俺が出会ったのは、淫魔だった

真白 桐羽

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第五章  アオアイへ

訪れ3   R18

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 俺は手首を持ったまま、体を引き寄せ囁いた。

「どうした?」

そうやって顔を近づけて、至近距離でじっと彼の目を見つめた。
焦点の合わない目で俺をぼんやりと見つめて、紅潮させてはぁはぁと息を息を切らす男を観察する。

玲陽には全く似ていない。
どこかに兄弟らしいところがないか探しても、全くだ。
目も鼻も、色も形も違う。
それぞれが母に似ているのだろう。
であれば、この男の母もまた、美しい人なのかもしれない。

「わ、わたしは……」

喘ぐようにそう話す口元に人差し指をやると、一撫でしてみた。
仰け反って「あぁ」と溜息をついて、そして眦に涙を浮かべた。

「どうか……どうか私に」
「私に、なんだ?」
「わ、私を」
「だから、何をしてほしい」

俺は必死に口を開けて話そうとする男を無様だと思った。

これまでも、俺の気に当てられてこうなった者を多数見てきたが、ここまで滑稽に見えたことはない。

「かわいい」こうなってしまった相手を俺はそう思うだけだった。

しかし今、目の前にいるこの男に至っては……少しも魅力的ではないとそう思った。

「せめて……く、くちづけを」
「ほう……」

俺はもう一度思わせぶりに、なるべくゆっくり、人差し指で細かく震える彼の唇を撫でた。

「あぁ……」

小さいがはっきりとした喘ぎ声をあげて喜色を面に出す男に虫唾が走った。

「なぜ」
「え?」
「なぜ俺が、お前に口づけなどをせねばならん?」
「っ……」

カッと赤面し、目を見開いて俺を見つめる男の余裕のない目に、さきほどまでなかった獰猛な何かを感じる。

「わ、わたしを……こんなふうにしたのは、あなただ……」
「それで?」
「だから……」
「だから!せ、責任を……とって」
「ほう、責任を」

俺は小刻みに震える男の太ももを触った。
ラハーム王国の薄絹の衣装を通して、彼の熱を持った肉体が生々しく感じられる。

「こうか?」

俺は衣装の上から、固く起立する彼のモノを根元からツツっと指一本で撫でた。

「あぁ……あぁ……ダメだ、そんな」
「何がダメなのだ?望んでいるのでは?」
「ちがう、ただ……く、くちづけを」
「ではなぜ、お前のこれはこうなっている?」

俺は彼の衣装を結んでいるサッシュをほどき、ゆるんだ胸元から手を忍ばせた。

「ここも、こんなになって」
「あぁ!」

直接、触れるか触れないかの微妙な触り方で乳首を転がすと、ほとんど叫ぶように声をあげ、身をよじらせた。

「すっかり固くなって、どこもかしこも」
「ちが……」
「違うとは?」
「そ、そうではなく……」

俺はなおも乳首を弄び、その快感におぼれる男をポンとつついて、絨毯の上に座らせた。

「ぬげ」
「ぁ……」

従順に俺の言う通り、ぎこちない動きで服を寛げ、上半身裸になった彼を俺は見つめた。

それなりに鍛えてはあるが、文官である彼は玲陽ほど引き締まってもいないし、見事でもない。
どこか少年めいた彼の上半身をそのまま観察していると、恥ずかし気に悶えながら彼は問うた。

「し、下もですか……」


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