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42話
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今日の訓練が終わり、寮から出るとそのまた奥に何か建物があるのに気づく。少し気になり歩いていくと、ごく普通のアパートの様な建物が建っている。さっきまでかなり豪華な建物にいたからか少し、いや、かなりボロくみえる。洗濯物が干されていたり自転車が停めてあったり、生活感はあるようだが、ここはいったい誰が生活しているのだろう。
「健太、何してるの?早く帰らないと。」
桜都が後からやってきて声をかけて来た。桜都は寮生なのに外に用事でもあるのだろうか。最近は外まできっちり見送ってくれる。家にまで着いてこようとした時は流石に止めたけど。暇なのかな、友達もいないようだし。そんな事を言ったらまた怒られそうだけど。
「なんか奥にこんな建物があってさ。誰が住んでるんだ?」
「ああ、ここは一般寮だよ。」
一般寮?何処かで聞いた単語だな。
ああ!そうだ、!一般寮と特別寮と別れてたんだったな。チハルが言っていた差別とはこの事だったのか。あまりにも違いすぎて一般寮の生徒が可哀想だ。
「俺も寮に住んでみたいなって思ったけど、俺の場合はここになるんだな。やっぱり、実家通いのままで良いや。」
寮で桜都の指導を受けてから家に帰るのがだんだんしんどくなって来たから、ダメ元で両親に頼もうかと思ったけど、やっぱり無しだな。利用費は高すぎるし、一般寮で暮らすのは料理に洗濯と家事全般が出来ない俺には難しすぎる。それにこんな近くで金持ちとの差を見せつけられるなんて苦痛でしか無い。
「待って待って。健太の入寮手続きはもう済ましてあるから!勿論僕と同じ特別寮ね。」
え、なんで俺が特別寮なんだ?てか、勝手に手続きしたの?
「いや、俺の家はそんな大金持ってないから。利用料払えないって!キャンセルして!」
「大丈夫だよ。健太は一応親衛隊隊長だからさ。特別に無料で入寮する事が出来るんだよ。」
え、そんな事可能なのか?
「うちの寮生の中では、健太と同じで親衛隊に入って、身体鍛えて頑張ってボス達に認められて一般の出身でも特別寮に特別料金で少ない利用料にしてもらってる者もいる。健太は事情はどうであれ、親衛隊のトップなんだからその権利はあるよ。コホン、まあ、僕はまだ認めていないけどね。」
そうなのか。どっちみち暫くは親衛隊隊長は辞められないし、強くもなりたいから、特別寮にも入るのも悪くはないかもしれない。
「わかった」
「それは良かった。すんなり頷いてくれて本当に良かったよ。(ボスに頼まれたから絶対入寮させなくちゃ)じゃあ、今からすぐに家に帰って荷物まとめてくれる?」
「今日から引っ越そう、早い方が絶対いい」とゴリ押しされてその勢いに断れず、荷物を整頓する為に家に一旦帰る事になった。
桜都とは寮前で別れ急足で校門を出る。今日中に準備をするだなんて間に合うのだろうか、無理な気がする。健太は考えを巡らせるも、とりあえず足を動かすことに専念する。
そんな健太の後ろ姿を物陰からじっと見つめる複数の視線には気付かずに。
「健太、何してるの?早く帰らないと。」
桜都が後からやってきて声をかけて来た。桜都は寮生なのに外に用事でもあるのだろうか。最近は外まできっちり見送ってくれる。家にまで着いてこようとした時は流石に止めたけど。暇なのかな、友達もいないようだし。そんな事を言ったらまた怒られそうだけど。
「なんか奥にこんな建物があってさ。誰が住んでるんだ?」
「ああ、ここは一般寮だよ。」
一般寮?何処かで聞いた単語だな。
ああ!そうだ、!一般寮と特別寮と別れてたんだったな。チハルが言っていた差別とはこの事だったのか。あまりにも違いすぎて一般寮の生徒が可哀想だ。
「俺も寮に住んでみたいなって思ったけど、俺の場合はここになるんだな。やっぱり、実家通いのままで良いや。」
寮で桜都の指導を受けてから家に帰るのがだんだんしんどくなって来たから、ダメ元で両親に頼もうかと思ったけど、やっぱり無しだな。利用費は高すぎるし、一般寮で暮らすのは料理に洗濯と家事全般が出来ない俺には難しすぎる。それにこんな近くで金持ちとの差を見せつけられるなんて苦痛でしか無い。
「待って待って。健太の入寮手続きはもう済ましてあるから!勿論僕と同じ特別寮ね。」
え、なんで俺が特別寮なんだ?てか、勝手に手続きしたの?
「いや、俺の家はそんな大金持ってないから。利用料払えないって!キャンセルして!」
「大丈夫だよ。健太は一応親衛隊隊長だからさ。特別に無料で入寮する事が出来るんだよ。」
え、そんな事可能なのか?
「うちの寮生の中では、健太と同じで親衛隊に入って、身体鍛えて頑張ってボス達に認められて一般の出身でも特別寮に特別料金で少ない利用料にしてもらってる者もいる。健太は事情はどうであれ、親衛隊のトップなんだからその権利はあるよ。コホン、まあ、僕はまだ認めていないけどね。」
そうなのか。どっちみち暫くは親衛隊隊長は辞められないし、強くもなりたいから、特別寮にも入るのも悪くはないかもしれない。
「わかった」
「それは良かった。すんなり頷いてくれて本当に良かったよ。(ボスに頼まれたから絶対入寮させなくちゃ)じゃあ、今からすぐに家に帰って荷物まとめてくれる?」
「今日から引っ越そう、早い方が絶対いい」とゴリ押しされてその勢いに断れず、荷物を整頓する為に家に一旦帰る事になった。
桜都とは寮前で別れ急足で校門を出る。今日中に準備をするだなんて間に合うのだろうか、無理な気がする。健太は考えを巡らせるも、とりあえず足を動かすことに専念する。
そんな健太の後ろ姿を物陰からじっと見つめる複数の視線には気付かずに。
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