オメガの王 

むつみ

文字の大きさ
上 下
31 / 43

31話 オメガ達の願い2

しおりを挟む
 すると、跪く2人のΩの王の指輪からピカッと目がくらむような眩い光が放たれた。眩しくて目を細めた先に見えたのは、その光がスーッと円状に凝縮され、ゆっくりと吸い込まれるようにクリスの指輪に浮遊する様子。そして、光がクリスの指輪に触れた瞬間、また大きく放出された光がクリスの身体全身を包み込む。

 ・・暖かい

 その光の中は穏やかで優しくて、クリスに安心感を与えた。

 その光は一瞬ですぐに消えたものだったが、先程覚えた暖かい何かに包まれている感覚がまだ残っていた。いつの間にか、銀色だったはずの指輪は綺麗な金色の輝きを放ち、今まで以上の存在感を表している。


 「え・・何がどうなってるの」

 急な展開に頭が追いつけず、クリスは戸惑いの声をあげる。

 だから、後ろから近づく2つの足音に気づく事が出来なかった。

 「あれ?オメガ達がたくさんいるね。なるほど。クリス君が唯一のΩの王になったんだね、おめでとう。」

 「へぇ?さすが俺の運命の番だな。」

 驚き固まるクリスの耳に、二度と聞きたくないと思っていた2つのが聞こえてきた。

 「あ!シャルル♪おはよー。」

 「おはよう、僕のネル。昨日はよく眠れたかい?」

 「うん!ちゃんと寝れたよ!ふふっ、心配してくれてありがとね。」

 可愛く嬉しそうに返事をするネルの頬に軽くリップ音をつけてキスしたシャルルと顔が真っ赤になって焦るネル。

 ・・いつの間にあんなに仲良くなったんだ。


 2人をジトリ目で見るクリスに、強烈な視線が注ぎ込まれる。これでは気づかないフリを続けるうちに顔に穴が空きそうだ。

 「・・何?」

 たまらずクリスは振り返り、目に入ったその憎らしい人物に冷たい視線を向けた。その表情は元々の美人顔と言われる彼を、凛とした冷酷美人風に変え、彼をさらに美しく魅せる。

 「ククッ、怒った顔もいいねぇ。だがな、俺がお前に話しかけてんだからこっちを見ろよ。シャルルの方を羨ましそうに見てんじゃねえ。お前の相手は俺だろう?」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

α様に囲われて独立が出来ません!

BL / 連載中 24h.ポイント:752pt お気に入り:236

あなたに愛や恋は求めません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:98,385pt お気に入り:9,056

チャラ男は愛されたい

BL / 連載中 24h.ポイント:120pt お気に入り:377

望んで離婚いたします

恋愛 / 完結 24h.ポイント:111,072pt お気に入り:884

異世界で四神と結婚しろと言われました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,526pt お気に入り:3,966

9番と呼ばれていた妻は執着してくる夫に別れを告げる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:106,334pt お気に入り:3,119

7人のイケメン兄弟に、求愛されて眠れません。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:163pt お気に入り:106

浮気αと絶許Ω~裏切りに激怒したオメガの復讐~

BL / 連載中 24h.ポイント:28,308pt お気に入り:1,825

そのオメガ、鈍感につき

BL / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:174

処理中です...