オメガの王 

むつみ

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35話 オメガ達の茶会3

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 「は、はい。ぼ、僕達は大丈夫です。」

 ネルの問いにおどおどした様子で答えるジュリアスはやや猫背で前髪が長く目元が覆われ、自信のない弱々しい印象を与えた。その横では俺もです、とユーリが頷いている。

 「私は、、何というか番をクリスさんに解消して貰ってからあの人に毎日の様にプロポーズを受けてますね。」

 「あ。僕も似た感じですね~。あれからずっとめちゃくちゃ謝られてますね。本当は好きだったの何だったのって、愛の囁きのオンパレードですよ~。」

 ミルシェとヒルトの2人は困りますね、と言いながらも満更でもない様子。

 「そんなの随分勝手じゃない?君たちが受けた仕打ちを考えると許せないんじゃないの?」
 
 2人の様子にネルが疑問を言う。それは、クリスも感じた事だった。いくら愛を囁かれたからと言っても許せる度合いを超えている。

 「うーん。」

 「・・実は」

 顔を見合わせたミルシェとヒルトは意を決したように頷くと、クリスの目を見て、事の詳細をゆっくりと話していく。

 2人の話によると、Ωの王だったミルシェとヒルトに声をかけるアルファ達は何人かいたらしい。それはそうだろう、2人の容姿はクリス程では無いものの、なかなか整っているのだから。しかし、2人は、自分たちが貴族の中でもそれなりな身分だと鼻にかけていた事もあり、アルファ達を適当にあしらったらしい。

 その中でも、熱心にアプローチを続けて来たのが双方の番関係だった相手だとか、、

 「私たちも、あの頃はΩの王になれた事で愚かにも自惚れていたんですよ。クリス様の様な能力は無かったのにね。」

 自傷気味に肩を落としながらミルシェが語る。

 「そうそう、そして暫くしてあの離塔でアイツに番にされちゃったんですよね~」

 まあ、自業自得かもですよね、とヒルトが声を落とす。

 「話し合いもせず突っぱねて、私達の態度が彼等を追い詰めたと考えると、憎みきれないところもあるんです。まあ、だからと言ってすぐに許すつもりもありませんが、、」

 「・・まあ、集団で襲われるよりかはね。」

 ユーリも気まずそうに同意する。

 「なるほどね、と言う事はあの宴でのオメガの選出は既に相手が決まっていた上でって事なんだね。アルファの好意を粗雑に扱ったオメガがその対象となるアルファに制裁を受けるってことか。」

 そこまで言うとネルは、はぁとため息をついた。僕は招集がかかる度に心臓が破裂するかと思ったよ、と。

 「あ、でも、ネルさんのお相手のシャルル様はいつも適当にオメガの相手をされてましたよ~?あの方なら別段嫌がるオメガもいませんでしたし。あ!ですが、クリス様のお相手のローカス様は最近では見物されるだけで誰にも出だしはされていませんでしたからね!安心して下さいね。」

 「昔は昔、今は今でしょ!」

 ヒルトが余計な事をペラペラと喋るため、ネルがギロリと彼を睨み吠える。

 別にそんなフォローをして貰わなくてもあのαの王が他にどんなオメガを相手にしよようと何とも思わないのだが。

 そもそも、人の行為を見物する事自体が正気ではない気もする、、
 
 
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