契約師としてクランに尽くしましたが追い出されたので復讐をしようと思います

夜納木ナヤ

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第1章~チュートリアル~

初めてのクエストです

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 ウルフは森の奥にいるらしく、三人は迷わず進んでいった。すぐにウルフの群れは現れ、俺たちを取り囲んだ。
 ハヤテ達は手慣れていて、戦い方を知らない俺を差し置いて、次々と倒していく。どうやらその実力は口だけではなかったようだ。
 ハヤテの動きは早くて、ウルフは反応すら出来ていなかった。

「1、2、3…10、11…20。全部で20体か」
「なかなかの成果なんじゃないか?」
「そうね。これなら報酬も期待できそうよ」

 ウルフを倒した三人は盛り上がっている。うーん…疎外感。
 ハヤテは手早く尻尾を剥ぎ取ると、ポケットにしまった。

「これで終わりだな」
「置いていくのはもったいないな。皮や肉が売れるのに」
「仕方ないでしょ。誰も解体なんて出来ないんだから」

 解体?その言葉を聞いた途端、いくつもの情景が思い浮かんだ。
 剣やナイフ、その他武器による解体方法。やったことがないはずなのに、その時の感触まで感じ取れた。
 
 モンスターはウルフ。大きさや構造を考えると一番楽そうなのは、魔法による解体か。
 気づけば体のほうが先に動いていた。

「ウインドカッター」

 風魔法がウルフの体を伝っていき、肉と皮の境目からきれいに切り裂いた。その間数秒。
 返り血を浴びることもなく、きれいな毛皮の出来上がりだ。

「嘘でしょ!?」

 マヤは毛皮に駆け寄ると、拾い上げ、じっくりと隅々まで見た。

「嘘…切れ目も完璧だし、肉の1片もついてないわ」
「すごいのか?」
「当たり前じゃない!腕利きの解体師だって境目は捨てるって言われてるぐらいよ。それに一瞬じゃない!?」

 ハヤテとタケヤも順番に毛皮を手に取り、驚いていた。
 
「残りのウルフも頼めるか?」
「わかった…ハリケーン…ウインドカッター」

 ハリケーンでウルフの体を宙に浮かせると、ウインドカッターで毛皮を剥ぎ取る。ついでに残った肉も四角に切っておいた。
 仕上げにさらにハリケーンで次々と山積みにしていく。

「よし、完了!」

 思わずガッツポーズだ。
 途中から楽しくなってきて、テンションが上がってしまった。おかげで忘れていた。ここには俺以外にも人がいたことを。
 やばい…。恐る恐る振り向くと、目をまん丸にした3つの顔があった。

「すげえな!」
 
 一斉に駆け寄ってくると、口々にたたえてくる。こんなことは初めてだ。
 正直、どうしたらいいのか分からない。

「えっと…ありがとう」
「にしても困った。こんだけの量を全部持って帰るのはきついな」
「タケヤならいけるんじゃない?」
「ふざけるな。少し動かすだけならともかく、森を抜けるなんて無理だぞ」

 つまり、ゲームで言うインベントリみたいなのがあればいいわけか。都合よくそんなものがあるはずが…って、あれ?手のひらに金色の魔法陣が浮き上がっている。
 いやね、まさかね?
 皮の山に手を伸ばすと、魔法陣に吸い込まれていく。

「まじかよ…」
「いや、俺はもう驚かんぞ」

 いちいち反応が返ってくるもんだから、ちょっと楽しくなってきた。
 そういえば、出す時はどうすればいいんだ…ってうおっ!?

 魔法陣から皮が飛び出す光景を思い浮かべたら、その通りになった。さっきとは違って、きれいに詰まれていないのはマイナスポイントだが、きちんとイメージすれば大丈夫そうな気がする。
 今度は魔法陣に吸い込まれるのをイメージして…成功だ。産卵していた皮がが綺麗サッパリ収まった。仕組みはいまいちわからないけど、便利そうだ。

「てことなんだけど」
「ヤマト、お前のジョブはなんだ?」
「えーっと…運び屋、とか?」

 流石に苦しいか?そんなものがあるのかもあやしい。

「そ、そうか…そんなのもあるのか」

 なんだか知らないが納得してくれた。
 とりあえずは一安心…なのか?
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