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第四章 阿羅国
子
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阿羅国としてアオアイに王自らが出向く日が近づいて来た。
玲陽とクレイダに教えられたユーチェンもそして由利彦も、今や飛翔を難なくこなすようになっている。
「おとうさま」
由利彦はそっと遠慮がちに小さな手を繋いできた。
俺は中腰になって由利彦の顔を覗く。
俺が記憶している幼いころの自分にそっくりだと思った。
子を作れと言われたときに、女を抱くのは無理だと一旦は拒否したものの、それでは跡取りもできないじゃないかと迫られ、俺は悩みに悩んだ。
そして、半分淫魔の魂で出来ている俺ならばもしやと、子宮に自分の魔力を満たすということを何度も繰り返した。
下腹に手を当て、子宮のイメージを頭に思い浮かべ、そこに我が子が宿るようにと念を送るのだ。
当初国に連れ帰った女たちは皆、戸惑いながらもその実験に根気よく付き合ってくれ、そして今では20人もこの国に子が生まれた。
子供は皆、俺の知っている黄色人種の特徴を持って生まれている。
白人に近い容姿の女からも、獣の耳を持つ別種の女からも、生まれるのは日本人そのものだった。
そして、皆が俺に似ている。
こんなふうに自分の子を持つことができるなど、誰が想像しただろうか。
もしもあのまま日本にいたら、俺はどうなっていたか。
誰とも結婚せずに独身を貫いたのか、それとも、愛する誰かを見つけられたのか?
しかし、子供のある未来など見えやしなかった。
男しか愛せないと自覚はあったから。
「よく練習したらしいな、うまく飛べるようになったのだろう?」
俺は由利彦の頭を撫で、微笑みながら褒めた。
小さな頭はこくんと頷いた。
この子が生まれた時は、その小ささに驚いたものだ。
成長したとはいえ、まだまだ幼い。
かわいいものだな、我が子とは。
俺にも当たり前の親の感情というものがあると、初めてわかった。
「はい、おとうさまの背におぶわれるのではなくて、僕も自分で飛んでいきたいのですが」
期待を込めた視線でじっと見つめられ、俺は苦笑する。
気持はわかるがそれをするには少々幼すぎる。
「慌てずとも、あと何年かすれば由利彦だって一人で森を飛び越えられるようになる。でも今は無理だぞ、お前が森に落ちてしまったら、お前の母に俺は殺されてしまうだろうしな」
俺は思わず声を出して笑ってしまった。
ユーチェンが愛を注いで大切に育てる子だ、この言葉はあながち間違っていないだろう。
「でも、おかあさまだって一人で飛ぶのに」
「お前の母はもう大人だ。飛翔を長時間行うのは精神力がいるんだよ、子供には無理なのだ」
「せいしんりょく?」
由利彦は小首をかしげ、視線を宙に向けた。
「そうだ、やり遂げる心の強さとでもいおうか。とにかく、子供の魔力はそうでなくても安定しない。危険なのだ。今回は俺の背にいるんだ」
「はい……」
すねたように下を向く由利彦の顔を指で上げて見つめた。
「由利彦は、父の背が嫌なのか?」
ハッとしたように目を丸くして顔をぶんぶんと横に振って、「違います!」と大きな声で応えた。
「ぼく、それはとってもうれしいんです! だっておとうさまとあまりお話できないから」
「そうだな、いつも忙しくてお前たちと時間が取れないことは申し訳なく思っているよ」
俺もかつては一人の少年だった。
そのころ、仕事をする父と会うのは朝に一度か、それを逃せば2,3日会わないままなのも普通であったことを思い出した。
こういう働き方は、日本人の癖なのかもしれないな。
「アオアイについたら、いっしょにあそんでくれますか?」
由利彦の遠慮がちな言い方にかわいそうになって頭をなでる。
「ああ、時間を取ろう、海が美しい島国らしい。海水浴もできるかもしれないな」
「海水浴ですか! 海を見れますか!」
「ああ、紗国に到着したら、その港町からは船に乗るからな、船は海を進むのだから、ずっと海の上だぞ」
「楽しみです!」
アオアイに到着したらしたで、今度はどんなことが待っているか、それはわからないが。
1日ぐらいは家族のために時間を取ろう、そう、心に誓った。
玲陽とクレイダに教えられたユーチェンもそして由利彦も、今や飛翔を難なくこなすようになっている。
「おとうさま」
由利彦はそっと遠慮がちに小さな手を繋いできた。
俺は中腰になって由利彦の顔を覗く。
俺が記憶している幼いころの自分にそっくりだと思った。
子を作れと言われたときに、女を抱くのは無理だと一旦は拒否したものの、それでは跡取りもできないじゃないかと迫られ、俺は悩みに悩んだ。
そして、半分淫魔の魂で出来ている俺ならばもしやと、子宮に自分の魔力を満たすということを何度も繰り返した。
下腹に手を当て、子宮のイメージを頭に思い浮かべ、そこに我が子が宿るようにと念を送るのだ。
当初国に連れ帰った女たちは皆、戸惑いながらもその実験に根気よく付き合ってくれ、そして今では20人もこの国に子が生まれた。
子供は皆、俺の知っている黄色人種の特徴を持って生まれている。
白人に近い容姿の女からも、獣の耳を持つ別種の女からも、生まれるのは日本人そのものだった。
そして、皆が俺に似ている。
こんなふうに自分の子を持つことができるなど、誰が想像しただろうか。
もしもあのまま日本にいたら、俺はどうなっていたか。
誰とも結婚せずに独身を貫いたのか、それとも、愛する誰かを見つけられたのか?
しかし、子供のある未来など見えやしなかった。
男しか愛せないと自覚はあったから。
「よく練習したらしいな、うまく飛べるようになったのだろう?」
俺は由利彦の頭を撫で、微笑みながら褒めた。
小さな頭はこくんと頷いた。
この子が生まれた時は、その小ささに驚いたものだ。
成長したとはいえ、まだまだ幼い。
かわいいものだな、我が子とは。
俺にも当たり前の親の感情というものがあると、初めてわかった。
「はい、おとうさまの背におぶわれるのではなくて、僕も自分で飛んでいきたいのですが」
期待を込めた視線でじっと見つめられ、俺は苦笑する。
気持はわかるがそれをするには少々幼すぎる。
「慌てずとも、あと何年かすれば由利彦だって一人で森を飛び越えられるようになる。でも今は無理だぞ、お前が森に落ちてしまったら、お前の母に俺は殺されてしまうだろうしな」
俺は思わず声を出して笑ってしまった。
ユーチェンが愛を注いで大切に育てる子だ、この言葉はあながち間違っていないだろう。
「でも、おかあさまだって一人で飛ぶのに」
「お前の母はもう大人だ。飛翔を長時間行うのは精神力がいるんだよ、子供には無理なのだ」
「せいしんりょく?」
由利彦は小首をかしげ、視線を宙に向けた。
「そうだ、やり遂げる心の強さとでもいおうか。とにかく、子供の魔力はそうでなくても安定しない。危険なのだ。今回は俺の背にいるんだ」
「はい……」
すねたように下を向く由利彦の顔を指で上げて見つめた。
「由利彦は、父の背が嫌なのか?」
ハッとしたように目を丸くして顔をぶんぶんと横に振って、「違います!」と大きな声で応えた。
「ぼく、それはとってもうれしいんです! だっておとうさまとあまりお話できないから」
「そうだな、いつも忙しくてお前たちと時間が取れないことは申し訳なく思っているよ」
俺もかつては一人の少年だった。
そのころ、仕事をする父と会うのは朝に一度か、それを逃せば2,3日会わないままなのも普通であったことを思い出した。
こういう働き方は、日本人の癖なのかもしれないな。
「アオアイについたら、いっしょにあそんでくれますか?」
由利彦の遠慮がちな言い方にかわいそうになって頭をなでる。
「ああ、時間を取ろう、海が美しい島国らしい。海水浴もできるかもしれないな」
「海水浴ですか! 海を見れますか!」
「ああ、紗国に到着したら、その港町からは船に乗るからな、船は海を進むのだから、ずっと海の上だぞ」
「楽しみです!」
アオアイに到着したらしたで、今度はどんなことが待っているか、それはわからないが。
1日ぐらいは家族のために時間を取ろう、そう、心に誓った。
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