無視して足を踏み入れないとも限らない。
対処するなら早い方がいいな。
「分かった今から調査にいく。詳しい場所を教えてくれ」
「それなのですが、日中はマグマが地面を覆っていて近づくことが出来ません。日が暮れると幾分かは引くので、待っていただいた方がいいと思います」
マグマか。
俺とリナだけならなんとかなるだろう。
だがもしものことを考えると、ミキとエミリもいた方がいいか。
「わかった。その時間まで待たせてもらうよ」
「はいはーい、私、温泉に入りたいです!」
話が終わったと見るや否やエミリが手を上げた。
「それでしたら、ギルドの宿をお使いください。2部屋御用意しております」
「それは助かる」
別室であれば、面倒事も起きないだろう。
「お部屋には専用の露天風呂もございますよ」
「やったー!」
エミリは立ち上がると、ミキとハイタッチをした。
「2人ともはしゃぎすぎだ。まだ休んでいいとは決まっていないぞ」
「えー、リナのいけずぅ」
エミリが言うと、ミキもしきりに頷いている。
リナは苦情を聞き流すと、俺を向いた。
「先輩、どうだろうか?」
「みんながそうしたいなら構わないぞ。それとも、リナは嫌なのか?」
「そうだな…」
顎に手を当てると、じっと考え込む。
ミキとエミリは答えを待ちわびて、じわじわと歩み寄っていく。
やがて、リナはおかしそうに笑った。
「ふふっ、2人がそうしたいなら私も構わないぞ」
「やったー」
「リナ、ありがとー」
リナに向かって、2人は抱きついた。
その姿はさながら、本当の姉妹のようだった。
「それではまずはお部屋にご案内しますね。いいでしょうか、せんぱ…リーダーさん」
「ああ、頼むよ」
三件のクレームにより、俺の呼び方はリーダーに決定した。
あまり呼ばれることがないので、うっかり無視してしまわないか心配だ。
「それではいきましょう」
ホムラの後に続いて、ミキとエミリは会議室を出ていく。
俺はリナと並んで、楽しそうな背中を眺める。
「いつもありがとな」
「構わないさ。私が一番年上なのだから」
答えるリナもどこか嬉しそうだ。
優しげな笑顔が戻っている。
「本当のところ、どうなんだ」
「と言うと?」
「温泉、入りたいのか?」
「そうだな…先輩と一緒なら入りたいかもな」
リナはそう言う、ウインクしてみせた。
「ギルドの者だけです。現地は異常気象で立ち入り禁止ということにしています」
ギルドとしては対応済みか。
けれど、物好きが無視して足を踏み入れないとも限らない。
対処するなら早い方がいいな。
「分かった今から調査にいく。詳しい場所を教えてくれ」
「それなのですが、日中はマグマが地面を覆っていて近づくことが出来ません。日が暮れると幾分かは引くので、待っていただいた方がいいと思います」
マグマか。
俺とリナだけならなんとかなるだろう。
だがもしものことを考えると、ミキとエミリもいた方がいいか。
「わかった。その時間まで待たせてもらうよ」
「はいはーい、私、温泉に入りたいです!」
話が終わったと見るや否やエミリが手を上げた。
「それでしたら、ギルドの宿をお使いください。2部屋御用意しております」
「それは助かる」
別室であれば、面倒事も起きないだろう。
「お部屋には専用の露天風呂もございますよ」
「やったー!」
エミリは立ち上がると、ミキとハイタッチをした。
「2人ともはしゃぎすぎだ。まだ休んでいいとは決まっていないぞ」
「えー、リナのいけずぅ」
エミリが言うと、ミキもしきりに頷いている。
リナは苦情を聞き流すと、俺を向いた。
「先輩、どうだろうか?」
「みんながそうしたいなら構わないぞ。それとも、リナは嫌なのか?」
「そうだな…」
顎に手を当てると、じっと考え込む。
ミキとエミリは答えを待ちわびて、じわじわと歩み寄っていく。
やがて、リナはおかしそうに笑った。
「ふふっ、2人がそうしたいなら私も構わないぞ」
「やったー」
「リナ、ありがとー」
リナに向かって、2人は抱きついた。
その姿はさながら、本当の姉妹のようだった。
「それではまずはお部屋にご案内しますね。いいでしょうか、せんぱ…リーダーさん」
「ああ、頼むよ」
三件のクレームにより、俺の呼び方はリーダーに決定した。
あまり呼ばれることがないので、うっかり無視してしまわないか心配だ。
「それではいきましょう」
ホムラの後に続いて、ミキとエミリは会議室を出ていく。
俺はリナと並んで、楽しそうな背中を眺める。
「いつもありがとな」
「構わないさ。私が一番年上なのだから」
答えるリナもどこか嬉しそうだ。
優しげな笑顔が戻っている。
「本当のところ、どうなんだ」
「と言うと?」
「温泉、入りたいのか?」
「そうだな…先輩と一緒なら入りたいかもな」
リナはそう言う、ウインクしてみせた。
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