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第四章 阿羅国
夜明け
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籠に乗せられて運ばれるユーチェンははじめ緊張していたが、はしゃいで喜ぶ由利彦につられて笑顔を見せ始めた。
籠は揺れないようにしっかりと固定されている。
大人の女性が足を伸ばして座れる大きさで、仮眠もできるし、腰ほどの高さの縁からは顔をのぞかせて景色を楽しむこともできる。
これは案外慣れれば良い道具になるのでは?と思った。
例えてみれば熱気球のようなものだ。
運ぶのは魔物のクレイダ姉弟だが……
俺たち一行はそのまま夜通し飛び続けた。
夜の空は暗いだけではない、無限の広さを感じさせる空には数えきれない星、そして青く見える月。
それをじっと見ていると、ああ、この世界も結局はどこかの星で、大きな宇宙の中にあるのだろうなと思った。
こういう概念をこの世界の者たちはまだ知らないのだろう、一度そのことを遠回しに聞いてみたら、不思議そうな顔をされたことを覚えている。
ならば、そこはあまり触れない方が良いと思った。
まあ……めんどくさいと言うのが本音だ。
ふと籠の中を見る。
二人は寄り添ってぐっすり眠っていた。
その姿を見てふと笑みがこぼれた。
彼らが眠っている間にかなりの距離を稼げた。
しかし、そろそろ朝日が昇る頃だろう、朝には地面に降りて皆を休息させねばならない。
枯れることのない魔力を持つ俺や、魔物のクレイダたちはいいが、獣人達はいくら鍛えた者であっても休息は必要になる。
俺は速度を上げて先頭にいる玲陽に近づいた。
「玲陽、朝日が昇ったら一度休息を取るとしよう。皆疲れているだろう、かなりの速度で飛んでいるしな」
玲陽は、ふいに近寄って話しかけた俺の姿を見て、月明りの中でもわかるほど頬を赤らめた。
「阿羅彦様、はい、そういたしましょう」
「なぜ顔を赤くした」
俺は玲陽に近寄り、顔を覗き込んだ。
「っ…… 阿羅彦様…… 近寄りすぎです」
「近寄ってはダメなのか?」
「そうではなく…… ここでは人目もありますし」
「何を期待している?」
「いえ、期待など……」
もはや真っ赤になった玲陽はしどろもどろになって目線を逸らせた。
俺は玲陽のその様子が面白かった。
「どこかなるべく開けた場所を見つけ、そこに降りてくれ。俺も見るが、他の種族とのぶつかり合いがないように気をつけろ」
「わかりました」
今度はまじめな顔で頷いた玲陽の顔越しに、オレンジがかった朝日が顔を出そうとしていた。
俺はその色に吸い込まれるように見つめ続けた。
籠は揺れないようにしっかりと固定されている。
大人の女性が足を伸ばして座れる大きさで、仮眠もできるし、腰ほどの高さの縁からは顔をのぞかせて景色を楽しむこともできる。
これは案外慣れれば良い道具になるのでは?と思った。
例えてみれば熱気球のようなものだ。
運ぶのは魔物のクレイダ姉弟だが……
俺たち一行はそのまま夜通し飛び続けた。
夜の空は暗いだけではない、無限の広さを感じさせる空には数えきれない星、そして青く見える月。
それをじっと見ていると、ああ、この世界も結局はどこかの星で、大きな宇宙の中にあるのだろうなと思った。
こういう概念をこの世界の者たちはまだ知らないのだろう、一度そのことを遠回しに聞いてみたら、不思議そうな顔をされたことを覚えている。
ならば、そこはあまり触れない方が良いと思った。
まあ……めんどくさいと言うのが本音だ。
ふと籠の中を見る。
二人は寄り添ってぐっすり眠っていた。
その姿を見てふと笑みがこぼれた。
彼らが眠っている間にかなりの距離を稼げた。
しかし、そろそろ朝日が昇る頃だろう、朝には地面に降りて皆を休息させねばならない。
枯れることのない魔力を持つ俺や、魔物のクレイダたちはいいが、獣人達はいくら鍛えた者であっても休息は必要になる。
俺は速度を上げて先頭にいる玲陽に近づいた。
「玲陽、朝日が昇ったら一度休息を取るとしよう。皆疲れているだろう、かなりの速度で飛んでいるしな」
玲陽は、ふいに近寄って話しかけた俺の姿を見て、月明りの中でもわかるほど頬を赤らめた。
「阿羅彦様、はい、そういたしましょう」
「なぜ顔を赤くした」
俺は玲陽に近寄り、顔を覗き込んだ。
「っ…… 阿羅彦様…… 近寄りすぎです」
「近寄ってはダメなのか?」
「そうではなく…… ここでは人目もありますし」
「何を期待している?」
「いえ、期待など……」
もはや真っ赤になった玲陽はしどろもどろになって目線を逸らせた。
俺は玲陽のその様子が面白かった。
「どこかなるべく開けた場所を見つけ、そこに降りてくれ。俺も見るが、他の種族とのぶつかり合いがないように気をつけろ」
「わかりました」
今度はまじめな顔で頷いた玲陽の顔越しに、オレンジがかった朝日が顔を出そうとしていた。
俺はその色に吸い込まれるように見つめ続けた。
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