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惜別~バベルの塔~
バベルの塔
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「ではこれよりクエストに向かいます。みんなー準備はいいー、えいっえいっ、おー」
バベルの塔を前にして、咲の元気はさらに跳ね上がっていた。
掛け声と音頭を一人で完結させると、にこにこしている。
バベルの塔、こいつをクリアするのがギルドのクエストらしい。
5階層ごとにボスと呼ばれる凶悪なモンスターがいて、メインのボスを倒せばクリアとなる。
中にはトラップや、行く手を阻む仕掛けが用意されている。
咲がいる以上、クリアするのは容易だろう。
エリカの言っていた通り、ついでに咲の弱点も探ってみたい。
咲ではないは、クエストスタートだ…。
メインクエスト:バベルの塔クリア
サブクエスト:咲の弱点を探る
☆☆
バベルの塔が生えてきたのは、昨日も来たあの裏山、の奥だ。
俺はいつも手前で引き返していたので見たことがなかったが、祭壇のあった場所で間違いないらしい。
塔は空に向かって伸びていて、その先端を拝むことは出来ない。おまけに、外からでは規模が分からないのが厄介だ。
中は異空間になっていて、その時々で形を変えるのだ。
一度入ると、クリアするか決まった場所にたどり着くまでは脱出することは出来ない。
命がけの挑戦と言ってもよく、クエストを与えらるのは実力を認められてた一部の魔術師だけだ。
入り口を前にして、俺達には緊張の空気が流れる…と言っても、眼鏡とエリカの二人だけどな。
俺は死ぬことはない。むしろ死ねるのであれば方法を教えて欲しい。
そして咲は…言わずもがなだ。こいつに至っては、怪我をする姿すら想像できない。
「それじゃあ行っちゃいますかー」
緊張とは程遠い、呑気な音頭で、俺たちの挑戦は始まった。
分かってはいたが、塔の中は独特だった。
建物の中のはずなのに、左右の壁はどこまでも上に続いていて、天井を拝むことは出来ない。
先の見えないその闇は、見つめれば見つめるほど飲みこまれそうになる。
「バベルの塔とは初めて入ったのだが…まるで別世界に迷い込んだみたいだな」
「本当ですね…あ、扉がありますよ!」
第1階層には、モンスターも、罠も仕掛けもなかった。
あるのは扉とそこに続く階段だけ。
まるで早く進んで来いと急かしているみたいだ。
咲はなんのためらいもなく階段を上がり、立ち止まることなく扉を潜り抜ける。
どんだけ肝が座っているのだと、むしろこっちが心配になってくる。
俺たちは慌てて追いかけると、扉の先は迷宮になっていた。
「みんな遅ーい。置いてっちゃうところだったじゃない」
「君が早すぎるんだ」
眼鏡は諦めたようにため息をつくと、エリカに話しかけた。
「早乙女後輩、能力でトラップがあるかは分かるのか?」
「試したことはないですが、多分」
エリカが答えると、眼鏡は満足そうに頷いた。
「では俺が先頭を進むから、何かあったら教えてくれ」
「分かりました」
「却下よ」
決まりかけたことを、咲はばっさり切り捨てた。
眼鏡は「またか」と呟くと、再びため息をついた。
「君はそういうことを…」
「私が先頭にいれば問題ないわ。トラップになんか引っかかったことがないんだから」
「それはそうだが、我々が仕掛けを把握できない」
「いや、出来ないのは大志だけしょ」
「なに?」
眼鏡は眉をひそめると、こちらを向いた。
「難しいことはわからないけれど、エリカは空間把握能力があるし、カケルは罠の場所を知ってるわ」
「そんなことが…いや、エリカ君はいいとしてもうひとりは…」
俺か?第2階層のマッピングは既に終わっている。
俺の影は壁際の影に繋がっていて、途切れることなく、次の階層へとつながる扉の前まで続いている。
途中の道も、関係ない曲道もすべて把握済みだ。
「俺も難しいことはわからないけど、この階層にトラップはない。そうだろ咲」
「さすがカケル!」
咲が嬉しそうに飛び跳ねると、眼鏡は狼狽えた。
「なぜそんなことが言えるんだ!?」
「咲を見ていれば分かるだろ」
「そ、そんな理由で…」
「仕方ないだろ、勘が当たっちまうんだから。信じれるものは何も考えずに信じたほうが楽だ。違ったならエリカが分かる。それでいいだろ」
眼鏡は何かいいたそうにしていたが、結局諦めた。
どうやら俺も、咲と同種と思われたらしい。誠に遺憾である。
「それじゃあ改めて、行っちゃいましょー!」
☆☆
結果だけ言うと、第2階層にはやはりトラップはなく、モンスターも大したことがなかった。
咲は一人で全て倒し、第3階層も似たような感じで、第4階層も大詰めを迎えていた。
咲は変わらず先頭を走り、俺達はその後を続いていた。
だが突然、咲が止まる前兆を感じ取った。他の二人は多分気づいていない。
その先の道は直角に曲がっていて、モンスターが待ち受けている。
ふと、咲の姿が見えなくなった。二人は慌てたように加速する…が、戻って来た咲とすれ違った。
「何事だ!?」
驚いて振り向いた二人に、急に現れたモンスターが襲いかかる。
「うおりゃあ!」
タイミングは分かっていた。
槍を横に薙ぎ払うと、すべてのモンスターにヒットさせ、体勢を崩した。
「さすが私のカケルね!分かってる!」
「俺はお前のじゃない」
楽しげな声に乗って、咲は駆け抜けていき、モンスターを倒した。
眼鏡は眼鏡に手を当てると、目をぱちくりさせる。
「何だったんだ?」
「曲がったところでモンスターが待ち伏せしていたのよ」
「なんだとっ!?まさか少年も気づいていたのか?」
「いいや。ただ咲の動きから一度戻ってきそうな気がしただけだよ」
前半は嘘だ。モンスターが待ち伏せしていたことは”気づいた”のではなく知っていた。
この階層のマッピングも終わっているからな。
「カケルがいると思ったことをやってくれるから楽しいわ」
「そう言えば二人はどこで知り合ったんですか?」
咲がしみじみ言うと、エリカが食いついた。
これがガールズトークってやつだろうか?
「あれ?言ってなかった?カケルとは前にもバベルの塔を登ったことがあるのよ」
まるで俺が自分の意志でついていったみたいな言い方だな。
入り口付近で首根っこを掴まれ、強制連行されただけだ。
「高さは50階層。発見された中では最高峰よ」
「その塔のことなら私も聞いたことがある。Aランク3名とBランク1名、それとランク不明の少年1名で攻略したと。まさか性根とは少年のことだったとは」
「ね?カケルはすごいでしょ?」
まるで自分のことのように胸を貼る。
が、本当に凄いのは咲の方だ。
話にあったように、当時の咲はBランク…にも関わらず、Aランクにも劣らないどころかそれ以上の動きをしていたのを覚えている。
「さて、カケルのことをもっと自慢したい気持ちはあるんだけど、ちゃちゃっとこの先も終わらせちゃいましょ!」
「えいえいおー」っと一人で腕を上げながら、また歩きだしていく。
そんなに急がなくてもと思うんだが、なにか理由があるのだろうか?
眼鏡に続いて進もうとすると、後から腕を掴まれた。
「ねえ、この塔のことどこまで分かっているの?」
エリカが小声で聞いてくる。
こいつは影のことを知っているし、教えても問題はないか。
「全部」
「全部って…まさかこの塔の?」
「それはさすがにない。今いるところだけ」
「そ、そっか…」
立ち止まっていると、痺れを切らした咲が戻ってきた。
とっても不満そうだ。
「何やってるのー、早く来てー」
やはりおかしい。
いつもの咲なら待っていて、「何してたの?おっそーい!」とか言ってくるところだ。
やはりこの塔には、何か秘密があるのか?
バベルの塔を前にして、咲の元気はさらに跳ね上がっていた。
掛け声と音頭を一人で完結させると、にこにこしている。
バベルの塔、こいつをクリアするのがギルドのクエストらしい。
5階層ごとにボスと呼ばれる凶悪なモンスターがいて、メインのボスを倒せばクリアとなる。
中にはトラップや、行く手を阻む仕掛けが用意されている。
咲がいる以上、クリアするのは容易だろう。
エリカの言っていた通り、ついでに咲の弱点も探ってみたい。
咲ではないは、クエストスタートだ…。
メインクエスト:バベルの塔クリア
サブクエスト:咲の弱点を探る
☆☆
バベルの塔が生えてきたのは、昨日も来たあの裏山、の奥だ。
俺はいつも手前で引き返していたので見たことがなかったが、祭壇のあった場所で間違いないらしい。
塔は空に向かって伸びていて、その先端を拝むことは出来ない。おまけに、外からでは規模が分からないのが厄介だ。
中は異空間になっていて、その時々で形を変えるのだ。
一度入ると、クリアするか決まった場所にたどり着くまでは脱出することは出来ない。
命がけの挑戦と言ってもよく、クエストを与えらるのは実力を認められてた一部の魔術師だけだ。
入り口を前にして、俺達には緊張の空気が流れる…と言っても、眼鏡とエリカの二人だけどな。
俺は死ぬことはない。むしろ死ねるのであれば方法を教えて欲しい。
そして咲は…言わずもがなだ。こいつに至っては、怪我をする姿すら想像できない。
「それじゃあ行っちゃいますかー」
緊張とは程遠い、呑気な音頭で、俺たちの挑戦は始まった。
分かってはいたが、塔の中は独特だった。
建物の中のはずなのに、左右の壁はどこまでも上に続いていて、天井を拝むことは出来ない。
先の見えないその闇は、見つめれば見つめるほど飲みこまれそうになる。
「バベルの塔とは初めて入ったのだが…まるで別世界に迷い込んだみたいだな」
「本当ですね…あ、扉がありますよ!」
第1階層には、モンスターも、罠も仕掛けもなかった。
あるのは扉とそこに続く階段だけ。
まるで早く進んで来いと急かしているみたいだ。
咲はなんのためらいもなく階段を上がり、立ち止まることなく扉を潜り抜ける。
どんだけ肝が座っているのだと、むしろこっちが心配になってくる。
俺たちは慌てて追いかけると、扉の先は迷宮になっていた。
「みんな遅ーい。置いてっちゃうところだったじゃない」
「君が早すぎるんだ」
眼鏡は諦めたようにため息をつくと、エリカに話しかけた。
「早乙女後輩、能力でトラップがあるかは分かるのか?」
「試したことはないですが、多分」
エリカが答えると、眼鏡は満足そうに頷いた。
「では俺が先頭を進むから、何かあったら教えてくれ」
「分かりました」
「却下よ」
決まりかけたことを、咲はばっさり切り捨てた。
眼鏡は「またか」と呟くと、再びため息をついた。
「君はそういうことを…」
「私が先頭にいれば問題ないわ。トラップになんか引っかかったことがないんだから」
「それはそうだが、我々が仕掛けを把握できない」
「いや、出来ないのは大志だけしょ」
「なに?」
眼鏡は眉をひそめると、こちらを向いた。
「難しいことはわからないけれど、エリカは空間把握能力があるし、カケルは罠の場所を知ってるわ」
「そんなことが…いや、エリカ君はいいとしてもうひとりは…」
俺か?第2階層のマッピングは既に終わっている。
俺の影は壁際の影に繋がっていて、途切れることなく、次の階層へとつながる扉の前まで続いている。
途中の道も、関係ない曲道もすべて把握済みだ。
「俺も難しいことはわからないけど、この階層にトラップはない。そうだろ咲」
「さすがカケル!」
咲が嬉しそうに飛び跳ねると、眼鏡は狼狽えた。
「なぜそんなことが言えるんだ!?」
「咲を見ていれば分かるだろ」
「そ、そんな理由で…」
「仕方ないだろ、勘が当たっちまうんだから。信じれるものは何も考えずに信じたほうが楽だ。違ったならエリカが分かる。それでいいだろ」
眼鏡は何かいいたそうにしていたが、結局諦めた。
どうやら俺も、咲と同種と思われたらしい。誠に遺憾である。
「それじゃあ改めて、行っちゃいましょー!」
☆☆
結果だけ言うと、第2階層にはやはりトラップはなく、モンスターも大したことがなかった。
咲は一人で全て倒し、第3階層も似たような感じで、第4階層も大詰めを迎えていた。
咲は変わらず先頭を走り、俺達はその後を続いていた。
だが突然、咲が止まる前兆を感じ取った。他の二人は多分気づいていない。
その先の道は直角に曲がっていて、モンスターが待ち受けている。
ふと、咲の姿が見えなくなった。二人は慌てたように加速する…が、戻って来た咲とすれ違った。
「何事だ!?」
驚いて振り向いた二人に、急に現れたモンスターが襲いかかる。
「うおりゃあ!」
タイミングは分かっていた。
槍を横に薙ぎ払うと、すべてのモンスターにヒットさせ、体勢を崩した。
「さすが私のカケルね!分かってる!」
「俺はお前のじゃない」
楽しげな声に乗って、咲は駆け抜けていき、モンスターを倒した。
眼鏡は眼鏡に手を当てると、目をぱちくりさせる。
「何だったんだ?」
「曲がったところでモンスターが待ち伏せしていたのよ」
「なんだとっ!?まさか少年も気づいていたのか?」
「いいや。ただ咲の動きから一度戻ってきそうな気がしただけだよ」
前半は嘘だ。モンスターが待ち伏せしていたことは”気づいた”のではなく知っていた。
この階層のマッピングも終わっているからな。
「カケルがいると思ったことをやってくれるから楽しいわ」
「そう言えば二人はどこで知り合ったんですか?」
咲がしみじみ言うと、エリカが食いついた。
これがガールズトークってやつだろうか?
「あれ?言ってなかった?カケルとは前にもバベルの塔を登ったことがあるのよ」
まるで俺が自分の意志でついていったみたいな言い方だな。
入り口付近で首根っこを掴まれ、強制連行されただけだ。
「高さは50階層。発見された中では最高峰よ」
「その塔のことなら私も聞いたことがある。Aランク3名とBランク1名、それとランク不明の少年1名で攻略したと。まさか性根とは少年のことだったとは」
「ね?カケルはすごいでしょ?」
まるで自分のことのように胸を貼る。
が、本当に凄いのは咲の方だ。
話にあったように、当時の咲はBランク…にも関わらず、Aランクにも劣らないどころかそれ以上の動きをしていたのを覚えている。
「さて、カケルのことをもっと自慢したい気持ちはあるんだけど、ちゃちゃっとこの先も終わらせちゃいましょ!」
「えいえいおー」っと一人で腕を上げながら、また歩きだしていく。
そんなに急がなくてもと思うんだが、なにか理由があるのだろうか?
眼鏡に続いて進もうとすると、後から腕を掴まれた。
「ねえ、この塔のことどこまで分かっているの?」
エリカが小声で聞いてくる。
こいつは影のことを知っているし、教えても問題はないか。
「全部」
「全部って…まさかこの塔の?」
「それはさすがにない。今いるところだけ」
「そ、そっか…」
立ち止まっていると、痺れを切らした咲が戻ってきた。
とっても不満そうだ。
「何やってるのー、早く来てー」
やはりおかしい。
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