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第五章 アオアイへ
弟の記憶 ー玲陽の兄視点ー
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「やれ」
私の声が冷たく室内に響く。
その命令に待機していた二人の男が、薬で眠る弟の額に蛇の鱗を置いた。
半透明の手のひらほどの大きさの鱗だ。
二人のうちの一人が弟の傍らに座り、鱗に術をかけていく。
我々ラハーム王国は蛇族の国だ。
獣化して蛇の姿になれば、魔力の大きな者は大蛇となる。
私は一族の中でも特に大きな獣化をするのだ。
弟の額に乗せられたものは、私の喉の部分の鱗。
最も魔力が強いとされるその鱗を使って、異能を持つ部下に弟の記憶を開かせているのだ。
弟の記憶は私の脳へと直接送られてくる。
映像になって送られてくる雑多な記憶の中から、私は一人の黒髪の男を見つけた。
強さと威厳を感じる男だ。
そして、怪しい魅力と……優しい笑顔。
そこまで見てハッと気づく。
こいつか。
この男が……阿羅彦か。
そして、この二人の関係は。
そこに思い至ったその時。
褥の記憶が私の脳裏に映し出される。
壮絶なまでの美しくなまめかしいその裸の男は……
「……!!!!」
私が突然立ち上がったために術師は驚いて術を解いた。
「構わない……もういい。下がれ」
私の短い言葉で、異能を持つ部下達は何も言わず頭を下げて退出していった。
「こいつは……情夫なのか……」
いや……待て。
私は自分の下半身に異変を感じ、熱くなったそれを手で確かめた。
固く、そして痛いほど大きく起立したそれは恥ずかしげもなく雄々しかった。
私は扉に背を向け、そして大声で使用人を呼んだ。
「その者を、客室に寝かせておくように。足には魔術の枷を」
「かしこまりました」
どうして……
そう自分に問うても、答えはわからなかった。
一人になった部屋の中で、黒髪の男のあの視線を思い出しながら、自分のモノを擦りあげる。
溜息をついて、あの男の記憶をたどる。
何度も、何度も、脳裏によぎるのはあの男の妖艶なあの表情。
会いたい……
果ててしまった私はハッと我に返った。
そして自らがしたことを恥じ、素早く跡を魔法で消した。
「私は……何を……」
一瞬で吸い込まれるようにして、求めてしまった。
あの男は一体何者なのか?
会いたいなどと、なぜそう思ってしまったのだ?
会ったことすらない男なのに。
一言でいえば危険……そうとしか表現できない。
男に欲情するなど……決して私は……
あの男は……一体何者なのだ。
考えても出ない答えを、私は一晩中探すことになった。
私の声が冷たく室内に響く。
その命令に待機していた二人の男が、薬で眠る弟の額に蛇の鱗を置いた。
半透明の手のひらほどの大きさの鱗だ。
二人のうちの一人が弟の傍らに座り、鱗に術をかけていく。
我々ラハーム王国は蛇族の国だ。
獣化して蛇の姿になれば、魔力の大きな者は大蛇となる。
私は一族の中でも特に大きな獣化をするのだ。
弟の額に乗せられたものは、私の喉の部分の鱗。
最も魔力が強いとされるその鱗を使って、異能を持つ部下に弟の記憶を開かせているのだ。
弟の記憶は私の脳へと直接送られてくる。
映像になって送られてくる雑多な記憶の中から、私は一人の黒髪の男を見つけた。
強さと威厳を感じる男だ。
そして、怪しい魅力と……優しい笑顔。
そこまで見てハッと気づく。
こいつか。
この男が……阿羅彦か。
そして、この二人の関係は。
そこに思い至ったその時。
褥の記憶が私の脳裏に映し出される。
壮絶なまでの美しくなまめかしいその裸の男は……
「……!!!!」
私が突然立ち上がったために術師は驚いて術を解いた。
「構わない……もういい。下がれ」
私の短い言葉で、異能を持つ部下達は何も言わず頭を下げて退出していった。
「こいつは……情夫なのか……」
いや……待て。
私は自分の下半身に異変を感じ、熱くなったそれを手で確かめた。
固く、そして痛いほど大きく起立したそれは恥ずかしげもなく雄々しかった。
私は扉に背を向け、そして大声で使用人を呼んだ。
「その者を、客室に寝かせておくように。足には魔術の枷を」
「かしこまりました」
どうして……
そう自分に問うても、答えはわからなかった。
一人になった部屋の中で、黒髪の男のあの視線を思い出しながら、自分のモノを擦りあげる。
溜息をついて、あの男の記憶をたどる。
何度も、何度も、脳裏によぎるのはあの男の妖艶なあの表情。
会いたい……
果ててしまった私はハッと我に返った。
そして自らがしたことを恥じ、素早く跡を魔法で消した。
「私は……何を……」
一瞬で吸い込まれるようにして、求めてしまった。
あの男は一体何者なのか?
会いたいなどと、なぜそう思ってしまったのだ?
会ったことすらない男なのに。
一言でいえば危険……そうとしか表現できない。
男に欲情するなど……決して私は……
あの男は……一体何者なのだ。
考えても出ない答えを、私は一晩中探すことになった。
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