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番外編
ある日の僕の冒険8
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膝の上の翠の頭に顔をうずめる、若草の匂いがして、心が落ち着いていく。
「お母様」
翠が上を向いて僕の頬にキスをした。
「そのお方が翠紗様……なるほど……」
ユベンさんはじっと考え込んだ。
「でも、皆の到着、早すぎじゃないですか?僕ここがどこかわかっていませんが、紗国から遠いんじゃないかって思ってたんですけどね、あの山が見えたものですから」
そう言って僕は霞む高嶺を指さした。
その急峻な山は、僕の記憶が正しければ阿羅国から見えたあの山じゃないかと……そう思ったんだよね。
だから、越えないといけないって思い込んで歩いていたのだ。
「ああ、まあ、それなのだが……」
「僕がみんなを運びました」
「え?」
僕とユベンさんの目は点になった。
翠のかわいらしい声で呟かれたその内容が問題だ。
「ちょっと……え、ちょっと、翠?」
僕は翠の顔をじっと見つめた、この子が嘘なんてつくはずない。
以前、蘭紗様が雪山で遭難された時も光り輝いて山に瞬間移動していった、ああいったことがまた起きたってことなのかな?
「その……にわかには信じられませんが……」
ユベンさんも額の汗を美しい光沢のハンカチでぬぐった。
「まあ、我々も、翠がお母様を迎えに行きましょうと言った時、こういう方法とは思わなかったものでな」
「普通に天馬の馬車を仕立てるよう厩舎に伝えたところだったんだよ」
蘭紗様も涼鱗さんも半笑いで話してくれた。
「でも、蘭紗様をお助けしたときは、一人で移動したんですよ、今回は3人一緒?ってことなんです?」
「そうだ、なんというか、それはとても」
「まばゆかったねえ」
「ああ、白い光に包まれ、気が付いたらエルフの里のど真ん中だったという具合でな」
「蘭紗が紗国王の冠をつけていなかったら、どうなっていたことか」
「衛兵が即座に我らを囲んだからな」
涼鱗さんは愉快に笑った。
蘭紗様も微笑んだ。
ユベンさんは額の汗が止まらない。
「それは!申し訳ございません……私もまだ、報告を聞いておりませんので、なんと申しますか」
「いやいや、エルフの長よ、あなたは何も悪くない。我々の方が礼を失したということだ、むしろ、即座にあれだけの弓兵に囲まれ、正直感服した。エルフ達のすばやさはやはり伝えられている通りで、衛兵らも里を守るという気概にあふれていて、あれほどの守りがあれば安泰というもの」
「ほんとに!あれは壮観だったねえ!」
蘭紗様の言葉に涼鱗さんが乗り、楽しそうに手を叩いて喜んだ。
……喜ぶべきところじゃないと思うんだけどな、だって弓で狙われたってことだよね?
「しかし、私の紗国王の冠、そして、涼鱗のこと、さらには翠だ。翠の力を彼らは瞬時に見抜き、即座に弓を下し跪き頭を垂れた、エルフの目は特別なのであろうな」
この言葉にユベンさんは何度も頷いた。
「ええ、エルフは、龍ほどではありませんが、相手が何者であるか、魂がどのような状態であるかを感じることができます。特に悪意などははっきりと」
蘭紗様も涼鱗さんも深く頷いた。
僕は初耳だ……というか、生粋のエルフ自体ここに来て初めて見たんだもんね……
「まばゆいばかりの光に包まれた翠紗様は、我々には神同様に見えます。さらに、薫様の肩にお乗りの存在も、我々にはまばゆすぎて」
「へ?クーちゃんのこと?」
「クゥ」
肩の上でクーちゃんも鳴いてお返事です。
「へ?クーちゃん?」
「はい、クーちゃんは僕の護衛です、鳳凰なのですよ」
「……鳳凰」
唖然とするユベンさん。
長生きのはずで世界のことを深く知っているのに、鳳凰は知らなかったみたいだ。
「……その、紗国のお嫁様伝説の一旦を、このように目の当たりにしますと、うちの眠り巫女姫様同様、不思議なこと、さらには奇跡があるのだなあと、神に感謝を捧げたい思いに駆られますな」
「……その、眠り巫女姫様というのは?」
蘭紗様の問いに、僕は出番だ!とばかりに説明した。
「ずっと、それはもしかして4000年以上かもしれない長い間、ずっとお眠りになったままの巫女姫さまがエルフの里にはいらしたのですよ」
「それは、知らなかった……」
「ああ、私も知らなかった」
ユベンさんは頷いた。
「さもありなん、このことは門外不出です。眠っているがゆえに狙われればひとたまりもない、……しかし、能力の種類ゆえに狙われやすいお方でありますからな」
「巫女姫の能力とやらは何だったのです?」
蘭紗様の問いに、僕も興味津々でユベンさんを見つめる。
「はい……予知でございます」
「お母様」
翠が上を向いて僕の頬にキスをした。
「そのお方が翠紗様……なるほど……」
ユベンさんはじっと考え込んだ。
「でも、皆の到着、早すぎじゃないですか?僕ここがどこかわかっていませんが、紗国から遠いんじゃないかって思ってたんですけどね、あの山が見えたものですから」
そう言って僕は霞む高嶺を指さした。
その急峻な山は、僕の記憶が正しければ阿羅国から見えたあの山じゃないかと……そう思ったんだよね。
だから、越えないといけないって思い込んで歩いていたのだ。
「ああ、まあ、それなのだが……」
「僕がみんなを運びました」
「え?」
僕とユベンさんの目は点になった。
翠のかわいらしい声で呟かれたその内容が問題だ。
「ちょっと……え、ちょっと、翠?」
僕は翠の顔をじっと見つめた、この子が嘘なんてつくはずない。
以前、蘭紗様が雪山で遭難された時も光り輝いて山に瞬間移動していった、ああいったことがまた起きたってことなのかな?
「その……にわかには信じられませんが……」
ユベンさんも額の汗を美しい光沢のハンカチでぬぐった。
「まあ、我々も、翠がお母様を迎えに行きましょうと言った時、こういう方法とは思わなかったものでな」
「普通に天馬の馬車を仕立てるよう厩舎に伝えたところだったんだよ」
蘭紗様も涼鱗さんも半笑いで話してくれた。
「でも、蘭紗様をお助けしたときは、一人で移動したんですよ、今回は3人一緒?ってことなんです?」
「そうだ、なんというか、それはとても」
「まばゆかったねえ」
「ああ、白い光に包まれ、気が付いたらエルフの里のど真ん中だったという具合でな」
「蘭紗が紗国王の冠をつけていなかったら、どうなっていたことか」
「衛兵が即座に我らを囲んだからな」
涼鱗さんは愉快に笑った。
蘭紗様も微笑んだ。
ユベンさんは額の汗が止まらない。
「それは!申し訳ございません……私もまだ、報告を聞いておりませんので、なんと申しますか」
「いやいや、エルフの長よ、あなたは何も悪くない。我々の方が礼を失したということだ、むしろ、即座にあれだけの弓兵に囲まれ、正直感服した。エルフ達のすばやさはやはり伝えられている通りで、衛兵らも里を守るという気概にあふれていて、あれほどの守りがあれば安泰というもの」
「ほんとに!あれは壮観だったねえ!」
蘭紗様の言葉に涼鱗さんが乗り、楽しそうに手を叩いて喜んだ。
……喜ぶべきところじゃないと思うんだけどな、だって弓で狙われたってことだよね?
「しかし、私の紗国王の冠、そして、涼鱗のこと、さらには翠だ。翠の力を彼らは瞬時に見抜き、即座に弓を下し跪き頭を垂れた、エルフの目は特別なのであろうな」
この言葉にユベンさんは何度も頷いた。
「ええ、エルフは、龍ほどではありませんが、相手が何者であるか、魂がどのような状態であるかを感じることができます。特に悪意などははっきりと」
蘭紗様も涼鱗さんも深く頷いた。
僕は初耳だ……というか、生粋のエルフ自体ここに来て初めて見たんだもんね……
「まばゆいばかりの光に包まれた翠紗様は、我々には神同様に見えます。さらに、薫様の肩にお乗りの存在も、我々にはまばゆすぎて」
「へ?クーちゃんのこと?」
「クゥ」
肩の上でクーちゃんも鳴いてお返事です。
「へ?クーちゃん?」
「はい、クーちゃんは僕の護衛です、鳳凰なのですよ」
「……鳳凰」
唖然とするユベンさん。
長生きのはずで世界のことを深く知っているのに、鳳凰は知らなかったみたいだ。
「……その、紗国のお嫁様伝説の一旦を、このように目の当たりにしますと、うちの眠り巫女姫様同様、不思議なこと、さらには奇跡があるのだなあと、神に感謝を捧げたい思いに駆られますな」
「……その、眠り巫女姫様というのは?」
蘭紗様の問いに、僕は出番だ!とばかりに説明した。
「ずっと、それはもしかして4000年以上かもしれない長い間、ずっとお眠りになったままの巫女姫さまがエルフの里にはいらしたのですよ」
「それは、知らなかった……」
「ああ、私も知らなかった」
ユベンさんは頷いた。
「さもありなん、このことは門外不出です。眠っているがゆえに狙われればひとたまりもない、……しかし、能力の種類ゆえに狙われやすいお方でありますからな」
「巫女姫の能力とやらは何だったのです?」
蘭紗様の問いに、僕も興味津々でユベンさんを見つめる。
「はい……予知でございます」
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